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近代日本暗殺史 Php新書

筒井清忠

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784569855097
ISBN 10 : 4569855091
Format
Books
Publisher
PHP
Release Date
July/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

大久保利通暗殺後、犯人である島田一郎を主人公にした小説が刊行されて大評判となった。また、爆弾を投げつけられて一命をとりとめた大隈重信は犯人の勇気を称賛し、そのことで大隈の人気も上がった。日本には暗殺者への同情的文化が確かに存在していたのである。一方、原敬暗殺の真因は、これまであまり語られてこなかった犯人中岡艮一の個人的背景にあった。犯人が抱えていた個人的行き詰まり・挫折感は現代の暗殺にそのままつながるものである。近現代史研究の第一人者が、明治と大正の暗殺を丁寧に語り、さらに暗殺に同情的な文化ができた歴史的背景についても考察する。

目次 : 第1章 明治編(政治の非合理的要素として/ 赤坂喰違の変(一八七四年) 岩倉具視暗殺未遂事件/ 紀尾井坂の変(一八七八年) 大久保利通暗殺事件/ 板垣退助岐阜遭難事件(一八八二年)/ 森有礼暗殺事件(一八八九年)/ 大隈重信爆弾遭難事件(一八八九年)/ 星亨暗殺事件(一九〇一年))/ 第2章 大正編(朝日平吾事件(安田善次郎暗殺事件)(一九二一年)/ 原敬首相暗殺事件(一九二一年))/ 結び(朝日平吾事件に通底している昭和の暗殺事件/ 同情の文化的背景/ 現代的暗殺の特質)

【著者紹介】
筒井清忠 : 帝京大学文学部日本文化学科教授・文学部長。1948年、大分県生まれ。京都大学文学部卒業。同大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。奈良女子大学助教授、京都大学教授などを経て、現職。東京財団政策研究所主席研究員。専攻は日本近現代史、歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    明治大正の政府高官暗殺事件から、日本独自の暗殺文化を考える。取り上げられた事例は単独か小集団の民間人によるもので、軍など組織的背景はない。どれも個人的な利害愛情で追い詰められていた感情が、巨悪と見なされていた権力者や富豪を討つという形で暴発したのを、世間は悪を倒した英雄として称賛した。社会の不安や戦争、貧困による逼塞に圧迫された庶民の鬱屈を霧散させた点で、911を起こしたビンラディンに対するアラブ民衆の拍手喝采に近い。暗殺者の言い分を汲み取ろうとする文化を生む土壌は何なのか、21世紀にも通じる部分がある。

  • skunk_c

    明治・大正の暗殺および未遂事件についての本。明治に関しては有名な事件をサクッとまとめたもの。本書で重要なのは大正期の安田善次郎、原敬暗殺事件の犯人像だ。前者の犯人朝日平吾はその場で自害したが、著者は北一輝からの思想的影響を含めて昭和期のテロとの連続性を指摘している。一方原敬を殺めた中岡艮一に関しては、むしろ大正時代の個人主義的な思想との関連を指摘する。これは著者の戦前日本のポピュリズム論に通じるからと思うが、詳細で興味深い考察であった。しかし判官びいきにわざわざ「はんがん」と読みを振るのはいかがなものか?

  • 軍縮地球市民shinshin

    明治・大正期の暗殺事件をまとめた本だが、主眼は大正期に起こった二つの暗殺事件。安田善次郎刺殺事件と原首相暗殺事件だ。前者の犯人像は社会主義とアジア主義を信奉していた朝日平吾という若者が起こした単独犯。「暴利を貪っていた」と朝日は思っていた実業家の安田善次郎を刺殺。動機は思想的・政治的だといえる。それに対して原敬を暗殺した中岡艮一は、一見政治的な動機かと思いきや、検察の捜査によって失恋が発端だったと本書は指摘している。予審判事が当時作成した資料が長く引用されており、臨場感があった。暗殺事件というと近年起きた

  • fseigojp

    原敬の暗殺を読んでげっそりした 討たれ損

  • Ryosuke Kojika

    いつの時代も不満はあるのだろう。普通選挙がある現在の方がまだましなのか。この閉塞感はどうなんでしょうか。息苦しいというかなんというか。私だけですか。それが共有されているのであれば民主制によって変えたい。「暗殺が行われると、暗殺者の言い分・原因とされるものをくみ取ろうという態度に一般の人々は誘導されやすいことになる」、「私たちは日本の「暗殺文化」に関わる「伝統」を知りながら、暗殺そのものは否定する文化をどう作り上げていくかという極めて難しい位置に今立っていることをまず何より自覚せねばならない」

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