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江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす

與那覇潤

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784163919829
ISBN 10 : 4163919821
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

上野千鶴子さん推薦
「江藤淳、加藤典洋・・・戦後批評の正嫡を嗣ぐ者が登場した。文藝評論が政治思想になる日本の最良の伝統が引き継がれた思いである。」

【著者紹介】
與那覇潤 : 1979年生まれ、歴史家・評論家。2007年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。同年から15年まで地方公立大学准教授として教鞭をとり、病気休職を経て17年離職。以降は在野で活動している。20年、『心を病んだらいけないの?』(斎藤環氏と共著、新潮選書)で第19回小林秀雄賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    江藤淳も加藤典洋も戦後文学に正面から向き合った評論家だが、やがて文学を生んだ母体である戦後史自体に引き寄せられていった。明治以来の大日本帝国が失敗に終わり、再出発した民主国家日本が無条件に正しいという批評の前提に対する疑問が生じたのか。しかし戦前生まれの江藤はGHQによる日本人洗脳史観に取り憑かれ、戦後生まれの加藤は学生運動の失敗体験から9条擁護固守派の空虚さを糾弾した。文学批評と同じ手法で歴史認識に挑み、その複雑怪奇さに自爆した感が強い。歴史家をやめたと自称する著者は、そこに自分と似たものを見つけたか。

  • Mark

    ようやく「批評」という営みの意味が少し見えてきた気がします。高校時代に流行だからと手に取った芥川賞作品が、実は当時の社会や政治への批評を内包していたことに、今さらながら気づかされました。與那覇潤さん自身の経歴──愛知県立大学での孤立や精神的な苦悩──も、批評という行為の背景を理解するうえで示唆的でした。「いまさら昭和史」と言うなかれ。震災のような大きな出来事でさえ、語り継がれずに風化していくこの国にあって、過去をどう読み直すかという姿勢の重要性を改めて感じました。

  • hasegawa noboru

    太宰治と江藤淳<繊細なふたりの文学者は、遠く隔たったまま、ともに自死によってその一生を終えた。このすれ違いが示すように、私たちの国ではある時代の切実な体験が、世代を超えては伝わらない。><かつて母ないし女性に喩えられた、流れた過去をただ忘却し、あるいは祈ることで赦すばかりの「歴史のない」この国の構造は、いよいよ強固になってゆくように見える。>その通り。そんな中、二人の文芸批評家を通して時々の文学作品を取り上げ精緻に分析して改めて日本の戦後史をたどり直す。こんなことがまだ可能だったのかという驚き。

  • どら猫さとっち

    戦後史を見直す、または歩き直すために、著者が選んだ人物は江藤淳と加藤典洋。江藤淳はあまり読んでいないし、加藤典洋は読んだことがある。江藤淳が知らない僕でも、わかりやすく解説してある。江藤淳が村上龍を痛烈に批判したのは、わからなくはない。またふたりとも、太宰治から戦後について語っているのが興味深い。江藤は自ら人生の幕を引き、加藤は6年前に世を去った。ふたりの存在は、著者だけでなく、私たちにも必要だっただろう。

  • tharaud

    早くも忘れられつつある戦後史を次に繫ぐ試み。江藤淳は、たしかに名前はよく聞くものの実際に読んだことはなかった。書くことへの誠実さや成熟についての本でもある。歴史を知らないことへの開き直りが当然になった時代への鋭い批判だ。

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