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サード・キッチン 河出文庫

白尾悠

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784309419282
ISBN 10 : 4309419283
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2022
Japan

Content Description

念願叶ってアメリカの大学に留学するも、英会話がままならずひとりぼっちの尚美は、ある日、人種や性別などあらゆるマイノリティが集う特別な学生食堂に招かれる。手作りの多国籍な料理に癒されると同時に、自らに潜む偏見や差別意識に気付いた尚美は初めて自分と深く向き合う―時に傷つき、傷つけながらも仲間と支えあい前へ進む姿に感涙する、青春小説の傑作!

【著者紹介】
白尾悠 : 神奈川県生まれ。東京育ち。米国の大学を卒業後、帰国し、現在はフリーの企画者/マーケター。第16回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞&読者賞をダブル受賞し、2018年に受賞作を収録した『いまは、空しか見えない』(新潮文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 夜長月🌙新潮部

    日本からアメリカに留学したナオミが体験する無意識な色めがね。それは自分に向けられるものでもあるし、自分が気付かずにいるバイアスでもあります。日本で生活していてもハーフっぽく見えることは誉め言葉としてよく使われます。そして多くの場合、手足が長いことや色の白さ、くっきり大きなふたえの目などを指します。「普通な」が「正常である」とか「正しい」という意味合いを持つことに懐疑的でなくてはなりません。

  • coolgang1957

    青年は傷つきやすく臆病です、英語が拙くて言いたいことが伝わりません、バービー人形たちの間で劣等感に苛まされてます。でもそれは日本に居たって言葉が出ない、そんな状況は沢山ある、それに語彙が少なく的確な言葉を紡ぎ出せないのは同じ事、(このレビューも)。…でも舞台が留学中だからそんな光景が増幅されて心象がよくわかります。知る事が大事、無知は罪、と言われても勉強してないと理解はできませんよね。先生が言ってたように、考え続けないと……

  • seba

    「エスノセントリズム(自民族中心主義)」という言葉を学んだという点で価値のある読書だった。時は1998年、ある人物の援助によりアメリカの大学への留学が叶った尚美。英会話の拙さにめげて馴染めないでいたところ、様々なマイノリティの学生が属する特別な学生食堂に呼ばれるようになる。しかし居場所を得た彼女が気付いたのは、自分が無意識に持つ差別意識だった。無知ゆえの差別を自覚した後にはすべきことがある。日本にいると切迫感に晒される機会が少ないため、無知でいることができてしまう。それは一つの特権だという言葉が印象的だ。

  • ゆみのすけ

    読み応えがある、とてもいい本だった。アメリカの大学に留学したナオミ。英語に不慣れで、コミュニケーションがうまくとれないこと。他人の援助により留学生活を送るという経済面の厳しさ。それにより他人に揶揄され、差別されていると感じていた。息苦しい毎日に出会ったのがサードキッチン。そこは人種や性別などのマイノリティが集う特別な食堂。自分は他人を差別するわけがないと思っていても、無知ゆえに差別し、人を傷つけていることもあるなんて、考えてもみなかった。他人に目を向け、答えが出なくても考え続けることの大切さを知った。

  • 鈴木拓

    無意識のうちに人を差別していることは誰にでもあるのだろうし、それをすべて否定することもできない。むしろ、自分自身にもそれがあり、他の人にもそれがあるという前提で、どのように人と対していくのかを考える必要がある。それも自分自身の頭でしっかりと。自ら発する言葉に悪意がなくても、相手を傷つけていることがあるし、自分自身が傷ついていることもある。マイノリティ=アブノーマルではないし、違うことが当たり前なのだと頭では理解しても、きっと本質的に受け入れるのは簡単ではないのだろう。先入観を持たずに読んでほしい良書。

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