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時間の言語学 メタファーから読みとく ちくま新書

瀬戸賢一

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480069504
ISBN 10 : 448006950X
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2017
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

時間は抽象なので、私たちが時間を認識するとき、なにかに「見立て」るしかない。この「見立て」つまりメタファーを分析することで、“時間”を具体的に意識化することができる。近代において最も強固な「見立て」は“時は金なり”のメタファー。コーパスや、具体的なテキスト(「吾輩は猫である」「モモ」等)を探り、私たちが縛られているさまざまな時間のメタファーを明らかにした上で、新しい時間概念(「時間は命」)を模索したい。

目次 : 第1章 時間をことばで表すと―『広辞苑』vs.『新明解』(『広辞苑』の定義の変遷/ 『新明解』の挑戦)/ 第2章 「時間」と「とき」(ときの意味―ゆったりと流れるもの/ 時間の意味―計量されるもの/ 「時は金なり」は「時間は金なり」?)/ 第3章 時間経過の認識論(哲学者たちは時間をどう思索したか?/ 時間はどう流れるか)/ 第4章 時間のメタファー(時は金なり/ 時間に追われる/ 時間のネットワーク―時間のことばの全体像)/ 第5章 新たな時間概念を求めて(“時間は命”/ 時間の円環を取り戻す)

【著者紹介】
瀬戸賢一 : 1951年生まれ。佛教大学文学部教授。大阪市立大学名誉教授。専門は、英語学・レトリック。レトリックを中心に言語表現の実際を分析し、豊かな表現技法に向けてさまざまな提言をしている。また、認知言語学の立場から、人間の言語・行動・認識を体系的に解明することを目指す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ころこ

    ポー『盗まれた手紙』のように普段から我々が使っている言葉を分析して、目の前に何があるのかを発見している。目の前にあるものの意味を発見することほど難しいことはないからだ。辞書の引用が冗長だが、時間は未来から過去に向かって流れ、主体は過去から未来へ向かうという第1章の指摘は言語哲学の時間論に似ている。

  • SOHSA

    《図書館本》「時間」の概念に対する言語学からのアプローチによる1冊。全体として論理は明解で読みやすく、著者の言説と主張は概ね理解できる。何よりメタファーによる時間概念の読み解きという手法は興味深い。一方で同じことの繰り返しと受け取れるところもいくつがあり、少々、じれったい感が残る。最終的には時間のメタファーとして「金」から「命」への転換を提言して終わるが「時間」がどういうものかということと、どうあるぺきかということは本来的に別物であり、唐突な印象が残った。ともあれ著者のチャレンジには拍手を贈りたい。

  • torami

    時間という抽象概念を捉えるために、時間にまつわる様々なメタファーを読み解いている。メタファーの説明はかなり難しく、正直あまり理解できなかった。 しかし、時間とお金に類似性があると説明する第四章第五章は、『モモ』を材にとっており面白く読めた。 資本主義下で、私たちは多かれ少なかれ時間をお金に換えて生活している。そこでは時間を効率よく使うことが美徳とされている。 モモはその美徳を疑うことで人間性を守り通した。彼女は人生を豊かにする方法を知るよきアドバイザーだ。折りに触れて彼女に会いに行くことにしようと思う。

  • M

    時間の在り方について、ことばの実情を表す、類似性に基づく比喩であるメタファーに注目すると時間の構造はお金の構造に類似している。日本に太陽暦、時間ということばが翻訳され、導入されたのは1873年だが、時間以前の和語としての「とき」に長年の歴史があったため、当時の語義数では時間を上回っていた。時間のことばとともに計量思考の概念も導入され、時間の数字表現が意識され始めた。それ以前の日本人では四季よりも長い一年を見定めるのに何に着目したのか、また、近代の時間はアラビア数字による時間意識の定着によって生まれたのか。

  • ペペロニ

    やっぱり言語学って面白い…と思わせてくれる本。「時間はお金」のメタファーに世界は鷲掴みにされてしまっている。そうではなくて、「時間は命」のように大切にしなければならない。時間の使い方からこれからの生き方に至るまで考えを巡らそう。

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