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光の犬

松家仁之

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784103328131
ISBN 10 : 4103328134
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2017
Japan

Content Description

北の町に根づいた一族三代と、そのかたわらで人々を照らす北海道犬の姿。助産婦の祖母の幼少時である明治期から、父母と隣家に暮らす父の独身の三姉妹、子どもたちの青春、揃って老いてゆく父母とおばたちの現在まで……。百年以上に亘る一族の姿を描いて、読後、長い時間をともに生きた感覚に満たされる待望の新作長篇!

【著者紹介】
松家仁之 : 1958年、東京生まれ。編集者を経て、2012年、長篇小説『火山のふもとで』を発表(第64回読売文学賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • じいじ

    『火山のふもとで』『優雅なのかどうか、わからない』と読んで、本作が3冊目の松家小説です。北海道の雄大な大地を舞台に、一家三代100年にわたる壮大な物語。著者持ち前の美しい文章は読みやすく、坦坦と物語が流れていく。読み始めは、登場人物と時系列の変化に戸惑い、慣れるのに少し時間がかかった。何とも遣る瀬無い気持ちで読み終えた。個人的好みで言えば、デビュー作の『火山のふもとで』の方が、解りやすく好きです。【図書館本】

  • (C17H26O4)

    読みながら装画の景色を常に思い浮かべていた。草はらに淡く光差す景色。人生で本当にまばゆい陽光の溢れる時間は、人が生まれて間もなくのごく短い間だけなのかもしれないと思う。けれど人が生きるこの日々のあらゆる重みにも、薄明るく淡い光はいつも差しているのだろうと思う。好むと好まざると出来事は起こり、生まれもった性格はそれらの受け止め方や成り行きを変化させる一因となる。家族、生死、人生…。添島家の物語はあらゆる家族の物語なのだと思う。この物語の大きさに静かに心が震え、うまく言葉にできない。

  • ちゃちゃ

    この世に生を享け、働き、子を育て、老いて、死んでゆく。北海道枝留を舞台に、三世代にわたる家族と犬の物語が精緻な筆致で描かれる。宇宙物理学に傾倒した長女歩の生き様が印象に残った。何百億光年という気の遠くなるほどの彼方から届く微弱な光。私たちも銀河系の渦の中でかすかな光を放って生きている。その儚い生は光の粒となり、誰かの記憶にかすかな生の痕跡を残す。暗い宇宙に放たれる光の粒。私たちの生。その孤独な光の残像が脳裏に深く刻まれた。物言わぬ死者は「光」となり、私たちの生を照らしてくれる。静かで壮大な物語だった。

  • naoっぴ

    読み終えてしばらく動けなかった。まるで自分の人生をみているようだった。私や私の身近な人が、始や歩や登代子や眞二郎に重なる。これまでのどこかの折に通過し、感じたことが書いてある気がする。もしかしたらこれから出会うかもしれないことも。家族であること、その我慢、希望、諦め、多くの感情が生じたり消えたり。その絆もその輪のたしかさも、いずれどこかで小さくなり消えていくのだろう。過去と現在を行きつ戻りつして語られるひとつの家族の物語は、真実の重みを手のひらに残してくれた。

  • Ikutan

    北の町に根づいた一族三代の壮大な物語。その傍らには彼らの暮らしを照らし続ける北海道犬がいた。助産婦の祖母。薄荷工場の役員である祖父。副工場長の父親。専業主婦の母親。天文の道を進む姉。その幼馴染みの牧師の息子。独身のまま隣で暮らす父の三姉妹。弟の始を主人公に、時代を前後しながら、100年に渡る家族のそれぞれの生きざまが描かれる。連綿と続く日々の中で、誰もがこの世に生を受け、生きて死んでいく。淡々とした筆致の中、その一つ一つが光を放ち、深く心に刻まれていく。丸二日、本の中にどっぷりと浸かった濃い時間でした。

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