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黒島伝治作品集 岩波文庫

紅野謙介

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003108024
ISBN 10 : 4003108027
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

動員された兵士、貧しい農民、民衆の哀しさを、抑制された文体と素朴なユーモア、見事な構成により短篇小説、随筆にまとめた作家・黒島伝治(1898‐1943)。「渦巻ける烏の群」「橇」をはじめとする作品は、異国への越境を強要され、シベリアの大地を這う兵士達の抵抗の叫びから成る戦争文学の名作である。作品18篇を精選。

目次 : 小説(電報/ 老夫婦/ 二銭銅貨/ 豚群/ 橇 ほか)/ 随想(小豆島/ 戦争について/ 入営前後/ 自画像/ 入営する青年たちは何をなすべきか ほか)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    「身の丈の合わない教育を子に施す親」というテーマで描かれる「電報」と「老夫婦」は対構造となっている。前者は子に教育を諦めさせるが、後者は諦めないが為に自分の身の丈の合わなさを実感させられる。そして現在もあり得るだろう事を描いた後者の方が苦みのある余韻が長く、尾を引くのだ。また、どちらも教育を受ける側である子供の気持ちが一切、描かれない部分も不気味だ。「豚群」の抵抗が一時のむしゃくしゃした気持ちを晴れやかにするだけで現実に何も影響を及ぼさないのに虚を打たれ、「渦巻ける烏の群れ」は題名の意味を知るラストが強烈

  • NAO

    小豆島を舞台にした初期の作品は、貧しい農民子どもに高等教育を子どもに受けさせたいと考えたことから起きる不幸を描いている。さらに、除隊を間近にして派遣されたシベリアでの見聞を元に、反戦作品を書いた。第一次世界大戦後、ロシアの赤軍を止めるためという名目でシベリアへ進行した日本軍。だが、大した計画もなく無謀でしかなかったこのシベリア派遣の犠牲になったのは、やはり、貧しい者たちだった。小豆島を舞台にした話も、反戦作品も、底辺にあるのは貧しい階級がいかに虐げられているかを明らかにすることだったのだ

  • p31xxx

    多くの作品の結末は、挫折か破滅と呼べると思う。皮肉な笑いがある。自虐的でもある。動員された兵士、貧しい農村、自分の体験した世界について、日々の生活に汲々としながら、作品として描いて、辛かろうと思う。やはり戦場に巷に見聞きした話、自身の経験に材を取ったのだろうか。

  • たつや

    初見の作家でしたが、図書館でふと、目に止まり借りた。表紙に惹かれて借りた。短編と随筆集の本書は小豆島の貧農と戦争文学で編まれているが、素朴な中に迫力があり、こんな作家が居たのか、と、驚いたが、作品は読みやすく面白かったです。

  • 刳森伸一

    以前読んだ講談社文芸文庫の『橇・豚群』に続いて2冊目の黒島伝治。重複している作品も多いが、本書では随筆なども所収されている。教育を受けることで「生意気」になることを防ぐために教育をやめさせようとする田舎の慣習を描く「電報」や、シベリア出兵を題材にした壮絶なラストの「渦巻ける烏の群れ」など、力強い作品が並ぶ。随筆は小説と比べると軽いが、黒島伝治の立ち位置が良く分かる佳作だと思う。

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