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ISBN 10 : 4911530022
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今年の参議院選挙ではアメリカファーストだけでもうんざりしているなか、「日本人ファースト」を標榜する政党が多くの国民の支持を得て飛躍的に議席を伸ばし、それに勢いを得て強まる外国人排斥の動きが活発化しはじめている。世の中は確実にいやな方向に進んでいる。こんな時だからこそ、布施辰治に蘇ってもらおうと考えた。
10号という記念すべき号は、布施が掲げた理想のたいまつを受け継ぎ、語り継いできた人たちの軌跡も追いながら、布施が問い続けた弱い人たちの立場に立ちながら、正義を貫くという、いまの時代にこそ一番大事なことを見直すためだ。
人間はみな平等で自由であるべきだという、当たり前の信条にしたがって、布施辰治は活動を続け、人々を助けてきた。布施がかかげた人類愛の理念は、布施亡き後も学者や教師、ジャーナリスト、古本屋、中学生、韓国の人々などたくさんの人たちによって語り継がれてきた。だからこそ布施辰治は蘇ることができるのである。
布施辰治が生まれた石巻で、「石巻学」一〇号は、いままでたくさんの人がつないできたこのバトンをしっかり受けとめ、未来につなぐ一冊にしたいと思ったのだ。
(大島幹雄「蘇れ! 布施辰治」より)
布施 辰治(ふせ たつじ、1880年(明治13年)11月13日-1953年(昭和28年)9月13日)は、宮城県出身の弁護士・社会運動家。1920(大正9)年、「自己革命の告白」を個人誌『法廷より社会へ』に発表、人権蹂躪、社会的弱者、言論弾圧、無産階級擁護の闘いに専念することを誓った。その活動は、アナーキスト・ギロチン社の弁護から、自由法曹団や解放運動犠牲者弁護団、さらに植民地台湾の農民運動や朝鮮での独立運動の弁護にまで及ぶ。日本共産党事件の弁護活動のなかで、1932(昭和7)年に弁護士資格を剥奪され、1934(昭和9)年には治安維持法に連座し、収監されるという弾圧をうけた。布施辰治の墓碑銘には、「生きべくんば民衆とともに、死すべくんば民衆のために」と刻まれている。
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