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太平天国 皇帝なき中国の挫折 岩波新書

菊池秀明

User Review :4.5
(2)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004318620
ISBN 10 : 4004318629
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「滅満興漢」を掲げて清朝打倒をめざし、皇帝制度を否定した太平天国。その鎮圧のために組織され、台頭する地方勢力の筆頭となった曽国藩の湘軍。血塗られた歴史をもたらした両者の戦いの詳細を丹念にたどり、中国の近代化をめぐる道程に光をあてるとともに、皇帝支配という権威主義的統治のあり方を問い直す。

目次 : 1 神は上帝ただ一つ/ 2 約束の地に向かって/ 3 「地上の天国」の実像/ 4 曽国藩と湘軍の登場/ 5 天京事変への道/ 6 「救世主の王国」の滅亡/ 結論

【著者紹介】
菊池秀明 : 1961年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、東京大学大学院人文社会研究科博士課程修了。博士(文学)。中国広西師範大学、広西社会科学院に留学および在学研究。その後、中部大学国際関係学部国際文化学科講師、助教授、国際基督教大学准教授などを経て、国際基督教大学教授。専攻は中国近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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「(世界)史上最悪の内戦」とまで評される...

投稿日:2021/07/21 (水)

「(世界)史上最悪の内戦」とまで評される、太平天国の乱の新しい概説書。人物・地域社会・政治・国際関係の背景と、事件そのものの概要を非常に手堅くまとめている印象であった。首領の洪秀全は貧しい客家の生まれで科挙に落ち続けて、キリスト教布教のための中国語パンフレットに出会うところから始まった、という基本的情報しか知らなかったので非常に有益であった。上帝のもとに平等であるというイデオロギーを奉じながら一面では包容力を欠き、キリスト教をベースにしながらも、結局あまりにも中国的な部分を引きずっていたので欧米列強にそっぽを向かれ、権力の集中を嫌って五王制を敷いたはずなのに、内訌を起こして権力独占を企むものが出た。これらさまざまなちぐはぐさで失敗した過程を知ることができた。

ニグンノテイオー さん | 沖縄県 | 不明

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流れのわかりにくい太平天国の顛末がよくわ...

投稿日:2021/04/08 (木)

流れのわかりにくい太平天国の顛末がよくわかって良かった。しかしこの噴出したパワーを何かもうちょっと建設的なことに生かせなかったものなのか。

kam さん | 大阪府 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • パトラッシュ

    太平天国の乱の通史をまとめただけでなく、この宗教的農民反乱が現代中国政治にまで深い影響を及ぼしている事実を明らかにする点で今日的な意味を持つ。広大かつ多様な民族と社会を統一王朝下で統治する難しさと民衆暴力の恐怖を中国人の骨身に叩き込み、国民党も共産党も独裁皇帝制の変種である政党と国家が一体化した「党国体制」を採用する遠因となったのだから。もし太平天国が存続していたら、現在の大陸は欧州のような複数国家が並存していたかもしれないのだ。中国の動向が世界に与える影響を思えば、あり得たかもしれぬ歴史を考えてしまう。

  • skunk_c

    太平天国の顛末について、その思想的な成り立ちから清との対峙、そして内紛と滅亡という展開を詳細に描く。清末期でその統治力(特に軍事力)が極めて低下しているとき、さらに同時進行でヨーロッパとも戦争をしているときに、相当な地域を押さえながら、結局清朝を打倒できなかった理由は、やはり民心を捉えきれなかったことか。男女を厳しく分けて生活させながら、洪秀全など「諸王」は多数の女性を侍らせていたという矛盾(既視感あり)や、結局人々の生活を支える生産に目が向いていなかったことが、自滅に至る原因だったように思えた。

  • kokada_jnet

    太平天国が天下を取る歴史改変SFを、中国のSF作家の誰かに書いてもらうのを希望。(翻訳されていないだけで、そんな安易な作品は、すでにあるのかな)

  • だまし売りNo

    太平天国は清朝の支配とは対照的であった。中国に新たな政治の仕組みを生み出す可能性があった。第一に阿片の厳禁である。太平天国は阿片の吸引を厳しく禁止した。洪秀全は阿片吸引を「変じて妖を生む」ことを批判した。清朝は司令官レベルにも阿片中毒者がいた。阿片中毒者が虚偽告発で冤罪を作っていた。

  • ケイトKATE

    清朝後期に起きた太平天国の乱は、13年にも及び2000万人の犠牲者を出した血塗られた内戦だった。指導者の洪秀全は、キリスト教の影響を受け、神ヤハウェを「上帝」として崇め布教し、清朝の圧政に苦しむ民衆の支持を得ていった。洪秀全率いる太平天国は、皇帝を頂点とする中央集権国家を否定し、「上帝」の元で人々が平等に暮らせる国を目指し清朝打倒を旗印として反乱を起こした。清朝軍を次々と破り中国南部を支配した太平天国だったが、外部勢力への不寛容さと太平天国内部の権力闘争によって自滅する形で崩壊していった。

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