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草山の語る近世

水本邦彦

User Review :5.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784634545205
ISBN 10 : 4634545209
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2003
Japan

Content Description

近世は人と自然の関係史にとって大きな転換点だった。なかでも森林は高地開発の対象となり、木材は最重要な資源のひとつだった。人間は自然に対し、どのような働きかけを行ってきたのか、人間と山野の関わりを探る。

【著者紹介】
水本邦彦 : 1946年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻、日本近世史。現在、京都府立大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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江戸時代の「里山」と民衆の関係史。昨今、...

投稿日:2021/04/18 (日)

江戸時代の「里山」と民衆の関係史。昨今、人里に近い二次林を「里山」と呼んで美化する傾向があるが、本書の論点を要約すると以下の通りである。近世農村地帯の「里山」は概して高木が少なく草地が多かったのだが、その理由は単純であり、農業生産を維持するために多量の植物由来の肥料を必要としたことにある。17世紀を通した人口増加と農地開発の結果として草山・はげ山化が進行し、関西の一部などでは土砂流出などの水害に対する藩を超えた広域的な対策が必要とされた。口語訳された史料や図版も含まれており、約100頁の小著にしては読み応えがあり、相応の説得力も感じる。日本の歴史的自然環境と人々の関係に興味のある全ての人に必読の好著。アメリカの著名な環境史学者コンラッド・タットマンによる林産物の利用と植林に焦点を当てた著書と併せて読むことを勧める。

iron3K さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • コーリー

    近世における人間と山野の関りについて書かれた本。日本近世の山地景観は、いずれの地域にあっても草山・柴山を主流としており、このことは全国各地で山地を草山・柴山状態に保つための働きかけが持続的に行われた事実を示すものであるという。またそれは、膨大な草肥を必要とする当時の農業のあり方と深く関係していた。草肥の需要拡大は山争いを誘発し、草山化による自然災害にも繋がった。近世社会の人びとも、自然改造とその結果抱え込んださまざまな矛盾や難問に悩み続けていた。当時の人びとの生業や生活についてもっと知りたいと感じた。

  • 千日紅

    注が充実していて読みやすい。江戸時代、田や畑への肥料として草山の草が利用されていた。理論上は、田畑面積が1であるならば、草山・柴山面積は10、燃料用の木柴取得地は2.5必要となる(56頁)。徳川吉宗等の政策により田の拡張が始まると草山が田へと転換される。草肥の供給量が不十分となり、金肥の消費が拡大した。とはいえ、近世を通じて草肥の利用は圧倒的に多かった。一方で、草山から河川への土砂流出が問題となり、木の植栽が進められた。これが鳥獣被害をもたらした。自然資源の利用が草山を起点とし生き生きと語られる。

  • こずえ

    これ同じシリーズの環境歴史学とかとあわせて読むと、日本における都市と山や森林とのかかわりが体系的にわかる。

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