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ニルヤの島 ハヤカワ文庫

柴田勝家

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784150312428
ISBN 10 : 4150312427
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2016
Japan

Content Description

人生のすべてを記録し再生できる生体受像の発明により、死後の世界という概念が否定された未来。ミクロネシア経済連合体を訪れた文化人類学者イリアス・ノヴァクは、浜辺で死出の船を作る老人と出会う。この南洋に残る“世界最後の宗教”によれば、人は死ぬと“ニルヤの島”へ行くという―生と死の相克の果てにノヴァクが知る、人類の魂を導く実験とは?新鋭が圧倒的な筆致で叙述する、第2回SFコンテスト大賞受賞作。

【著者紹介】
柴田勝家 : 1987年東京都生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻所属。外来の民間信仰の伝播と信仰の変容を研究している。『ニルヤの島』が第2回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作となり、ハヤカワSFシリーズJコレクションより単行本化されデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • toshi

    2014年のハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。人を食った感じの筆者名ですが、中身は超本格のSFです。舞台は近未来のミクロネシア諸島。死語の世界を模索しながら、様々な人物が行き交う謂わば群像劇のような体裁になっております。本書はかなり人物関係が複雑で、時間軸も行ったり来たりして掴み所がありませんが、ラストでは鮮やかな着地を見せます。

  • 翔亀

    【始原へ15】文化人類学SFと聞き、ハードSF好きとしては読み逃すわけにはいかない。舞台は、マリノフスキーなど民族誌の宝庫のメラネシア。日系文化人類学者が、この地ですでに失われた信仰の調査に入る。いかにも文化人類学的な雰囲気が漂うが、これはSF。物語が進むにつれて、このメラニシアの<現在>は、DNAコンピューターにより統治された世界であることが、徐々に明らかになってくる。死後の世界はあるのかという宗教の<始原>が、科学技術の<進化の果て>の姿に重なってくるという逆説。文章が荒っぽく、複数のプロットが↓

  • ソラ

    文庫版を機に再読。初見の時はわからなかったことも何となくわかってきたかな。断片がちりばめられているため最初はなんだかよくわからないところではあるけれど結末に近づくにしたがって収斂していくところが見事。

  • 泰然

    第2回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。人生のすべてを記録し再生できる生体受像の発明により、死後の世界という概念が否定された未来が訪れたとしたら?かつて日本が国際連盟によって委任統治を託された南洋諸島・ミクロネシアを舞台にハードSFと民俗学が融合した独特さと不規則ストーリーが読者を引き付ける。 折口信夫は、紀伊半島から海のかなたへ目をやったとき海の先に命のふるさとがあるという感慨を持ったとされるが、本書は思考実験としてそんな日本人的死生観や、人間が物事を物語で考え拡散する存在として南洋に死の島を浮かべる。

  • hide

    人生は物語だ。物語性を欠いた時、人は模倣することで自己を補強しようとする。今が過去になり未来が今になるような記憶の断片化が、連続しない記憶が世界から切り離されると怯えたからこそ、人は死後の世界を創り出した。DNA以外の方法で人から人へ継承される情報__人生の物語であるミームが急激に成長し、死後の世界が消滅した未来。DNAと同じように人を乗り物にして複製を繰り返す存在。そんな存在を何と呼ぼう。では人とは何か?怒涛のラストにその答えはあるのかもしれない。

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