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アイヌの世界に生きる ちくま文庫

茅辺かのう

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480437525
ISBN 10 : 4480437525
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「トキさん」は1906年、十勝の入植者の子どもとして生まれ、口減らしのため、生後すぐにアイヌの家族へ養女として引き取られた。和人として生まれたが、アイヌの娘として育った彼女が、大切に覚えてきたアイヌの言葉、暮らし。明治末から大正・昭和の戦前戦後を、鋭い感覚と強い自立心でアイヌの人々と共に生き抜いてきた女性の人生を描く優れた聞き書き。

目次 : 十勝へ/ 一人暮しのおばあさん/ 生い立ち/ 鹿皮のケリ/ 畑仕事に馴れる/ 実母よりもアイヌの母を/ 結婚/ アイヌ語が甦った/ アイヌ語の世界/ 冬の暮し/ 隣人の死

【著者紹介】
茅辺かのう : 1924年、京都生まれ。東京女子大学卒業。1947年、京都大学文学部を中退し、上京。編集者としての仕事の傍ら、労働運動に携わる。1962年、すべてをやめ、単身北海道へ移住し、網走、帯広等で季節労働者として働く。1965年、阿寒湖畔のアイヌの観光土産物屋で働く。1973年、京都へ戻る。思想の科学研究会、京都“家の会”等の活動に参加。2007年、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • mahiro

    著者がアイヌ語の口述筆記に訪ねたのは、和人だがアイヌの養母に育てられて言語、文化を継承したトキさんだった。開拓者が生活の困難さから子供をアイヌの養子にする事に驚く。厳しく慈愛豊かに育てられた養母への思い、新しい時代のアイヌとして生きるトキさんの人柄に惹かれる著者。アイヌへの根深い差別、焼酎一本を持ってアイヌの事を聞きに来た学者へわざと嘘を交えて伝えたという古老のプライドとそれにより間違った言語が伝えられたと言うトキさんの危惧、北海道の中でも特に寒冷な本別地方で耐えながら自立の心を持って生きたトキさん

  • よきし

    生まれて間もなくアイヌの養子となって十勝で生きた1人の女性の聞書。明治の北海道開拓時代の中でアイヌの生活が脅かされていった歴史、そして日本語で生きていくことを決め、差別の中子どもたちにアイヌ語を教えないことを選択した決断、本当にどれだけの尊厳を私たちは奪ってきたのかということを改めて考える。豊かなアイヌの世界が壊れていく時代、そして観光の中で消費される反動、絶望とアル中。抑圧の中生きてきたその言葉を受け止め、今をどう良い社会にしていくのか、我がこととして考えていく必要がある。ほんとうに。

  • 絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく 

    アイヌの女性トキさんの依頼で、自伝をまとめた茅辺かのうさん。トキさんは開拓民の子どもで、貧しさから育てられないと、アイヌの人に引き取られた方、アイヌではないけれど、アイヌとして育てられ、それを誇りに思っている方です。この本を読んで一番印象が強かったのは「日本の国内植民地となった北海道」の言葉、迫害され続けていたアイヌの人々がやっと世の中に認められたのは、ここ数年のことです。

  • 桐一葉

    ゴールデンカムイを読むようになってからアイヌと見ると手に取りたくなる。北海道出身の祖父にアイヌってどんな人たちなん?って聞いたら、迫害されてたって言うてて。小学生の頃やったのにいまだにはっきりとそう聞いたのを覚えてる。それも相まって、知りたいという気持ちが常にある。ほんの少しだけ、どんな差別やったのかが見えた気がした。人目をいつも気にしなあかんような感じやったんかな、と。自然に畏敬の念を抱き、いのちを大事にして暮らす人々。それがアイヌの世界やと思った。

  • 寄り道

    北海道の開拓当時、和人を嫌悪していたにもかかわらず、入植家族の口減らしのために、彼らの子供を養子にして育てたアイヌの人達が少なからずいたことに驚いた。また、温厚で争い事を好まないと聞いていたアイヌ民族の間で戦が起こっていたことにも驚かされた。(例えば十勝アイヌと釧路アイヌの間で戦があったという。)語られるアイヌ語の一つ一つから暮らしぶりや考え方、民族の誇りが伝わってきた。イオマンテが動物愛護の観点から変化したという点についてはアイヌの人達の熊に対する捉え方の違いが興味深かった。

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