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現代音楽史 中公新書

沼野雄司

User Review :4.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121026309
ISBN 10 : 4121026306
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2021
Japan

Content Description

長い歴史をもつ西洋音楽は、二十世紀に至って大きく変貌する。シェーンベルクやストラヴィンスキーに始まり、ジョン・ケージ、武満徹、バーンスタイン…。多くの作曲家が既存の音楽の解体をめざして無調、十二音技法、トーン・クラスター、偶然性の音楽などといったさまざまな技法を開発し、音の実験を繰り広げた。激動する政治や社会、思想を反映しながら時代との闘争を続ける「新しい」音楽のゆくえとは。

目次 : 第1章 現代音楽の誕生/ 第2章 ハイブリッドという新しさ/ 第3章 ファシズムの中の音楽/ 第4章 抵抗の手段としての数/ 第5章 電子テクノロジーと「音響」の発見/ 第6章 一九六八年という切断/ 第7章 新ロマン主義とあらたなアカデミズム/ 第8章 二十一世紀の音楽状況

【著者紹介】
沼野雄司 : 1965年(昭和40年)、東京都に生まれる。東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(音楽学)。東京音楽大学助教授、米ハーヴァード大学客員研究員などを経て、桐朋学園大学教授。著書『エドガー・ヴァレーズ=孤独な射手の肖像』(春秋社、2019年、吉田秀和賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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 このところ、いわゆるクラシック音楽の中...

投稿日:2021/04/09 (金)

 このところ、いわゆるクラシック音楽の中の「現代音楽」に関する本がいくつか出ている。20世紀、特に20世紀後半以降のクラシック音楽は、一般人には近寄りがたい「専門家」だけの領域であった。この本は、「あとがき」に書かれているように、「類書がほとんどない」「現代音楽の世界が十分に知られていない」ことから一般向けにかかれたもので、新書の形態なので確かにとっつきやすい。  しかし、書かれていることは「音楽を文字で説明する」もので、「主流、中心的」な幹の部分と、やや些末な枝の部分とがうまく整理されていないこともあり、やはり「現代音楽の全体像」「全体の流れ」を把握するにはなかなか至らない。この本を道しるべに、自分で少しずつ実際の音楽を聴いて行かないことには、結局目先は開けてこないようだ。  とはいっても、これまでほとんど何もないところに与えられた「道しるべ」であることは間違いなので、この方面に興味のある方は一読して「現代音楽」の領域に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom

    私は現代音楽に偏見すら持っている人間だが、この本は本当に勉強になった。十二音音楽が和声や対位法に変わる新たな制約になろうとした思いや、音楽に外部音響、偶然性を取り入れる試みの必然性などが、時代背景とともに見事に解説されている。「ケージは、あらゆる概念を破壊したが、作曲家の仕事は楽譜を書くことという信念において最期まで古典的な作曲家だった」などと言わなくてはいけない状況は、「音楽は楽譜である」と堅く信じる私に、作曲とは何かという根源的な問いを突き付ける。音楽を、現代社会と関連付けて理解できる非常にいい本だ。

  • 1959のコールマン

    ☆5。良作。単純に現代音楽の歴史を紐解いていくのではなく、音楽以外の各種の歴史要素を巧妙に混ぜ合わせながら話を進めていく方法を取り、読者を飽きさせない。確かに音楽だけが社会から全く独立して進歩していった訳では無いから、これが正当な現代音楽史と言えばそう言えるのだが、まさかウッドストック・フェスティバルや手塚治虫まで出てくるとは思わなかった。あと、思わずその曲を聴きたくなるような文章にもまいった。ネットで必死に音源を探したくなるじゃないか〜〜〜。主要参考文献、索引付き。特に後者は便利。感謝!

  • へくとぱすかる

    音楽という存在の、特性にまで踏み込んでいるので、説得力がある。演奏とともに音が消える点ももちろん、文学や美術とちがって、古典古代からの継承がないことは、案外大きな影響であったらしい。レコードの発明が音楽のあり方を大きく変え、全体主義の政治が音楽の世界を悩ませた(今でも同様である)ことが特筆されている。揺れ動いた現代音楽の、21世紀の「今」が底からわかる本。著者も言うように、YouTubeがある今は、文章を読んだだけで実際の音に触れることができない、あのもどかしさがなくなったのは非常に良いことだと思う。

  • Sam

    とても面白かったし勉強にもなった。密度の濃い読書体験だった。「現代音楽」そのものの理解に加え、著者が「音楽というメディアは社会や思想を映し出している」と述べている通り、時代背景や政治、あるいは別ジャンルの芸術との関係性にまで踏み込んだ整理がされていることにより、一つの流れとしての現代音楽の輪郭が捉えられた(ような気がする)。例えば現代音楽が形成される最初の「切断点」とされる第一次大戦や1968年に世界各地で同時発生した革命といった歴史的出来事、あるいは絵画や小説・映画・建築などとの関連性が詳述されている。

  • kthyk

    シェーンベルクの無調から始まる新しい音楽の作曲の経過。売れるでも、迎合するでもなく、ひたすら自律する新しい音楽の美を追求していく人々。著者は拘るのはクラシック音楽、その追求は演奏、レコード、CDという音響にではなく、楽譜上に描かれる新しい世界の創造。しかし、その経過は建築に似て、十二音技法、セリー、電子音、電子音響と抽象化・数値化を重ね、68年には消滅したかのようだ。音楽はすごい彼らはオペラを再発見する。天王洲アイルでフィリップ・グラスの「浜辺のアインシュタイン」を92年に体験したが、あれが始まりだった。

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