土方歳三の焼き餅

当たり前だが、今や誰も市村鉄之助や坂本龍馬、篤姫と和宮にインタビューは叶わない。結局歴史とは、解釈に尽きるのではないか。しかし、真実・真相の周辺の事実をできる限り知らねばならないのである。
歴史学者は一級史料で明らかになった事実を元に私論を述べるのが常で、仮設に基づく大胆な推論は否定する。しかし、我々には事実の積み重ねから真実・真相に迫る楽しみが許されているのだ。
幕末史には謎が多く、登場人物もすこぶる魅力的で彼ら彼女らと架空の対話をするのが楽しい。今回取り上げた人物たちの従来と違った歴史的物語を目指したが、書き終わりまだ多くの事実を知らねば、と痛感している。そして、彼ら彼女らの縁りの地を訪れ、墓石の前で対話してみたい。
そのために、もう一度資料を読み直し疑問点を明らかにしノートをとろうと思う。幕末への旅はまだ終わらない。

【著者紹介】
網代栄 : １９５１東京生。明治学院大学文学部英文科、ジャーナリスト専門学校卒。大学事務職員を経て、時事通信社運動部で編集補助。塾講師を経て１９８５年（昭和６０）、大宮市公立中学校英語教諭。２０１２年より初任者指導教員の後、現在はスクールアシスタントとして岩槻の公立中学校で勤務。２０１３年より文芸社から著書出版。処女作は『五輪（オリンピック）私語り』（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）