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黄泥街 白水uブックス

残雪

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560072196
ISBN 10 : 4560072191
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2018
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

黄泥街は狭く長い一本の通りだ。空から真っ黒な灰が降り、人々が捨てたごみが溢れる街で、物は腐り、動物はやたらに気が狂う。この汚物に塗れ、時間の止まったような混沌の街で、ある男が夢の中で発した「王子光」という言葉が、一連の奇怪な出来事の始まりだった。すべてが腐り、溶解し、崩れていく世界の滅びの物語を、奔放な想像力と奇想に満ちた圧倒的な語り/騙りによって描き、世界に衝撃をあたえた残雪の第一長篇。

【著者紹介】
残雪 : 1953年、中国湖南省長沙市に生まれる。湖南日報社社長を務めた父親が1957年に「右派」認定、追放され、20年にわたり一家は様々な迫害を受ける。文化大革命の下、中学へは行けずに父が収監された監獄近くの小屋で一人暮らしを強いられた。工場勤務、結婚を経て、1980年代に創作を開始、雑誌に短篇を発表。『黄泥街』(86)は第一長篇。その作品は英語、日本語をはじめ各国語に翻訳され、世界的な評価を得た。創作と並行して、カフカ、ボルヘス、ダンテ、ゲーテ、カルヴィーノなどを論じ、批評活動も精力的に展開している

近藤直子 : 1950年、新潟県生まれ。中国文学者。東京外国語大学英米語学科卒、東京都立大学大学院修士課程修了。日本大学文理学部中国語中国文化学科教授。2015年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • HANA

    わからない。わからないけど夢中になって読み進めてしまう。天からは灰が降り注ぎ、果実は腐り、動物は発狂する。泥土と糞尿に覆われた街黄泥街を舞台に進行する物語なんだけど、街の住人同士の会話が独特の論理に貫かれていて、会話になっているようでなっていない。街にやってくる王子光は光、ある時は人。登場人物もその時に従って立場どころか人物同士も様々に入れ替わる。良き物語は言葉によって街や世界を作り上げるけど、この作品は「光あれ」以前の、或いは太極から両義、四象が生じる以前の混沌をそのまま写し取ったような印象を受けた。

  • zirou1984

    残雪すごい。どろどろのぐっちょぐちょに飛び散る膿汁と排泄物の中で、蝿と蛆虫が踊り出すようなほっかほかの腐臭文学。このくっさい街の住人たちは容姿だけでなく脳味噌まで腐り果て、噛み合わない会話に勘違いの連鎖、思想統制の残滓による滑稽な歪みが響き合ってもう笑うしかない狂宴感。巻末に収録された解説では、残雪が描く曖昧さの地平線にあるもの、つまりベケット的「わからなさ」の持つ可能性に対する格好の補助線になっている。黄泥街を染める匂い立つ黄色、それは汚濁と浮腫と糞便と、ぐずぐずな思想が混沌とまぐわった新しい色。

  • YO)))

    汚物と腐敗と虫まみれで(少なくとも素直に)「美しい」と言える場面など皆無だが、不思議と読み進めるのに苦痛ではなく、始原の生命のスープに溶け出して行くような心地よさすらあると思う。 或いは古井由吉「雪の下の蟹」で垢の浮いた風呂に入る場面のような。

  • そふぃあ

    巻末の試論がすごい。これがなかったらこの小説の何が評価されてるのか意味分からんかった。残雪が文化大革命の子であること、そして本書の「汚泥にまみれた」という言葉では到底あらわせない黄泥街の様相。文革の深い爪痕なんだろうか。

  • ユーカ

    街と人とモノと言葉と、すべての輪郭が曖昧になっていく。その過程では「意味」も「真偽」もなくなり、肉は腐り、異臭を放ちながら黄色や黒の水になって、排泄物と一緒に流れていく。びっしりとたかった虫を見てえずくうちに、なぜかこの朽ち果てていく混沌に安らぎを覚えるようになった。他者との区別を過剰なまでに求められ、きちんとしていることが最低条件とされる、いまここに生きるわたしは、そのきゅうくつさに黄泥街の混沌に夢を見るのか? この混沌は、命の火が消えるその時の混沌を彷彿とさせる。その時、黄泥街の安らぎよ、我にあれ。

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