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光の中の闇

石牟礼道子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784582837780
ISBN 10 : 4582837786
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2018
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

生死のあわいに産まれ出ることばたち。前著『花びら供養』に続くエッセイ集第二弾にして追悼の書。『全集』未収録の文章のほか、インタビュー、対談、書評を収集。

目次 : 第1部 光(光の中の闇―わが原風景/ 手形の木―見田宗介さんへ/ 祖様でございますぞ/ もうひとつのこの世とは/ 魂の珠玉たち/ 外車の船/ 不思議なる仏法/ 憂悶のたゆたい/ 現代の恋のさまざま/ 「狂」/ 「わが国の回復を」)/ 第2部・祈(魂がおぞぶるう/ いま、なぜ能『不知火』か/ 水俣から生類の邑を考える/ 国の情はどこに/ 道づれの記―「鬼勇日記」を読む/ 「わが戦後」を語る/ 近代の果て/ 三・一一以降を生きる)/ 第3部・歌(風流自在の世界―『梁塵秘抄』の世界/ 「梁塵秘抄」後書について/ 後白河院/ 大倉正之助さん/ 沢井一恵さんのこと/ 地の弦―神謡集その一、沢井一恵さんの箏/ 言葉に宿り、繋いでゆく精神/ 書くという「荘厳」/ 含羞の句/ 私の好きな歌/ 〔対談〕言葉にならない声×池澤夏樹/ 〔対談〕苦しみの淵に降り立つ音×坂口恭平)/ 付録 書評(秘曲を描く/ 町田康『告白』について―「見てわからんか。笛吹いてんねん」 ほか)

【著者紹介】
石牟礼道子 : 1927年、熊本県天草郡(現天草市)生まれ。69年、『苦海浄土―わが水俣病』(講談社)の刊行により注目される。73年、季刊誌『暗河』を渡辺京二、松浦豊敏らと創刊。93年、『十六夜橋』(径書房)で紫式部賞受賞。2002年、朝日賞受賞。03年、『はにかみの国―石牟礼道子全詩集』(石風社)で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2018年2月10日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    石牟礼道子さんの綴るお言葉は、音読すると懐かしい気持ちになる。小さい頃に日常や遊び、自然の中から受け取っていた一種のリズムと身体と心いっぱいに広がる音楽性があるからだ。石牟礼さんのエッセイを収めたこの本では、失われていく音楽的とも言える各地の言葉に対する愛おしさ、苦しんでいる人はまだいるのに冷たく、片付け、目を塞ぐ権力者への憤り、その悲しみ、怒りを抱えながらもそれでも赦す人への敬意に満ちている。その中でも石牟礼さんのお言葉を通して杉本栄子さんへの覚悟と強さに対峙した時は胸いっぱいに熱いものがこみ上げてくる

  • chanvesa

    「命というのを物質化して考えれば考えるほど、公害みたいなものはもちろん出てきますし、人間を管理するだけの…だれか管理する者がいて私たちの生活、生存そのものが管理化されてしまうという、そういうことであってはならないという思い(128頁)」石牟礼さんの思いが随所にストレートに現れるこの本で、特にその思いの強さを感じた箇所である。ぽーっとした人を生産不適合者として管理するのではなく「悶え神(144頁)」とする社会、それは遠く過去となり詩的な世界にしか見出だせないのかもしれない。

  • 松本直哉

    美しい表紙の美しい題名の本。綾蝶(あやはびら)は蝶であると同時に琉球では魂を意味する。ギリシャ神話の魂の表徴であるプシュケが蝶の翅で表現されるのを連想する。綾蝶とはまさに石牟礼自身のことではなかっただろうか。言葉なきもの、言葉を喪ったものの言葉を傾聴し、その魂に憑依する巫女のように、海と陸のあわいの渚の生きもののように、この世ともうひとつの世を自在に往き来する、そのために彼女がつねによりどころとしてきたのは文字に定着される前の言葉、言葉以前の歌、言葉の原初をとどめる方言だった。

  • ちゃっぴー

    石牟礼道子さんのエッセイ、講演、対談など。「苦海浄土」は、水俣病患者の苦しみが石牟礼さんに憑依したかのような重さだった。この本で彼女の感性に触れ、腑に落ちた。優しく響く方言、美しい日本語をかみ締めるように読んだ。

  • algon

    「苦界浄土」という日本文学にとっては非常に大きな足跡をいきなり残したために作家の事績そのものが日文ファンにとっても親しみづらい作家という妙にユニークな面を持つのだが、作品がとことん不知火海周辺ということ、そして天草方言ということもあるのかもしれない。そしてまた「南島での書簡をとつおいつ眺めてみるのだが憂悶のたゆたいが、ところどころ…」というような手練れの文がどれだけの読者を魅了できるのか…と言う疑問もあるにはある。しかしほぼ初出文を集め、著者の生前に間に合わず逝去後3か月で刊行された本書、興味深く読めた。

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