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ISBN 10 : 4794813058
Content Description
「なぜ、人は自殺するのか」を研究テーマとして活動してきた筆者は、行政機関での自殺対策にも携わっている。ある日、離島でのインタビュー後に後輩が漏らした「自殺したいときの相談窓口は、一択のほうが迷わなくていい」という率直な声を聞いたことがきっかけで、住民や当事者自身の「生の声」に焦点を当てることにした。八か月にわたるインタビューを中心に、地元で「自殺が多い」と呼ばれる地域のデータと聞き取りで実態を掲示し(序章)、「自殺の現状」(第1章)を示している。続く第2章では、<1>大学での自殺予防教育、<2>学生を亡くした教員の苦悩、<3>民間の自殺予防電話相談に携わる大学生の「声」を取り上げている。自殺企図者に寄り添う大学生の「信念」は、想像をはるかに超えるものであった。
そして、元自殺企図者で現在相談者として活動する人物の語りと、その人が所属する「国際ビフレンダーズ大阪自殺防止センター」の取り組みを第3章で紹介しているが、これは当事者視点から「支援の可能性」を探るものである。もちろん、表出における限界はあるが、これまで語られることのなかった活動内容を知ることで、みなさんも「自殺」が他人事ではなくなるだろう。
残りの章では、筆者の専門である「離島の自殺」に焦点を当て、高校生の「島立ち」を支える大学生の取り組みなどを紹介するほか、フィリピンでの海外視察から、カトリック社会における若者の自殺増加、出稼ぎと家族関係、SNSの影響など、グローバルな課題を掲示している。
本書の取材は、自然発生的な対話から生まれたものが多い。それだけに、「身近な声に耳を傾ける重要さ」を知っていただきたい。見過ごされがちな声に光を当て、「共感」と「対話」を生み出す社会になることを願っている。SNSもAIも、「心の拠り所」にはならないのだ!
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