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きしむ政治と科学 コロナ禍、尾身茂氏との対話

牧原出

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784120056772
ISBN 10 : 4120056775
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

福島第一原発事故、さかのぼれば薬害エイズ、水俣病…。専門家による政府への科学的助言はいつも空回りした。このコロナ禍でもまた、政治と科学(専門家)は幾度も衝突した。専門家はその責任感から自らの役割を越えて「前のめり」に提言したこともあった。専門家たちは何を考え、新型コロナに向き合ったのか。政治と科学の間には、どのようなせめぎ合いがあったのか。そして、コロナの教訓を新たな感染症の脅威にどう生かすのか…。尾身茂・新型コロナウイルス感染症対策分科会長への計12回、24時間以上にわたるインタビューを通じ、政治と科学のあるべき関係を模索する。

目次 : 序章 コロナ禍の3首相/ 第1章 謎の肺炎―過去の教訓生かされず/ 第2章 前のめり―「ルビコン川」を渡った専門家会議/ 第3章 緊急事態宣言発令「42万人」死亡推測の衝撃/ 第4章 専門家会議の「廃止」―政府に向かうべき批判が専門家に/ 第5章 GoTo―経済かコロナ対策か/ 第6章 東京五輪―官邸と専門家の衝突/ 第7章 看板倒れの「聞く力」―平時への移行に前のめり/ 第8章 感染症対策の司令塔―専門家助言組織のあり方を問う/ 終章 コロナとの共生

【著者紹介】
牧原出 : 1967(昭和42)年愛知県生まれ。90年東京大学法学部卒業。93年東北大学法学部助教授、2006年同大学大学院法学研究科教授。11年博士(学術)。13年より東京大学先端科学技術研究センター教授。専門は行政学・政治史・オーラルヒストリー。著書に『内閣政治と「大蔵省支配」』(中公叢書、2003年、サントリー学芸賞受賞)、『田中耕太郎』(中公新書、2022年、読売・吉野作造賞受賞)など

坂上博 : 1964(昭和39)年新潟県生まれ。87年東京工業大学工学部卒業。同年読売新聞東京本社入社。千葉支局、松本支局、医療部などを経て2016年より読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員。専門は感染症、難病、薬害、再生医療など医療全般(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    新型コロナを巡る政治と科学の対立は世界で見られたが、尾身氏は日本で科学側の最前線にいて両者の調整役を務めた。専門家と政治家の最適解が一致しないのは戦争でも見られるが、試行錯誤の連続だった当時はまさに戦時といえた。国を平常運転しようとする政府と、感染拡大抑制を図る医学の間で最適解を見つけようとする苦労が改めて理解できた。中国のような厳格な封じ込め政策を採用できない日本で、パンデミック対策と日常維持の両立させる難しさはまさに綱渡りといえる。今回の体験を次の流行時に有効活用できるかが、政治に託された課題だろう。

  • kitten

    図書館本。新型コロナ対応の先頭に立った尾身さんが、その時々でどう考えていたのか。特に、政治とのかかわり方に焦点をあてた回顧録、かな。私も医療者の端くれなので、ほぼ尾身さん側からの見方は理解できる。しかし、尾身さんのバランス感覚はとんでもない。日本が比較的最小限の被害で済んだ、一番の功労者は尾身さんだろう。つい最近、分科会会長からの退任が発表された。本当にお疲れさまでした。本書は、歴史書としての価値が高い。次のパンデミックに備えるべし。喉元すぎてなんとやら、ではだめだ。

  • メチコ

    新型コロナと対峙した専門家たち。 そんなスペシャリストな集団のなかからMVPを選出するのであれば、やはり尾身先生なのかな…と。 未知のウイルスに対して皆が皆、100%納得する答えなどあるはずもなく。 それでも政治家と専門家、政治判断と国民感情、医療と経済、理想と現実、理性と感情…すべてを俯瞰し、よりベターな方向性を冷静に示していく、そんなバランサーとしての能力がずば抜けているように感じるのよね。 尾身先生がいてしまったがために、専門家集団が逆に悪目立ちしてしまった部分もあるのかもしれないんだけどさ。

  • みじんこ

    コロナ禍の始まりから5類移行まで、尾身氏へのインタビューをもとに振り返る。専門家集団として言うべきことは言わねば歴史の審判(なぜ提言しなかったのかという後世の指摘)に耐えられないという点を重視した場合もあり、使命感を持ち対応したことも分かる。専門家が対策を全部決めているかのように、一方で政府案の追認機関と化しているかのように見えていたのは一面として自分も感じていた。責任の所在問題と、お互い譲れない点のせめぎ合いの息遣いも感じられる証言。医療逼迫の原因や政治の役割など、次なるパンデミックへの課題が見える。

  • お抹茶

    このインタビューを読むと,矩という言葉が頭に浮かぶ。大変苦労された方だと思うが,政府・官邸の論理もわかったうえで,特定の人や組織への批判を避け,その時々の意思決定の舞台裏を語り,国と自治体と専門家の関係やリスクコミュニケーションも課題を挙げる。「ここで何も言わないと、『歴史の審判に耐えられない』」という思いが何度も去来する。「官邸VS専門家」という帯は少し誇張している。科学者としての矜持を保ちつつ,有事においてスピード感と柔軟性を実現する難しさ,政治や世論に翻弄させる苦労を,抑制された口調から感じる。

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