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狂人日記

色川武大

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784061983816
ISBN 10 : 4061983814
Format
Books
Publisher
Release Date
January/1970
Japan

Content Description

狂気と正気の間を激しく揺れ動きつつ、自ら死を選ぶ男の凄絶なる魂の告白の書。醒めては幻視・幻聴に悩まされ、眠っては夢の重圧に押し潰され、赤裸にされた心は、それでも他者を求める。弟、母親、病院で出会った圭子―彼らとの関わりのなかで真実の優しさに目醒めながらも、男は孤絶を深めていく。現代人の彷徨う精神の行方を見据えた著者の、読売文学賞を受賞した最後の長篇小説。

【著者紹介】
色川武大 : 1929年生まれ。1941年東京市立第三中学校入学。1945年8月、敗戦。中学を離れ、焼跡を徘徊。かつぎ屋、ヤミ屋、街頭立売りなどやる。また、ヤミ商事会社、薪炭配給所、通運会社、新興出版社などに少年社員として勤めるも、いずれも見習い期間が保てず、博打で喰いしのぐことを覚える。1961年中央公論新人賞に応募。入選(題名・黒い布)。11月、「中央公論別冊文芸特集」に受賞第一作「水」を発表。1968年変名“阿佐田哲也”週刊誌に麻雀小説を書く。1978年4月「離婚」を「別冊文芸春秋」に発表。第七九回直木賞を受賞。1981年「新潮」四月号に発表した「百」により川端康成文学賞を受賞。1989年2月『狂人日記』により読売文学賞を受賞。4月10日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 青蓮

    再読です。頻繁に現れる幻覚と幻聴にどこからが現実なのか解らなくなる怖さがありました。読んでいて、自分も本当は頭がおかしいのかもしれないと思ってしまいました(私も軽度な幻覚幻聴あり)。自分自身すら突き放してしまう深い孤独。なんとなくだけれど、彼の気持ちが解るような気がします。圭子との関係は愛ではなく、共依存かなと。ラストに圭子が口にする言葉が酷く残酷に聞こえました。

  • ω

    初読みの作家先生ω 「自分は、両親も、弟妹も、誰をも、本当に知らずに、また彼等にも知らせずに、ぽつんの生きてきた。それが、憎い」 よし、いい兆候だ!ガンバレー!って応援も束の間。狂気から全然抜け出せない。悲しい。人と関われば関わるほど疲れる、病院に引っ込みたくなる…… 読んでて辛い😢 講談社文芸文庫が続いとりますω 高いけどよかったー🥺

  • あじ

    「自分はとにかく、かなり異常だ。病人というより発育不全だ」四六時中襲いかかる幻覚と幻聴に蝕まれ、庇護の名の元で生を営まざるおえない五十男。自立心を抱きつつも“他者”に寄りかかる事で納得しようともがき苦しむ様を、宿雪のごとく綴った名著。

  • 松風

    普段言葉にならないまま蟠っている感覚がずばりずばりと言語化されていく快感がしんしんとつのる。まるで自分自身の感覚が研ぎ澄まされていくような。むしろ、そういう感情に無自覚に振り回されたままおざなりにしていることこそが、ある種の「狂乱」と思えてくる。

  • 東京湾

    「自分はついに自分以外のものになりえない。ここでこうしているしかなくて、ずんずん時がすぎていく。生命というもの以上の力を知ろうとしないから、目下は、生命という鉄格子の中に閉ざされて細々と息をしている」生来社会に溶け込めず、幻覚や譫妄に精神を蝕まれ、人との繋がりを求めながらも、そこに見えるのは圧倒的な孤絶。自己の人間としての異常を認識しつつも、健常者として生きる術を掴めず、緩やかに破滅へと墜ちていく姿がただ苦しい。自己と他者との関係性にどこか違和感を感じている人にとって、この物語は他人事とは思えないだろう。

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