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悪役レスラーは笑う 「卑劣なジャップ」グレート東郷 岩波新書 新赤版

森達也

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004309826
ISBN 10 : 4004309824
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2005
Japan

Product Description

高下駄に法被(はっぴ)、頭には「神風」の鉢巻を締め、ゴングが鳴るや、敵の目に塩をまく奇襲攻撃。第二次大戦直後のアメリカ・プロレス界で「卑劣なジャップ」を演じて、巨万の富を稼いだ伝説の悪役レスラーがいた。さまざまな資料や証言から浮かび上がる男の素顔は、現代に何を問いかけるのか――。気鋭のドキュメンタリー作家が迫る。


かつて力道山の勇姿に熱狂したことがある人なら、「グレート東郷」という名前を聞けば、熱烈なイメージを抱くはずだ。ずんぐりとした体型、常にニヤニヤと不敵な笑みを浮かべ、極悪非道の反則攻撃を繰り出す。1962年の「銀髪鬼」フレッド・ブラッシーとの一戦は、激しい流血戦となり、その模様をテレビで見ていた老人が何人もショック死している。白黒テレビの時代に、だ。

1956年生まれの僕は、彼をリアルタイムでは見ていないはずだ。にもかかわらず、なぜかその存在が常に気になっていた。第二次世界大戦直後のアメリカで「卑劣なジャップ」を演じ続け、悪役レスラーとして不動の地位を築き、そして日本でも「世紀の悪玉」と呼称されながら巨万の富を稼いだ男。リングを降りても、「守銭奴」など、常に人々の憎悪を浴び続けながら、東郷は、何を考え、何を思い、何を憎み、そして何を愛していたのだろう――                       森達也

Content Description

第二次大戦直後のアメリカ・プロレス界で、徹底的な反則攻撃により「卑劣なジャップ」を演じ、巨万の富を稼いだ伝説の悪役レスラーがいた。様々な資料や証言から浮かび上がる男の素顔は、現代に何を問いかけるのか。

Customer Reviews

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私は基本的には、著者の本は、取材を高く評...

投稿日:2021/04/16 (金)

私は基本的には、著者の本は、取材を高く評価しているが、この本に関しては、故人を扱っているが、イメージを覆す調査をしており、興味深い。 プロレス史においては、東郷は悪訳でしかなく、名試合もない。 しかし、悪役で客をヒートさせるからこそ、日系人、日本人の居場所を作った。 著者はプロレス記者ではないが、興味深い本。

ダム さん | 千葉県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    プロレスは子どもの頃に見たことはあるが、力道山、馬場、猪木くらいしか思い浮かばない。ましてやグレート東郷となると、かすかに名前を聞いたことがあるというくらいだ。本書はプロレス史(裏面史でもある)をそのグレート東郷を軸に語ったもの。背中に日の丸と南無妙法蓮華経の題目が描かれた法被を羽織り、高下駄を履いて、額には「神風」と書いた日の丸鉢巻。戦後のアメリカのリングに登場した典型的な「ジャップ」のヒールである。しかも、試合開始前に相手レスラーの眼に塩をすりこんだりと、もうこれでもかというくらいに卑怯で悪い奴。⇒

  • nonpono

    「伝説の悪役レスラー」グレート東郷を巡る一冊。グレート東郷を巡る迷宮。映画を見ているようだった。戦後、アメリカで反日感情を揺さぶり有名だったグレート東郷。名前は知っていたが、あの力道山がこんなにも信頼を寄せていたなんて。そして「銭ゲバ」として嫌われたのは真実か。「週刊ファイト」の元編集長の井上義啓の言葉が刺さる。「プロレスとは、底がまる見えの底無し沼である」と。焼酎をワインで割りながら、ぽつぽつと話すグレート草津のインタビューが凄い。真実は藪の中。出自?日本?最後はほくそ笑むグレート東郷の残像が浮かんだ。

  • kawa

    珍し?岩波新書のプロレス本。小中学生のころ、ブラウン管の前で手に汗記憶が残っているので、この手の本には無条件で手が出てしまう。読了でのビックリは、「卑劣なジャップ」として観客から嫌われ、ナイフをも突きつけられた当時の神風ヒール・レスラーの米国での厚遇ぶり。人気のあったベビー(善玉)フェイスよりギャラが良くて、例えばジャイアント馬場も駆け出しの新人時代の米国での稼ぎ高が1億円(大半はピンハネだが)近かったらしい。大リーグを目指す昨今の日本プロ野球の原点がここにあるかもと妄想してしまう。

  • けんとまん1007

    自分を覆い隠そうとし続けることも、なかなかできることではないなと思う。そんな面を持ったグレート東郷。一方で、実業家としての面も凄い。そのエネルギーに根源は・・・という点もあるが、プロレスという文化のあり方、それをとりまく、この国の人たちの文化にも目が行く。人は、自分が知っていることでしか、評価しきれないのだろう。だか、分かれる。それと、この国のありよう・・・短絡的な熱狂と、さめやすさ、そして、あわてふためきながらも、諦めてしまう文化。これは、何とかしないと。

  • keiniku

    大戦後アメリカで、敵だった日本人としてヒールを演じたグレート東郷を追ったノンフィクション。 グレート東郷は、日本人だったのか、中国人の血が混じっていたのか、韓国人だったのか、結局はわからない。 ナショナリズムとプロレスが結び付いている中で、「ナショナリズムは底が見えている底なし沼」の言葉と同じように、グレート東郷の姿も見えそうだと思ったら、泥の中に埋もれてしまう。そして彼の死と共に跡形も無くなってしまう、元から居なかったかのように。街を歩く人の姿一人一人にグレート東郷や力道山を探してしまう。

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