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信濃国の南北朝内乱 悪党と八〇年のカオス 歴史文化ライブラリー

櫻井彦

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784642059367
ISBN 10 : 4642059369
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
櫻井彦 ,  

Content Description

約六〇年続いたとされる南北朝内乱。信濃国はさらに二〇年も長引いた。地域のなかで衝突を繰り返す悪党が全国展開した時代だが、信濃国では様相を異にしていた。当地の地域集団に光をあて、内乱長期化の要因に迫る。

目次 : 南北朝内乱が長期化した信濃国―プロローグ/ 内乱以前の信濃国(地理的環境と古代東山道/ 信濃国の荘園・御厨・公領/ 治承・寿永の内乱と信濃武士/ 信仰の三拠点―戸隠山顕光寺・善光寺・諏訪神社/ 信濃国の統治と公武政権)/ 悪党たちの胎動(鎌倉幕府の成長と北条氏/ 信濃国守護職を世襲した北条氏/ 悪党の登場とその多様性/ 信濃国の悪党―善光寺「寺辺悪党」)/ 建武政権の成立と崩壊(倒幕運動のなかの悪党たち/ 建武政権と信濃国/ 中先代の乱と諏訪氏/ 乱後の信濃国/ 足利尊氏の離反)/ 複雑化する南北朝内乱(室町幕府の成立/ 内乱の全国化/ 宗良親王の信濃入国/ 室町幕府の迷走と観応の擾乱)/ 室町幕府体制下の信濃国(幕府体制の整備と「薩〓山体制」/ 鎌倉府の成長/ 幕府と鎌倉府のはざまで―信濃国の管轄権/ 義兵を捧げた人びと―守護代への抵抗/ 大塔合戦―守護小笠原氏VS一同之一揆)/ 悪党化を超えて―エピローグ

【著者紹介】
櫻井彦 : 1964年、東京都に生まれる。1990年、早稲田大学大学院文学研究科日本史学専攻修士課程修了。現在、宮内庁書陵部図書課主任研究官、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • サケ太

    「逃げ上手の若君」の副読本として、かなり良いのでは、という一冊。信濃国がどのように形成され、どのような人々が運営していったのか。その立ち位置について語られるのは面白い。幕府の支配を受け入れて、在地の秩序を守りつつも、自分達の意見や立場の表明は行っていく。「悪党」に成らなかった信濃国の人々。時代によって変化を強いられていくのだろうが、この時代の強かさを感じられて面白かった。

  • MUNEKAZ

    南北朝期における信濃の国人領主の動きを見た一冊。山脈で分断され一国全体に影響を及ぼす勢力が生まれなかった点や、北条氏の領国であったため京方に敵対する国人が多かったことなど、地域の特徴をよく説明している。この時期らしいグチャグチャな争いが続くが、クライマックスの大塔合戦で描かれているように、京下りの守護大名には抗しつつも、幕府の支配自体は否定しないあたりに、内乱の中で上位権力の重要性を認識する様子が見て取れる。また信濃が鎌倉府と幕府の管轄の境目であったことも、領主間の争いが長引く要因になったと再確認した。

  • nagoyan

    優。諏訪氏、村上氏のような信濃の在地勢力は、ときに北条氏に、ときに南朝に、ときに直義に、あるいは幕府に与して叛服常ならず。しかし、それは在地の論理優先という点で一貫している。中央の政治情勢の記述と比較して、信州の豪族たちに十分紙幅を費やすことができていない点は稍々残念だ。ただ、大塔合戦を述べる口調にやや熱を感じる。守護を追放した大塔合戦だが、あくまで幕府支配は受け入れる姿勢を示す。在地の論理は通すが、在地の秩序は守る。「悪党」化しなかった理由か。

  • フランソワーズ

    中世(大塔合戦後まで)の信濃の国情を知ることができる歴史一般書。京と東国の狭間に位置する、そして高い山脈に隔てられているゆえに、一国を支配できる有力な勢力が生まれなかった信濃。領主たちは時々の時勢に翻弄され続けたが、一方でより地域社会との結びつきを強化する指向性を育んだと言える(それは戦国時代にまで引き継がれる)。中でも興味深かったのが、悪党の存在がほとんど確認されないこと。それらしい氏族もいたが、結局彼らにしても「地域社会と連帯すること」で、その汚名を回避したと。→

  • 穀雨

    タイトルからして一見マニアックだが、信濃国の地勢から説き起こして、南北朝時代に至る歴史を通観する「長野県の歴史 上巻」といった内容だった。信濃の情勢とあわせて、当時の室町幕府や鎌倉府といった中央の事情もしっかり解説されているため、比較的読みやすかった。一方で、タイトル通りの内容を期待するコアな層には物足りなく感じられるかもしれない。

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