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司馬遷 中公文庫

武田泰淳

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784122072602
ISBN 10 : 4122072603
Format
Books
Publisher
Release Date
September/2022
Japan

Content Description

司馬遷は生き恥さらした男である―。宮刑に処せられた絶望の中にありながら、個の存在と個々人の関係性をもって世界を描き出した司馬遷。その歴史認識を、『史記』の構造を読み解くことによって浮き彫りにする。初版以降、長らく収録されなかった「結語」も含め、オリジナルに近い形で刊行する。

目次 : 第1篇 司馬遷伝/ 第2篇 「史記」の世界構想/ 1 「本紀」について/ 2 「世家」について/ 3 「表」について/ 4 「列伝」について/ 5 結語

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • かふ

    書くということの姿勢を言っているのだと思うが、司馬遷が腐刑(男性器を切除される)にあっても正しい歴史(『史記』)を書こうとしたのは、李陵の捕虜事件と父親屈辱があったためだといい、友人の任安(じんあん)に宛てた手紙はそのことを説明している記録で、司馬遷の書くことへの意志が強烈に伺えるとのこと。それは武田泰淳の歴史観にも影響を与えた。歴史じゃなくても書くことの姿勢について、汚辱塗れの英雄にも詩心があったとする『史記』の魅力なのかもしれない。

  • フリウリ

    後藤明生「ああ胸が痛い」からの派生、再読。講談社文庫版。●腐刑、宮刑●3人の兄弟が次々と死をもって記録を守る、歴史家のきびしさ●政治的人間は世界の中心となる「十二本紀」、政治的人間は分裂する集団となる「三十世家」、政治的人間は独立する個人となる「七十列伝」●世家の並列状態●史記的世界の絶対的空間的持続●司馬遷は「天道非なり」とみる、正しく清い者よりも悪辣な者のほうが栄達を得る世界●暗示的な逸話で人間を語る飛躍的方法●列伝における「客」の働き 9

  • 鳥居強右衛門

    中島敦を読了した流れで本作品を手に取りました。武田泰淳的司馬遷観、史記論は爽快で痛快。で、壮大で奥が深い。単なる歴史書として平面的(2次元的)に史記を読むのではなく、史記に登場する人物相関・世界観を立体的(3次元的)に、相対的に読み込む必要があると私は解釈しました。史記を読みたい方は是非とも一読していただきたい作品。

  • Shinya Fukuda

    四回も版を重ねている。最初に書かれたのは戦前だ。作家には他者に仮託して自己を語る人がいる。司馬遷も武田もその点で共通していると思う。構成は司馬遷の生涯が語られる第一章、史記そのものが語られる第二章。本紀、世家の謂わば本流もよいが断然列伝が面白い。特に英雄豪傑列伝が面白い。個々の英雄について詳述されることはないから詳しく知りたくなる。匈奴問題は今の米中関係を思わせる。もちろん匈奴はアメリカだ。注釈は詳しいが一々読んでいると面白さが半減すると思ったので一気に読んでから注釈を先に読んで本文に戻る読み方をした。

  • ishii.mg

    史記という古代中国の歴史書がどのようにして生まれたのか。短い伝記として最初に書かれる。そのあとは史記の解読である。本紀、世家、列伝という構造の分析はみごと。そしてこの本の執筆は日中戦争日米戦争の真っただ中であったこと、日本は万世一系思想の他に語ることも不自由な時代である。中国の皇統はどんどん変わる、一系ではない。万世一系などという神話は冷徹な歴史のなかで存在しない、ということを泰淳は昭和18年に出版している。日本だけが特別なことがあろうか、と言外にあらわしている。

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