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龍彦親王航海記 澁澤龍彦伝

礒崎純一

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560097267
ISBN 10 : 4560097267
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2019
Japan

Content Description

没後なお人気の高まる不世出の異才の生涯
不世出の異才の生涯を辿る初めての伝記

作家の最晩年に編集者として謦咳に接した著者による初の伝記。未公開資料と知られざる逸話を交えながら、不世出の異才の生涯を辿る。

「伊達の薄着」の美学

今年は澁澤龍彥の生誕91年目にあたる。生前に残した膨大な作品群は根強い人気を誇り、今なお若い読者を惹きつけてやまない。本書は、澁澤と交流をもった最後の世代の編集者であり、2006年に『書物の宇宙誌 澁澤龍彥蔵書目録』を編纂した著者が、知られざる逸話を交えながら不世出の異才の歩みを明らかにする初の試みである。
生い立ちと幼少年期、多感な青年時代。同時代を生きた盟友、出口裕弘や松山俊太郎、種村季弘、三島由紀夫、多田智満子、生田耕作、加納光於、野中ユリ、土方巽、稲垣足穂、加藤郁乎、池田満寿夫、巖谷國士、唐十郎、高橋睦郎、金子國義、四谷シモンらとの出会い。澁澤が彼らと交わした書簡や関係者の証言など未公開資料を盛り込みつつ、若き日の雑誌社でのアルバイト、岩波書店の校正室で知り合った最初の妻・矢川澄子、サド裁判、1960年代から80年代にかけて時代を映す出版物を次々と刊行した版元との関わり、雑誌「血と薔薇」編集長としての仕事、二度目の妻・龍子との出会い、晩年の生活にも触れられる。
戦後の日本で、フランス文学の紹介者として、翻訳家、小説家、エッセイスト、アンソロジストとして、日本文学史上に唯一無二の足跡を残した澁澤の文学と人生を一望する1冊。

[目次]
第T章 狐のだんぶくろ(一九二八―一九四五)
1 生誕
2 先祖/両親と親族
3 幼少年期
4 幼少年期の読書/南洋一郎
5 旧制中学時代
6 東京大空襲/敗戦

第U章 大胯びらき(一九四六―一九五四)
1 旧制浦和高校/野沢協、出口裕弘との出会い/シュルレアリスム/コクトー発見
2 浪人時代/姫田嘉男/吉行淳之介/久生十蘭
3 東大時代/サド発見
4 「新人評論」/恋愛/小笠原豊樹
5 デビュー前夜/小牧近江

第V章 神聖受胎(一九五四―一九五九)
1 『大胯びらき』とコクトー
2 岩波書店の外校正/矢川澄子/松山俊太郎/父の死
3 昭和三十一年/「未定」/マルキ・ド・サド選集/三島由紀夫/多田智満子
4 昭和三十二年/生田耕作と片山正樹/コクトーの手紙
5 昭和三十三年/大江健三郎論/石井恭二/花田清輝
6 昭和三十四年/結婚/加納光於と野中ユリ/「聲」/『サド復活』/瀧口修造

第W章 サド復活(一九六〇―一九六二)
1 サド裁判
2 昭和三十五年/『黒魔術の手帖』/矢貴昇司/日夏耿之介/土方巽/稲垣足穂/推理小説月旦
3 昭和三十六年/『わが生涯』の共訳/政治
4 昭和三十七年/『神聖受胎』/『犬狼都市』/『さかしま』/加藤郁乎/小町の家

第X章 妖人奇人館(一九六三―一九六七)
1 酒宴の日々/池田満寿夫/巖谷國士
2 昭和三十八年/「世界悪女物語」/サド裁判控訴審判決
3 昭和三十九年/中井英夫と恂{邦雄/『夢の宇宙誌』/矢川澄子の役目/種村季弘/『サド侯爵の生涯』
4 昭和四十年/三島の年賀/『快楽主義の哲学』/高橋睦郎/金子國義/《サド侯爵夫人》
5 昭和四十一年/皿屋敷事件と暴風雨の一夜/「異端の肖像」/唐十郎/世界異端の文学/古典文庫/ 北鎌倉の新居/高橋たか子
6 昭和四十二年/四谷シモン/林達夫/喧嘩

第Y章 ホモ・エロティクス(一九六八―一九七〇)
1 矢川澄子との離婚
2 昭和四十三年/日本文学へのアプローチ/『美神の館』/アスベスト館
3 「血と薔薇」
4 昭和四十四年/美学校/『怪奇小説傑作集4』/サド裁判最高裁判決/再婚/薔薇十字社
5 昭和四十五年/澁澤龍彥集成/初のヨーロッパ旅行/三島の死

第Z章 胡桃の中の世界(一九七一―一九七五)
1 前川龍子/昭和四十六年/三島事件の余韻/『暗黒のメルへン』/『黄金時代』/石川淳/アラブ旅行
2 昭和四十七年/鷲巣繁男/『偏愛的作家論』/『悪魔のいる文学史』
3 昭和四十八年/青土社/別冊新評「澁澤龍彥の世界」
4 昭和四十九年/イタリア旅行/『胡桃の中の世界』/吉田健一
5 昭和五十年/ユリイカ特集号

第[章 記憶の遠近法(一九七六―一九七九)
1 昭和五十一年/怪人松山俊太郎/音楽
2 昭和五十二年/『思考の紋章学』/フランス・スペイン旅行/世界文学集成
3 昭和五十三年/「玩物草紙」/『記憶の遠近法』/蔵書/日本の古典
4 昭和五十四年/時評/『悪魔の中世』/ビブリオテカ澁澤龍彥/著述の分量

第\章 魔法のランプ(一九八〇―一九八六)
1 澁澤の日常/昭和五十五年
2 昭和五十六年/オスカル/ギリシア・イタリア旅行/澁澤の旅/『唐草物語』と泉鏡花賞
3 昭和五十七年/翻訳/反核アンケート/河出文庫
4 昭和五十八年/晩年の土方巽/『三島由紀夫おぼえがき』/ウチャ
5 澁澤龍彥批判
6 昭和五十九年/バルチュス展/澁澤龍彥コレクション/ボルヘス/サイン会
7 昭和六十年/「私のプリニウス」/富士川義之/幻想文学新人賞

第]章 太陽王と月の王(一九八六―一九八七)
1 素顔
2 昭和六十一年/土方巽の葬儀/『うつろ舟』
3 入院、手術、死
4 葬儀

  あとがき/詳細目次/主要参考文献/索引



【著者紹介】
礒崎純一 : 1959年生まれ。慶應義塾大学文学部フランス文学科卒。編集者。『書物の宇宙誌 澁澤龍彦蔵書目録』(国書刊行会)を編纂(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ヴェネツィア

    澁澤龍彦の詳細な評伝。書いたのは、晩年の澁澤とも付き合いのあった編集者の礒崎純一。フランス文学者の出口裕弘は澁澤を評して「ハッピー・プリンス」だという。また澁澤の 最初の妻、矢川澄子は澁澤の愛した言葉は「晴朗無上」であり、それはまさに澁澤そのものだったという。さすれば、本書のタイトル『龍彦親王航海記』は、まさにこれ以上ないくらいの命名ではないか。また、香山一郎撮影の表紙写真も澁澤の最上の側面を見事に伝えている。我らが愛する澁澤龍彦に改めて強く惹かれた一書だった。

  • starbro

    澁澤 龍彦は、学生時代から永年に渡って読み続けている作家です。最初で最期?の澁澤 龍彦の伝記、興味深く読みました。私は、澁澤 龍彦は、異端で孤高の天才だと勝手に思っていたのですが、思いの外俗っぽい(三島由紀夫と赤坂のディスコ ムゲンに行ったり、an・anに連載したり等)文学者でした。良く言えば『永遠の少年』、悪く言えば自己中『人間失格』です(笑)いつか澁澤 龍彦全集全24巻http://www.kawade.co.jp/np/search_result.html?ser_id=70650 を読んでみたい。

  • kinkin

    澁澤龍彦氏の評伝。分厚く読み応えのある本だ。彼の生い立ちとともに多くの著作、彼を取り巻く環境や交遊録が書かれている。彼の著作では『高丘親王効果親王記』がベストだと思う。初めて読んだときの不思議な雰囲気と本なのにそこからはとてもよい香りが漂ってくる。博覧強記の彼にしか書けないファンタジー。昭和の戦中期に少年時代を過ごし青春を謳歌できなくともこのような本が書けたことはすごい。氏の著作は多く読んでいない。美しくくすんだ不思議さときらめく神秘さ、キリリとした鋭さを体感し彼を語るにはとても及ばない。もっと読もう

  • らぱん

    @並外れた魅力を持つ人物の伝記となっており、とても面白かった。好きなことしかやりたくないを貫いた人であり、長所は当然だが短所が魅力になる稀有な人で「人たらし」と言える。浮世離れした逸話が多くあり、周囲を驚かせ呆れられ怒らせたりもするが、結局受け入れることになる。半ば諦めて受容した人だけが残ったのだろうが、徳のようなものがあったのではないかと思える。作品にも言えるのだが、この人は内的な葛藤を抱えていないように見えるタイプで、超然でもあり、無垢ともとれ、いずれにしろ常人とは違う物差しで生きた人なのだろう。↓

  • ぐうぐう

    つくづく澁澤龍彦とは不思議な魅力を放つ人だったのだなと実感する。掴みどころがあるようでない。ゆえに、溺愛する人もいれば、嫌悪する人間もいる。ただひとつ確かなのは、澁澤に出会った人は皆、良くも悪くも澁澤に心を掴まれるのだ。こちらが澁澤を掴もうとするよりも前に。掴むよりも掴まれる。面白いのは、そのことを澁澤はまるで自覚していないことだ。澁澤を評して天使のようだったと述べる人が複数いる。天使は、無邪気で無垢で、つまり子供であることに後ろめたさがない。(つづく)

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