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袴田事件の謎 取調べ録音テープが語る事実

浜田寿美男

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784000614467
ISBN 10 : 4000614460
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

一九六六年の事件発生から半世紀を経て、二三巻もの取調べ録音テープが開示された。犯人に違いないとの確信を手放さない取調官たちは、驚くべき言動を繰り返し、あの手この手で袴田を「自白」に追い込んでいく。そして、裁判所も自白の問題点を見過ごし、死刑判決を下す―。録音テープの綿密な分析を通じて取調室という刑事司法の闇の奥に光を当て、袴田事件の謎を解明する。

目次 : 第1章 清水事件と問題の所在―袴田自白をめぐる三つの謎(清水事件の発生と初動捜査/ 袴田が容疑の線上に上がった理由/ 袴田の自白過程とそこに浮かび上がる三つの謎/ 「自白の謎」を解く新たな鍵)/ 第2章 第一の謎 自白転落の前夜まで―「パジャマの血」の追及で自白に落ちたという謎(取調べ初日(八月一八日)/ 「パジャマの血」をめぐる取調官の策略/ 勾留延長後の取調べから自白転落の前夜まで/ 自白に落ちた九月六日の朝)/ 第3章 第二の謎 自白に転落したその日―自白の犯行筋書が日替わりで変遷したという謎(偽装された「自白調書の作成順序」/ 最初の二通の自白調書の作成過程と直後の松本警部の取調べ(正午過ぎまで)/ 午後からの岩本警部補の取調べ/ 犯行筋書き1のなかで語られた「犯行動機」「裏木戸の出入り」「甚吉袋と金袋」/ 松本警部が突きつけた疑問/ 犯行筋書1から犯行筋書2、犯行筋書3への変遷)/ 第4章 第三の謎 起訴の直前まで―起訴前の検察調書だけが「証拠」として採用されたという謎(自白転落後の吉村検事の取調べ状況/ 否認段階の取調べ録音テープで見る吉村検事の取調べ姿勢/ 警察官の取り調べと吉村検事の取調べとが相互に絡み合っていること)/ 第5章 袴田自白の謎はなぜ裁判で見過ごされてきたのか(三つの謎の背後にあるもう一つの謎―有罪を前提とした自白判断の危険/ 自白過程そのものを心理学的に分析することの意味/ 自白をめぐる経験則の悪弊)

【著者紹介】
浜田寿美男 : 1947年香川県小豆島生まれ。1976年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、奈良女子大学名誉教授、立命館大学上席研究員。専門は発達心理学、供述心理学。心理学者として、袴田事件のほか名張毒ぶどう酒事件、狭山事件、甲山事件など多くの冤罪事件の供述分析を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ma-bo

    袴田事件。作者は半世紀以上経って公表された取調べテープを綿密に分析し謎に迫る。 今までも雑誌やネット等で概要は知っていたつもりだったが、ここまで詳しく書かれた内容を読み終えて恐怖すら感じた。。担当刑事達は袴田さんを犯人と決めつけて取調べで追い込んでいく、そして都合のいい様に誘導し(いわば作文)調書を作成していく。現場状況との矛盾が現れたら言葉のうえで取り繕い辻褄合わせをする。証拠まで捏造の可能性も指摘されているという。

  • チェアー

    証拠採用されなかった44通の供述調書。一見、警察や検察の取り調べの非を認めているようだが、一連の供述調書が隠されたことで、調書が「無実の告白」になっているのに、裁判で一顧もされなくなっているという矛盾を指摘している。読めば読むほど、袴田さんの無実が明らかになり、なんでいまだに死刑判決が維持されているのかまったく分からなくなる。権力が一度、こいつが犯人だと決めつけてしまえば、すべてはそのように仕組まれてしまう。それは決して昔だけのことではない。

  • aochama

    紆余曲折の末、再審が開始される袴田事件について供述心理学の大家が公開された取り調べ録音テープを分析、3つの謎を提示し冤罪の可能性を指摘。テープ録音のやり取りは生々しく、確かに疑問はでてきますね。 人は孤立無縁と感じると無抵抗になる、一度認めてしまうと反撃はほぼ無理は妙に得心しました。テープの反訳からも伺えます。 また、一応の理屈はあるものの、心理学的な意見は刑事裁判ではなかなか証拠採用困難とのこと。広く資料を集め、総合的な判断でとも思いましたが、世の中にいろいろな人がいる以上、やむを得ないのでしょうか。

  • すばる

    1966年で発生した「清水事件」、いわゆる「袴田事件」の取調録音テープ開示を受け、その分析鑑定書を提出したものの、判決では裁判所にまともに取り上げられず、真っ向から鑑定内容を批判されてきた著者が自らの「自白の分析」の内容を詳述したもの。同事件は昨年9月26日、静岡地裁が再審無罪判決を言い渡し、10月9日に検察官が上訴権を放棄、無罪が確定している。しかしながら、当時の警察官・検察官の有罪だという思い込みに基づいた自白誘導や調書内容の作文、さらには法廷での偽証、⇒

  • 伊達者

    著者は自白問題に取り組む心理学者のはず。以前読んだ岩波取り調べや自白とはこんな風に行われているのか。新書でも怒りが伝わったが,本書も心の底から怒っている。強い説得力がある。冤罪は本当に恐ろしいことだ。犯罪捜査の報道でつい自白しているなどという報道を信じてしまうが,厳しい取り調べに耐えられる人は少ないだろう。冤罪は今も変わらぬ問題であることを知っておきたい。

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