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日本小説技術史

渡部直己

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784103860020
ISBN 10 : 4103860022
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2012
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

『八犬伝』や『金色夜叉』の作品構成を支えた「偸ち聞き」の技術とは?『たけくらべ』の美登利の心変わりにおける「突然」と「偶然」の相違とは?『破戒』の「告白」は、作中の「描写」といかなる技術関係を結んだか?『道草』の夫婦の気持の齟齬は、どのような文章技術によって描かれたか?『あらくれ』のお島を「あらくれ」娘に作り上げた創作技術のポイントは?『第七官界徂徨』のしぐさ描写で見えてくる「新感覚」の技術世界とは?名作の創作技術を著者ならではの緻密な豪腕で論じ、小説の読み方の根幹を築いた代表作。

目次 : 序文 「日本小説技術史」にむけて/ 第1章 「偸聞」小説の群れ―馬琴「稗史七則」と逍遙・紅葉/ 第2章 二種の官吏小説―二葉亭四迷『浮雲』と森鴎外「ドイツ三部作」/ 第3章 「突然」な女たち―樋口一葉の裁縫用具/ 第4章 「自然」を見る・嗅ぐ・触る作家たち―独歩・藤村・花袋・泡鳴/ 第5章 反りの合わぬ夫婦たち―夏目漱石のフォルマリズム/ 第6章 志賀直哉の「コムポジション」と徳田秋声の「前衛小説」/ 第7章 妄想のメカニズム―芥川龍之介と競作者たち/ 第8章 「文」はどのように「人」めくのか?―鴎外の「史伝」と谷崎の「古典回帰」/ 第9章 男たちの「格闘」に「女の子」の仕草を添えて―横光利一・尾崎翠

【著者紹介】
渡部直己 : 1952年東京生れ。早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • しゅん

    日本近代小説の胎動(に取り憑く滝沢馬琴の亡霊)から横光『純粋小説論』までの50年を、「心情」や「社会の反映」といった曖昧で副次的な概念から切り離して、「技術」の一点から貫く大著。因果律の近代化に腐心する男性作家を尻目に一葉が因果をあっさり裁断する、その鮮やかさを細部まで確かめる三章の論が一番切れていたような。時系列が急に入れ替わる秋聲の後説法も興味深い、というか好きな作家なのに意識せずに読んでいたなぁ。「事件は、ここでも、小説という名の現場でしか起こらぬのだ」と急に青島警部が出てきたのはちょっと笑った。

  • なめこ

    こんなに使える本はない!とはいえ、とても一度読んだだけで使いこなせるような代物であるはずもなく、著者が好んで(?)用いる言い方をすれば、この本に書かれていることを自家薬籠のものとするためには、途方もない鍛錬が必要だろう。

  • けいこう

    第七章の「現実の他のさまざまな局面においてもそうであるごとく、どれほど驚嘆にあたいしようとも、それがかりにわれわれの生の「歓び」に背くとしたら、技術に一体いかなる意味があるのか」からのラストには、泣く。ってか笑う。様々な技術の読み込みや数字がどうのこうのというのについて、著者の他作を読んでも、ポカーンとなってしまう阿保である僕なのだけど、技術論ではなく技術史なだけに、えっちらほっちら論を追っていくだけでも楽しい。でも、それだけにしちゃあ長いし気合いも入ってるわけで、耽読し自家薬籠中の物にせよってか。

  • りんご飴

    大著ではありますが気にならずに読みすすませてくれました。

  • hasegawa noboru

    技術史の観点(小説の技巧の分析)から日本近代小説の主要作品をたどる。小説を書くにあたって、技術は必要条件ではあるだろう。当たり前のようで誰でもができることではない。小説を何が書かれていたかでしか読めない、私(ら)凡庸な読み手にとっても、瞠目すべき大著であることぐらい分かる。いかんせん私には秋声、横光利一、尾崎翠等読んでない作品の方が多く、難解さがつきまとうが、例えばいかにも万事にわたってそつない能吏だった森鴎外らしい、「切盛と捏造」、自己弁護(血肉レベルの保護色=対抗)ぶりの技術の章など読み応え充分。

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