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カッコウが鳴くあの一瞬 白水uブックス

残雪

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560094990
ISBN 10 : 4560094993
Format
Books
Publisher
Release Date
May/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

わたしにはわかっている、カッコウがそっと三度鳴きさえすれば、すぐにも彼に逢えるのだ…“彼”を探して彷徨う女の心象風景を超現実的な手法で描く表題作。毎夜、部屋に飛び込んできて乱暴狼藉をはたらく隣の老婆の目的とは…「刺繍靴および袁四ばあさんの煩悩」ほか、夢の不思議さを綴る夜の語り手、残雪の初期短篇全9篇に、訳者による作家論「残雪―夜の語り手」を併録。

【著者紹介】
残雪 : 1953年、中国湖南省長沙市に生まれる。湖南日報社社長を務めた父親が1957年に「右派」認定、追放され、20年にわたり一家は様々な迫害を受ける。文化大革命の下、中学へは行けずに父が収監された監獄近くの小屋で一人暮らしを強いられた。工場勤務、結婚を経て、1980年代に創作を開始、雑誌に短篇を発表。『黄泥街』(86。白水社)は第一長篇。その作品は英語、日本語をはじめ各国語に翻訳され、世界的な評価を得た。創作と並行して、カフカ、ボルヘス、ダンテ、ゲーテ、カルヴィーノなどを論じ、批評活動も精力的に展開している

近藤直子 : 1950年、新潟県生まれ。中国文学者。東京外国語大学英米語学科卒、東京都立大学大学院修士課程修了。日本大学文理学部中国語中国文化学科教授。2015年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • buchipanda3

    短篇集。これは不思議な読書体験だった。文章自体は難解ではないが、読み進めるうちにどこに向かっているのか分からなくなり、むしろ着地点を探そうとするのが不自然に思えてくる。その湿った咳のような不穏な語りや唐突にギョッとなる詩的描写にただ身を任せ、浮かび上がる剥き出しの情景を味わう。それこそ無為、そして夜の夢の混沌。それが妙にクセになる(いい意味で)。隣人が塀のあの穴を火かき棒でひたすら突く姿があれば、霧が太陽も含む全てのものに長いうぶ毛を生やし、雄牛の背中は紫の光で映えながら呻吟して進む。そう、目と鼻の先で。

  • かんやん

    短編集。言葉はイメージを結ばず、結んだとしても、すぐ次の言葉によって儚く打ち消されてゆく。脈絡もなく、整合性もなく、気ままに紡がれてゆく言葉。とっかかりがなく、視線が字面の上辺をスラスラ滑ってゆく。それが快感という向きもあろうが、自分は何度でも立ち止まるような体験を選ぶ。どうやら期待しすぎてしまったようだ。この作家はいくらでも言葉を増殖させてゆくことができるのだろう。そりゃ脈絡も整合性もなければ、可能だ。そのせいで緊張感も迫るものもなく、弛緩している。単に私が苦手なタイプの作家なのかもしれないが。

  • YO)))

    もの凄い。例えば『服の中身は絶対に母ではなかった。確か母はでっぷり太っていたはずだし』の次の頁で『母のふわりと軽い痩せた身体を引き起こ』す(「霧」)。時間、事物・他者、自己…あらゆるものの連続の不在の中で、都度生起して現前する今・ココ、コレ・カレ、わたし…の、その連続。 読むこと・読み得ないことの不安が、そのままこの世界を見て取ることの不安でもあるような底知れなさ。にも増して、そのような世界の在り方の中にあることへの(ある種の)安定・安寧、の予感のようなもの、が感じられてしまうことの、心地よい恐ろしさ。

  • erierif

    語られない、説明のない記号のように簡素でいつかどこかで見た夢のような小説。悪夢といっても良い不穏と不条理の世界。文革のまさに悪夢がこめられているはずだがどこかこのぐずぐずの世界を知っている。日常の悪習、冷淡、冷酷、人々はみなのっぺらぼうのように匿名になり生きる不浄をたれ流しそのまま腐敗し破滅する。生まれた瞬間から人は滅びにむかっていくのだなあと、いっそ清々しく感じる。成長などだいそれた事などなくただ腐敗して醜く消失するのだ。あのカッコウの鳴く一瞬を除いて。

  • ぞしま

    いくつかの短編(表題作、阿梅、天国の対話)にはっとしたが、あまりのめり込んで読むことができなかった。やはり積んでいる『魂の城 カフカ解読』(良いタイトル!)を読まなくてはならぬ。感想ではない。

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