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ヴィオレ・ル・デュク 歴史再生のラショナリスト

羽生修二

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784306052185
ISBN 10 : 4306052184
Format
Books
Publisher
Release Date
December/1992
Japan

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Book Meter Reviews

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  • roughfractus02

    19世紀初頭ボザールへの進学を拒否して歴史的建造物のスケッチ旅行に出たヴィオレ・ド・デュクは、それらの修復の必要を感じる一方、古典様式の再現に専心するボザールの姿勢に反発して、当時無視されていたゴシック建築を構造的に観察して理論化し、修復の事業を立ち上げる。幾何学的類似性によるその演繹的構造原理は、ゴシック、ロマネスク、古代ローマへと建築のイデアを求めて遡行する。合理的な構造計算に建築を方向づけた点で評価が分かれるが、ラ・マドレーヌ教会堂、ノートル・ダム大聖堂、ピエールフォン城等は彼の理論で修復された。

  • 鵐窟庵

    ヴィオレ=ル=デュクはボザールへの入学を拒否して1810年に崩壊危機にあったラ・マドレーヌ聖堂の修復作業から経歴が始まる。当時構造計算が無くして適切な構造補強を用いて修復を行った。修復作業の経験を通じて彼が見出したのは演繹的な構造原理であり、それは近代建築の合理主義の嚆矢といえる。一方、彼の修復作業は歴史的な懐古趣味や古典建築の要素を規範とする当時の社会・建築界では疎んじられた。しかし歴史構法の解明や近代建築の先駆者としてのデュクの建築修復や『建築講話』の理論は重要であり、今日的な意義も高まっている。

  • inoue

    19世紀の重要な建築理論家ヴィオレ・ル・デュクについて、保存・修復の実践と理論を中心に記述される。生い立ちから始まり、修復や設計された各建築について後年の批判も含めて個別に解説されており、読みやすい。 デュクについて書かれた本は構造合理主義、様式論等フォーカスする内容により多様な見え方があり、巨人としての偉大さを実感する。 筆者が最後に書く、保存対象範囲の拡大と実用の配慮は現在の文化財保存活用の主トピックであり、経済的な困難さも含め、保存理論と創造性の両立はますます求められているといえる。

  • ik

    修復家としては悪名を轟かせているヴィオレ・ル・デュクの歴史的位置づけを概観しながら、その仕事を再評価する。また、そのことを通してオリジナル偏重の現代の修復観、また都市景観など更に広範囲に渡る文化財保護のあり方を問う。近代を見直すことで現代の価値観も考え直せるのが大変面白い。私はやはり建築も芸術も使われてこそだと思うところがあるので、彼の修復業を見直す本書には非常に興味が持てた。偉大な改築家であったミケランジェロの仕事と比較してみてもまた面白いかもしれない。

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