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歌う国民 唱歌、校歌、うたごえ

渡辺裕(音楽学)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121020758
ISBN 10 : 4121020758
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2010
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
渡辺裕 ,  

Content Description

唱歌が孕んでいた政治的目論みは過去のものでも、様々な要素は換骨奪胎されながら、今も生き延びている。唱歌の時代から「うたごえ」そして現代までを辿る、推理小説を読むような興奮あふれる、もう1つの近代史。

【著者紹介】
渡辺裕 : 1953(昭和28)年、千葉県生まれ。83年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美学芸術学)単位取得退学。大阪大学助教授などを経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授(文化資源学、美学芸術学)。著書に『聴衆の誕生―ポスト・モダン時代の音楽文化』(春秋社、サントリー学芸賞受賞)、『日本文化 モダン・ラプソディ』(春秋社、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 1959のコールマン

    ☆5。今、我々の音楽の中心になっている西洋音楽はどのように受容されていったのだろうか。この本はそれとは多少テーマが違うが、十分にその課程を理解できるように記述されている。とはいえ、著者が「文化は過去の遺産を基に色々な要素が組み合わさりながら複雑に進んでいく」と言いながら、明治時代の邦楽、俗楽に明るくないせいか、西洋音楽ベースの歌が中心に取り上げられていて、日本の音楽文化の複雑かつ豊穣な世界を描くのに成功していない気がした。まあそれでも、校歌の話や県歌の話は面白く読めた。

  • しゅん

    共に歌うための「コミュニティ・ソング」である点、卑猥な「俗」から「健全」を守ろうとする点、上からの統制でありながら様々な力学が働いている点で、国民教育としての戦前の唱歌と、労働歌としての戦後のうたごえ運動が同一線上にある、つまり「右翼」と「左翼」は通底しているというのが本書の一つの結論。「戦前」は実はずっと生き延びていたという事例を知る機会が増えたが、本書もまたその一つとして記憶に残る。共同性って忌々しいものだと思うけど、実際どこまで必要なんだろうか。「仰げば尊し」の捉え方の変遷なども面白い。

  • mitei

    卒業式に歌う「仰げば尊し」VS「旅立ちの日に」の対立構造というか由来が分かった。

  • qoop

    唱歌、県民歌、校歌、社歌、労働歌…といった、特定集団が唱和する目的で生み出された歌。誰が何のために歌によって集団を繋げようとし、繋がった人々は何を思いながら歌い、また歌うことでどう変わっていったか。明治以降の歌の、広義でプロパガンダ的な在り方を説く良書。芸術的側面のみから考えていては理解できない音楽の(いわば)効用を掘り返し、検証していく本書の展開にはかなり興奮する。政治的意図をもって始められた運動が次第に変質していく様子など、一面的な見方からは出て来ない面白みがある。

  • むぎ

    かなり久々の新書。「上から/下から」の図式を借りつつそれだけでは収まらないような、歌をめぐる政策や運動、教育に関する論考。ですます調で書かれていて丁寧な説明が大変ありがたいが、音楽文化に関する何となくの理解を対象化して検討し直そうとする姿勢はずっと貫かれていて、新書にしては多少重厚な雰囲気もあるかも。フィールドや時代はかなりさまざまでも、一貫したテーマ(歌による国民の生成)でまとめるという章立ても参考になった。ベタな内容についてはレクリエーションの歴史など、自分の今の研究関心にとってもヒントが多かった。

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