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藤原摂関家の誕生 皇位継承と貴族社会 岩波新書

瀧浪貞子

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004320814
ISBN 10 : 400432081X
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

死の床に就いた桓武天皇。安定した皇位継承を願う彼の遺言≠ヘ、歴史を大きく動かした。ポスト桓武の時代、血なまぐさい事件が起こるなか、藤原北家は幸運を引きつけ、類い稀な才覚と政治的嗅覚を持つ者たちが、天皇家との関係を深めてゆく。藤原道長「望月の歌」をさかのぼること一五〇年、藤原摂関家はこうして生まれた。

【著者紹介】
瀧浪貞子著 : 1947年大阪府生まれ。京都女子大学大学院修士課程修了。文学博士(筑波大学)。京都女子大学名誉教授。専攻、日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    藤原北家が摂関家としての地位を固めたのは、従来は人臣初の摂政となった良房の存在が大きいとされてきた。しかし良房の祖父であり歴史的には無名の内麻呂が、恐るべき政治技術を駆使して第一人者となったからこそだった経緯を明らかにする。自分の妻を桓武天皇の側室とし、伊予親王事件では故意に動かず南家を追い落とし、薬子の変で平城上皇に味方した長男を見捨てるなど「そこまでやるか」と思える冷徹な政略で北家のみの繁栄を図ったのだ。権力闘争では陰で立ち回る者が最後に勝つというが、内麻呂の非情な政治哲学は現代にも通じるものがある。

  • よっち

    安定した皇位継承を願う桓武天皇の遺言と、類い稀な才覚と政治的嗅覚を持つ藤原北家の者たちが、天皇家との関係を深める藤原摂関家を生み出した過程を解説する1冊。伊予親王事件や桓武天皇の遺言の影響、激情的だった平城天皇と藤原薬子の変などが起きた流れの中で台頭してきた藤原内麻呂の手腕、子の真夏と冬嗣の明暗、内麻呂の死後右大臣となった園人を出し抜いた冬嗣が嵯峨天皇の信任を得ていく様子が解説されていて、藤原四家は独自に動いていたこと、台頭してきた北家の中でも複雑な相克があったことが伺える考察はなかなか興味深かったです。

  • さとうしん

    著者が岩波新書で出した『桓武天皇』の続編にして、摂関家の祖としての藤原内麻呂とその子冬嗣の再評価の書。ほかにも北家の藤原園人など、知られざる人物を掘り起こしている。また、当時は皇太子に天皇の補佐が求められていたこと、桓武の子の平城、嵯峨、淳和、伊予親王の年齢差の問題、藤原氏は氏族全体としての結束力がなく、藤原四家それぞれが小氏族として活動していたこと、嵯峨の皇后橘嘉智子がその血縁から冬嗣に身内のように見られていたことなど、面白い話題や論点が随所に盛り込まれている。

  • MUNEKAZ

    藤原摂関家の興隆の裏には、桓武天皇の「遺言」と藤原内麻呂・冬嗣の深慮遠謀があった!…ということで話としては大変面白いのですが、「〜と思う」「〜と考える」が連発される内容は、どこまでエビデンスあるのかなと疑問。色々と引っかかる部分はあるが、桓武帝亡き後の政治的混乱の中から、藤原北家がいかにライバルを蹴散らして台頭し、皇室と繋がっていったかがよくまとまっていると思う。冬嗣の兄で平城上皇の忠臣であった真夏、内麻呂亡き後一時的に廟堂の首班となった園人など、あまり知られていない北家の人物の肖像が興味深い。

  • お抹茶

    桓武,平城,嵯峨天皇期の内麻呂・冬嗣親子による権勢拡大の策略を追う。桓武が後継者を明確に指示しなかったが藤原北家隆盛の一因だと説く。伊予親王と母・吉子を謀反の罪で自死に追い込んだのは平城天皇を誘導した内麻呂とされ,特に橘氏の血を引く吉子の存在は危険だった。内麻呂は安殿親王(平城)と神野親王(嵯峨)双方に息子を側近として送り込み,嵯峨と冬嗣の関係を人臣最初の摂政誕生の母体とするほど,北家覇権のために機知を働かせた。内麻呂は北家の反映を強く望み,冬嗣は自身の血脈の隆盛を望んだ点が異なる。

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