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インドの最強の戦略書「実利論」 文春新書

笠井亮平

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784166614851
ISBN 10 : 4166614851
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

古代インド、マウリヤ王朝の宰相カウティリヤが著わしたとされる『実利論(アルタシャーストラ)』。マックス・ウェーバーが『職業としての政治』のなかで「カウティリヤの『実利論』に比べれば、マキャヴェリの『君主論』は無害なものだ」と評した、リアリズムにもとづいた冷徹な国家統治の要諦を論じた書だ。その白眉は外交論で、自国に直接境界を接する隣国は基本的に「敵対者」、隣国の隣国は友邦になり得る国、そのまた隣国は敵対者‥‥という具合に同心円状に広がって行く「マンダラ外交」。単に「敵の敵は味方」というに止まらず、自国と敵対的な隣国の双方に接する「中間国」、また自国にも隣国にも接しない「中立国」を活用することの重要性とさまざまなケースでの対処策を提示。和平、戦争、静止、進軍、依投(他に寄る辺を求めること)、二重政策(和平と戦争を臨機応変に採用すること)の「六計」を、状況に応じて繰り出していくとする。
現代インドの行動原理にも「マンダラ外交」は当てはまる。伝統的な非同盟と実利優先の是々非々論を堅持しながら、パキスタンや中国は「敵対者」と位置づけ、中国を警戒する日米とは関係改善を推進。パキスタンの隣国アフガニスタンをタリバン復活までは支援し、何より第三次印パ戦争で東パキスタンをバングラデシュとして独立させたのは「敵対者」パキスタンの力を削ぐ戦略的に大きな意味を持った。現在はASEANを「中間国」として位置づけ、自らのインド太平洋構想(FOIP)の中核に取り込みつつ、グローバルサウスの盟主≠ニして「中立国」の湾岸やアフリカ、南太平洋諸国の利益を代弁して存在感を高めている。
目下、総選挙をへて3期目に入ったモディ政権。その中枢で外交を担ってきたS・ジャイシャンカル外相が内幕を回顧した著書などをもとに、現代インド外交の行動原理を新しいマンダラ外交の絵解きと併せ解説する。


【著者紹介】
笠井亮平 : 1976年愛知県生まれ。岐阜女子大学南アジア研究センター特別客員准教授。中央大学総合政策学部卒業後、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科で修士号取得。専門は日印関係史、南アジアの国際関係、インド・パキスタンの政治。在インド、中国、パキスタンの日本大使館で外務省専門調査員として勤務後、横浜市立大学、駒澤大学などで非常勤講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • とり

    古代インドの政治論書「実利論」を現代の視点から解説している。帝王学、外交、兵学など扱う範囲が広く、マウリヤ朝時代の古代インドの価値観がわかって興味深い。マックス・ウェーバーによれば、「カウティリヤの『実利論』に比べればマキャヴェリの『君主論』などたわいのないものである」とのことだが、確かに実利論は君主論以上に非常に冷徹。

  • Shinya Fukuda

    第一章では実利論誕生の背景が書かれている。第二章では内政や司法制度について書かれている。第三章では外交について書かれている。第四章では諜報活動について書かれている。王が国を統治する際に必要とされる内政、外交、諜報について緻密に論議が進められる。第五章では孫子の兵法との類似点、相違点が書かれている。第六章では現代インドで実利論が如何に活用されてきたのかが書かれている。第六章では日本は実利論から何を学べるのかが書かれている。実利論の特長は徹底したリアリズムである。これは幾ら強調してもし過ぎることはないだろう。

  • 於千代

    古代インド・マウリヤ朝の政治書を紹介しつつ、それに基づいてインド近代史を読み解く一冊。恥ずかしながら種本の存在を初めて知り、興味深く読み進めた。『孫子』との共通点もあり、時代や地域を超えて戦術論には普遍的な要素があるのだと感じた。

  • tetsuwo

    「実利」は自明なようでそうではない。有能な戦略家でもなければ、手段を目的化して実利を見失うことはよく起こるだろう。実利を取るためには徹底したリアリストであることが必要と述べられる。1つの価値基準(例えば実利)を軸に手段を評価することができ、基準に沿わないものをためらわずに捨てる覚悟を持つ人だ。現実を、諦める理由にするのではなく、解決策を見つけるための分析対象にしていかなければならない。

  • Go Extreme

    実利論:カウティリヤ 統治原則 政治戦略 経済政策 外交戦略 情報戦 戦争戦略 権力維持 マンダラ理論 国家運営 法制度 司法制度 社会安定 行政監視 統治技術 インテリジェンス:スパイ活動 情報収集 諜報戦術 懐柔策 離間策 牽制策 武力行使 心理戦 国家安全保障 戦略的判断 内部監視 秘密工作 外交政策:マンダラ外交 非同盟運動 国際関係 戦略的提携 近隣諸国対応 外交均衡 軍事同盟 貿易交渉 経済協力 交渉術 国家統治:指導者の資質 官僚制 経済発展 秩序維持 施策実行 民衆統制 国家防衛 社会制度

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