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高所綱渡り師たち 残酷のユートピアを生きる

石井達朗

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784787274731
ISBN 10 : 4787274732
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2025
Japan

Content Description

高層ビル間にピンと張ったロープの上を、長く重いバランス棒だけを抱えて一歩一歩進む綱渡り師たち――。地上の観客が息を詰めて見上げるなか、空中で歩いたり、座ったり、寝転んだりを繰り返す。悲鳴をあげる観客。彼ら/彼女らはなぜ挑戦するのか。どのようにして墜落の恐怖を超えられるのか。

ナイアガラの滝の上を走る1本のワイヤー。綱を感じる足裏、皮膚が感じる湿気、微風をいち早く察知する。それはまるで身体を世界へと拡張させているかのようだ。SNSの時代には考えられない身体の極北がそこにある。

大の男だけではない。8歳の少年や15歳の少女、サーカス芸人の女性、何世代にもわたり延々と危険な技を続ける綱渡り一族。死をも恐れない老若男女が「より高く」「より長く」「より魅力的に」綱を渡る。「アクロバット」を「アート」に転換する現代の高所綱渡り師たちもいる。

生の実感、死の恐怖、生死の境界の究極のポエジーがそこにある。高所綱渡りに挑む勇者たちの、緊張感みなぎる生きざまを丹念に描く渾身のドキュメンタリー。

【目次】
第1章 女であることは途方もない可能性である
 1 ロープ上で観客を魅了する幼女
 2 代役がセンセーショナルな人気を博す
 3 不倫の子を出産、そしてナポレオンと出会う
 4 土砂降りのなかでロープを昇って、降りる――ロンドンっ子の驚きと称賛が止まらない
 5 「マダム」と「マドモワゼル」、二人のサキが出現
 6 満身創痍でも芸を続ける――壮絶なる晩年

第2章 ブロンディン――綱渡りの代名詞になった巨人
 1 天才少年、波瀾万丈の日々
 2 歴史に残る「ブロンディン」は二十七歳、アメリカで誕生した
 3 ついにその日がやってきた――ナイアガラの滝に挑む
 4 ナイアガラでの空前絶後の行為の数々
 5 ダブリンで、作業スタッフの事故死を経験する
 6 母国フランスに錦を飾れないのは、「重婚」が原因か
 7 遠くオーストラリアでも衰えを知らない技を見せる
 8 六十代半ばで久々のニューヨーク公演、そしてロンドンのついのすみかへ

第3章 「ブロンディン」を名乗り、ブロンディンに挑む
 1 自他とも認める「オーストラリアのブロンディン」とは
 2 少年を巻き込んだ二つの悲劇
 3 「オーストラリアのブロンディン」を名乗る男の無鉄砲なパフォーマンス
 4 ナイアガラで生まれ育った男のナイアガラ挑戦

第4章 体を張って、ジェンダーイメージをくつがえす女たち
 1 サーカス芸人であることが、女が自由を手にできる数少ない領域だった
 2 セリーナ・ヤング――最‥

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Book Meter Reviews

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  • けんとまん1007

    想像できかねる世界。人間という生き物の持つ可能性を考えざるを得ない。素質、鍛錬、精神力、プロモートなどが重なり合っての世界。読みながら、思わず引き込まれる自分がいた。しかし、この準備をすること自体、凄いことだと思う。

  • kawa

    思わぬ拾い本を堪能。ナイアガラやグランドキャニオン、はてはNY貿易センタービルに安全ネット・ハーネス無し綱渡りの命知らず冒険家列伝。ブロンディン、ファリール、ザゼル・・・、知らなかった人々の所業が次々。「七人ピラミッド」なる妙技失敗で、2人亡くなり1人半身不随のワレンダー一族。世間常識からは、再びは無いと思うのだが果敢に「八人ピラミッド」挑戦に絶句。500回以上逮捕豪語のフィリップ・ティプの貿易センタービル違法綱渡りも、一体どのような準備から始まっての凄まじ所業の一端が明らかに(ノンフィク映像ありだと)。

  • チェアー

    本当に綱渡りは無謀なのかと考える。鍛錬し、成功すると確信して臨む綱渡りは本当に無謀なのかと。それは失うものが生命(もしくは、健全な肉体)という「賭け金」なら大きさから無謀と判断しているのではないか。

  • 茶幸才斎

    歴史に名を残した命知らずな綱渡り師たちの列伝。ナイアガラ渓谷を渡り名声を博したブロンディン、興行師としても成功したファリーニ、綱の上で7人ピラミッドを演じたカール・ワレンダ一族と、その後の惨劇を乗り越え8人ピラミッドを完成させた彼の末裔ニック・ワレンダ、無許可で世界貿易センターのツインタワー間を渡ったフィリップ・プティ。無事に人生を全うした者もいれば、悲惨な最期を遂げた者もいる。彼らの挑戦は理解しがたいが、翼を持たない人間が生身で空中を移動しようとすれば、綱渡りという形に行き着いてしまうのかも知れないな。

  • takao

    ふむ

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