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物語 東ドイツの歴史 分断国家の挑戦と挫折 中公新書

河合信晴

User Review :5.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121026156
ISBN 10 : 4121026152
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ドイツは第二次世界大戦の敗北後、東西に分裂する。ソ連の影響下、社会主義国として四〇年にわたり存在したのが東ドイツである。東西統一後、東ドイツは、非人道的な独裁政治やシュタージといった秘密警察の監視など、負の側面ばかり強調されてきた。本書は、ベルリンの壁崩壊後に明らかになった史料から、楽観的で無責任な指導部、豊かさを求めて声を上げる民衆など、壁の向こうの実験国家の実態と全貌を描く。

【著者紹介】
河合信晴 : 1976年静岡県生まれ。99年成蹊大学法学部政治学科卒業。2011年ドイツ連邦共和国ロストック大学歴史学研究所博士課程現代史専攻修了(Dr.Phil“現代史”)。現在、広島大学大学院人間社会科学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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現代史というのは難しい。というのは、それ...

投稿日:2021/06/29 (火)

現代史というのは難しい。というのは、それを論じている人間との時間距離が無いので、生身の自分との関係を抜きに語るのが困難だからだと思う。約30年前に東ドイツを皮切りに所謂東欧諸国の社会主義体制が崩壊していった時、それを「客観的」に評価することは難しかった。まして、東ドイツという国は、それら東欧諸国の中で唯一「消滅」した国である。他には、ユーゴスラビア連邦やソビエト連邦のように「連邦」が解消した国、チェコスロヴァキアのように分離した国はあるけれど、国が丸ごと無くなって吸収されたというのは無かった。それは勿論「ドイツ」という国民国家が分断されていたから、という個別的な理由ではあるのだけれど、その意味で非常に特異な国であった「東ドイツ」の歴史。なにしろたかだか45年程度の「歴史」しかあり得ないので、同じ中公新書の「物語xxの歴史」シリーズから見ても、現代史の領域が殆どという異色作ではあるのだが、ここはむしろ30年前にピリオドを打った出来事が「歴史」になっているという事実を感じるべきなのかも知れない。思えば、40年前に、「社会主義体制は皆崩壊する」とリアルな現実で思っていた人はまずいなかったと思う。そういう意味では「あちら側」の人達の歴史は「こちら側」の歴史の合わせ鏡でもあるのであって、その頃「こちら側」(必ずしも西ドイツでは、ということでなく、我々自身という意味でも)がどうだった、というのを思いながら読める本でもある。ただ、そうした意味でのリアリティ、というのも、いずれは薄まって、全て「歴史」に埋没していくのかも知れない。ただ、現実の旧東独地域の現状は、「東独であったこと」が何の影響も感じられない、というようなものではなく、そういう意味では「歴史」になる日もそう簡単にはやってこないのかも知れない。本の内容としては、新書で千円そこそこでよく纏まっていて、必読と言っていい本だと思います。

Verdi さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 旅するランナー

    東ドイツの40年を国家社会主義体制=悪の抑圧体制というステレオタイプではなく、客観的に実態と全貌を明らかにしていく。(東独)ウルブリヒト・ホーネッカー、(ソ連)スターリン・フルシチョフ・ブレジネフ・ゴルバチョフ、(西独)シュミット・コールらの関係性の変化、政治体制・政策の変遷、周辺国との関わりなど、時代の流れが分かりやすいです。でも、やっぱり、こんな実験国家の物語の中に放り込まれたら、たまらないですよね(*・`o´・*)ほーでっかー...?

  • kinkin

    第二次大戦後東西に引き裂かれたドイツ。西側は発展する一方で東側では経済政策の失敗と工業化の遅れでまさに対照的。それでも東ドイツは非人道的な監視国家として1991年のベルリンの壁の崩壊まで続くことになる。随分昔テレビ番組でシュタージ秘密警察の実態を扱ったのを見たことがある。隣同士が知らずにお互いの監視を行っていたという。それほどまでにこの国は何を恐れたのか、統一後のドイツについても僅かではあるが書かれている。このあたりはドイツ全体の歴史を学ばなければならないと感じた。図書館本

  • 佐島楓

    本書を読むといかに自分がのほほんと生きてきたか実感できて苦しくなる。なぜ国民の生活をコントロール可能だなどと思えてしまえるのか。ほころびだらけの政策を押し付けて、経済的な格差をつくり、現実を見ず、自分たちは安全地帯に逃げる。民は結果的に受けた傷を一生抱えていなければならない。壁があってもなくても、多かれ少なかれどこの国も同じか……。

  • skunk_c

    著者はベルリンの壁崩壊時に13歳!旧東ドイツにある大学で現代史を学んだ成果が本書。この手の本はともすると政治の動向が中心になりやすいのだが、リアルタイムでない分史料からの読み取りや統計を上手く利用し、特に人々の生活を可視化しようとの工夫は、概ね成功していると思った。政治については特にソ連との関係が興味深かったが、今度はソ連側から見た「社会主義国の優等生」東ドイツの本を是非読んでみたい。いくつか挟まっているコラムも面白い。「壁の崩壊」については他者の指摘通り岩波新書『ドイツ統一』を併読するのが良いと思う。

  • nnpusnsn1945

    ソ連の衛星国家ではあるものの、共産圏における優等生と言われていた。(女性関係の政策においては西ドイツよりは上のレベル)しかし、経済不順は免れられず、80年代末には諸々の政策に限界があると判明したようである。監視体制の話は避けて通れないが、著者の指導教師の友人がシュタージ(秘密警察)の非公式協力者であったと判明した話があった。反体制的な人間にとっては恐怖の象徴であるが、民衆にとっては案外身近な存在とみなされていたらしい。

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