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秩禄処分明治維新と武家の解体 講談社学術文庫

落合弘樹

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062923415
ISBN 10 : 4062923416
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2015
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

明治九年、華族・士族に与えられていた家禄を廃止した「秩禄処分」。この措置によって、武士という身分は最終的に解体された。支配身分の特権はいかにして解消され、没落した士族たちは、この苦境にどう立ち向かっていったのか。改革を急ぐ大久保利通、ひとり異議を唱える木戸孝允、西郷隆盛率いる鹿児島士族の動向―。維新史の知られざる裏面に迫る。

目次 : 第1章 江戸時代の武士/ 第2章 維新期の禄制改革/ 第3章 留守政府の禄制処分計画/ 第4章 大久保政権の秩禄処分/ 第5章 禄制の廃止/ 第6章 士族のゆくえ

【著者紹介】
落合弘樹 : 1962年大阪府生まれ。中央大学文学部卒。京都大学人文科学研究所助手などを経て、明治大学文学部教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • うえぽん

    京大人文研の助手による1999年の中公新書を文庫化したもの。学制、徴兵令、地租改正に匹敵した維新期の改革である秩禄処分。武士身分の特権剥奪を僅か10年ほどで完了した経緯を維新期、留守政府期、大久保政権期の順に整理。留守政府の秩禄処分への楽観的見通しは、四民平等化改革が表面上順調に進んだためとあるが、既得権を神聖と見る西欧人には理解し難かったとの指摘は興味深い。家禄は藩への義務の見返りのため、廃藩後、既得権としての主張が困難で、世論の批判等から華士族も家禄廃止はやむなしと考えたことが早期達成の背景だとする。

  • かんがく

    明治政府の改革の中では、廃藩置県や徴兵令に比べると地味な印象の残る秩禄処分について丁寧に記述。廃藩置県期から行われ始めた禄の軽減、留守政府における井上馨の急進的改革、大久保政権による実施といった時代ごとにどのような形がとられたかがよくわかる。士族が権利の上で平民と同じになった後も、モラルの上で国民の模範とされたという点は初めて気づく点だった。

  • アメヲトコ

    もと中公新書として99年刊。明治初期、すでに存在意義を失いつつあった武士たちから既得権=家禄をいかに剥奪するか。この困難なミッションを平和裏に実現するまでの過程を丁寧に追った一冊です。推進派と反対派の議論が興味深く、中でも遣欧使節で心折れて最後はボヤきおじさんになる木戸孝允が印象的。

  • さとうしん

    秩禄処分といえば「士族の商法」とか士族の帰農がまず思い浮かぶが、本書によれば、経験のない者にいきなり農業をやらせるのは相当無理なことであるようだ。これはサラリーマンが退職(あるいは失業)したら田舎で農業をみたいなことがよく言われる現代にも通じる教訓だろう。あとは本書で言及される、当局がまず自主的な改革を命じ、その不徹底を理由に抜本的な改革を命じるとか、本来は貴族自身の自主的な判断でなされるはずのノブレス・オブリージュが、下々の方から強制されるというのも今でも「あるある」である。

  • Mitz

    明治維新の三大改革として、学制・徴兵令・地租改正が知られている。しかし、版籍奉還、廃藩置県、そしてこの書の主題である秩禄処分こそが、真の改革と言えよう。特権階級を廃して列強に抗するための殖産興業の財源を得る…。この新政府にとって最大の“功績”が思いのほか知名度が低いのは、既得権を奪うという構図が、彼らにとって都合が悪いからかもしれぬ。…王政復古から10年で武士という身分が消滅した。没落した士族のその後、そして不満を抱いた士族の反乱等、維新史の裏側が垣間見え、とても勉強になった。明治という時代は実に奥深い。

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