Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• KAZOO

  読了日：2017/12/31

  この著者の桜井さんというと中公新書から「贈与の歴史学」という本を出されていて私のちょっと読み始めているのですが、17年に出版されたこの本を先に読み終わりました。様々なところで発表された論文をまとめたもので中世の経済史関連のものが多く興味を惹かれました。とくに贈与に関する部分は贈答品の流用、あるいはそのマーケットが当時から存在したということについては驚きでした。物価の特性と消費者行動など日本の中世史としては私の興味を惹くものばかりでした。

• Toska

  読了日：2025/04/25

  室町時代の中でも一般に注目されやすい政治史ではなく、社会・経済史に特化した論文集。贈与の慣行を織り込んだ独自の経済体制、中国からの輸入銭が頼りの貨幣経済、物価の動向など、綿密かつキレのある論考がそろっている。特に第四章「宴会と権力」は面白かった。本来プライベートであるべき酒宴の場が実は政治そのものであるという実態、昔も今も変わらないんだな。当時はゲロ吐いても怒られなかったところだけが違いか…

• MUNEKAZ

  読了日：2018/09/05

  桜井先生の論集。恒常的な銭不足と弱い中央政府の下、銭遣い・米遣い・銀遣いと臨機応変に対応する姿に室町人の合理性を見たかと思えば、非人格性も感じられる極端な儀礼社会のドライさに驚かされる。素朴な発展史観では捉えきれない日本中世の多様さが、贈与や交換を通して垣間見えようで大変面白い。個人的には「中世の労働観」、とくにその賃金の硬直性に関する指摘が興味深かった。また桜井先生の文章は独特のカッコよさがあるなあと再確認。

• アメヲトコ

  読了日：2022/02/13

  17年刊。室町期の経済と社会に関する論集。贈与の原理がきわめて広汎にいきわたりながらも、ポトラッチのようなウェットな人格的関係ではなく、非人格的でドライなシステムが成立していたことに瞠目させられます。

• Go Extreme

  読了日：2025/04/15

  贈与から税への転化 室町幕府の贈与依存型財政 権力形成期における気前の良さがリーダーシップの起動装置 下から上への贈与は保護の購買 トプラヒが在地から国家までを繋ぐ収取体系 贈与なしには社会が動かない 後例の形成が後の金品要求に繋がる 中世日本は中国の内部貨幣圏 折紙が信用媒体として機能 明による銅銭の頒賜停止 銭の希少化とポルトガル銀の流入 多様な価値表示の方法 労働力価格の硬直性 宴会が権威を示す場 贈与品と商品の境界線が明確ではない 顔の見える関係に基づいた信用 債権譲渡の慣行 贈与の事後決済や相殺

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