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アイヌがまなざす 痛みの声を聴くとき

石原真衣

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784000616416
ISBN 10 : 4000616412
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

本書は、アイヌの出自を持ち差別解消の運動に関わってきた現代アイヌの語りとその現象学的分析、そして語りをより大きな文脈の中に位置づける論考によって構成される。問われるのは、遺骨返還運動が示す不可視化された植民地としての北海道(第1部)、アイヌの出自を持つ女性がアイヌ/日本社会において被る複合差別(第2部)、学術的言説によるアイヌ問題の文化/アイデンティティへの矮小化(第3部)、という三つの問題である。これらの問いを通して、差別/支援を問わずアイヌを一方的にまなざし、語る側であった和人の姿と、アイヌ自身がその視線を転換させ、和人をまなざし返すことの可能性が描き出されるだろう。

目次 : まなざされるアイヌとまなざし返すアイヌ/ 第1部 遺骨返還運動とアイヌ近代史(先人の尊厳と未来の教育―遺骨返還運動にたずさわる木村二三夫さん/ アイヌ文化を伝えられてこなかったことに誇りを持っている―親族の遺骨を探索するBさん/ 幽閉されるアイヌと遺骨)/ 第2部 インターセクショナリティ(アイヌ女性と複合差別―ヘイトスピーチと闘う多原良子さん/ 先住民フェミニズム批評―Ain’t I a Woman?/「私」は女ではないの?)/ 第3部 アイヌと外部を行き来する(羽をパタパタさせればいい―アイヌ近現代史研究者である新井かおりさん/ 家出少年は傍らに神話を持つ―美術家結城幸司さん/ 思想的消費とまなざしの暴力)/ まなざしの転換

【著者紹介】
石原真衣 : 1982年北海道サッポロ市生まれ。アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル。北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授。文化人類学、先住民フェミニズム。著書に『“沈黙”の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー)』(北海道大学出版会2020、大平正芳記念賞)、編著書など

村上靖彦 : 1970年東京都生まれ。大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CiDER)兼任教員。現象学。著書に『摘便とお花見』(医学書院2013、日本学術振興会賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ネギっ子gen

    【北海道開拓150年は、アイヌへの植民地支配150年の歴史】当事者5人のインタビューから、アイヌの“まなざし”を辿り、アイヌの声を奪い語りを占有し続ける日本人のあり方を問うた書。副題に惹かれ――。全10章。各章末に、注。<植民地支配としての歴史、そして世界のまなざしが今を生きるアイヌの人たちにどのように刻まれているのか、またアイヌは世界をどのようにまなざし返しているのか、アイヌの出自を持つ人たちの語りのさまざまな襞から考えていく>と。……実は、道産子ながら出自がシャモである故に忌避してきたテーマで…… ⇒

  • ドラマチックガス

    御本人もアイヌの血筋である石原真衣さんと『客観性の落とし穴』の村上靖彦さんがアイヌを語る。掲載されるエピソードやインタビューはとても興味深い。また、マイノリティの味方を装うマジョリティの暴力性の指摘は重要だと思う。ただ、マイノリティの議論に「立場性」や「思想的消費」などが入ってくると、マジョリティ側が何もできなくなってしまうことへの隔靴掻痒感も。純粋にアイヌの人々のために何かしようとしていた人もその立場性から批判するというのは、重要だろうけれど問題を先に進ませない原因になってしまう気もする。難しい。

  • かんがく

    マイノリティの沈黙、透明なマジョリティによるまなざしなど、先日読んだ同著者の『記号化される先住民』と共通するテーマも多かったが、多くの当事者の「語り」が引用されて、その語り口に対する分析も丁寧になされているため、より深く心に訴えかけるものがあった。研究の持つ暴力性に自覚的でないといけない。

  • チェアー

    最初から最後まで続く緊張感。こんなに緊張感が持続する本は久しぶりだ。 アイヌ、部落、沖縄。大きなくくりで考えることから離れなければならない。その中にあるさまざまなバラエティを感じ取り、ただ話を聞くしかない。学ぶというより、ただそばにいて話を聞くことだ。そこから勝手な「教訓」を引き出さないこと。

  • せい

    少し前ゴールデンカムイの著者が何かのインタビューで「アイヌ人に『強いアイヌを描いてくれて嬉しい』と言われた。この漫画に肯定的感想を持たないアイヌは何かのイデオロギーに囚われた人だ」的な傲慢なことを言ってアイヌルーツの人が怒っているのを見た。「アイヌの文脈においてアライになるとは、植民側が享受する利益と過去の不正義についての知識を持ち、アイヌが今日置かれている疎外や傷、トラウマを直視し、現在と未来において先住民としてのアイヌの回復を目指すことを共に達成するということである。」この言葉を胸に刻みたい。

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