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第一次世界大戦 ちくま新書

木村靖二

User Review :5.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480067869
ISBN 10 : 4480067868
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2014
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

一九一四年に勃発したバルカン戦争は、当初の誰もが予想しなかった経緯をたどり、ヨーロッパ戦争へ、そして世界大戦へと拡大する。「短い二〇世紀」のはじまりであり現代史の画期となる第一次世界大戦である。本書では、近年の研究を踏まえながら、その戦史的経過、技術的進展、社会的変遷を辿り、国際体制の変化、「帝国」から「国民国家」への移行、女性の社会進出、福祉国家化などをもたらしたこの出来事を考察する。

目次 : 序章 第一次世界大戦史をめぐって(第一次世界大戦の名称/ 第一次世界大戦史研究の軌跡/ 戦争責任論争/ 戦争責任論争から修正主義へ/ 「合意」の成立とフィッシャー論争/ 大戦前史から大戦史へ)/ 第1章 一九一四年―大戦の始まり(バルカン戦争から世界戦争へ/ 緒戦の機動戦)/ 第2章 物量戦への移行と防御の優位(戦時経済体制の構築/ 膠着する戦況と両陣営の増強/ 防御の優位―西部戦線での攻防)/ 第3章 戦争目的の重層化と総力戦体制の成立(戦争目的の錯綜と戦時体制の亀裂/ 一九一七年の危機―戦争指導体制の再構築)/ 第4章 大戦終結を目指して(ロシアの脱落とアメリカの参戦/ 決戦の年)

【著者紹介】
木村靖二 : 1943年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程中退。ミュンヘン大学留学。茨城大学助教授、立教大学教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授、立正大学文学部教授を経て、東京大学名誉教授。専攻はドイツ近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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日本で「先の大戦」といえば「太平洋戦争」...

投稿日:2021/06/26 (土)

日本で「先の大戦」といえば「太平洋戦争」を真っ先に思い浮かべますが、ヨーロッパではむしろ「第一次大戦」の方を「歴史を変えた大戦争」と思う人が多いようです。 それまでの19世紀の延長として、ヨーロッパには「ドイツ帝国」「ハプスブルク帝国(オーストリア・ハンガリー帝国)」、「ロシア帝国」、そしてその周辺には「オスマン帝国」などの列強がひしめき合っていました。 そこに1914年6月のオーストリア皇太子暗殺を契機に勃発した戦争。誰もが「クリスマスまでには帰るよ」といって戦地に赴いたが、結局1918年11月まで延々と戦争は続いた・・・。 戦争によって長い歴史をもつ帝国が崩壊し、民族自決によって様々な国が独立を果たすものの、渦巻く不平不満や格差が再び戦争への道を進んで行くことになります。 社会の担い手も、それまでの貴族、上流市民(ブルジョア)やエリートから、一般市民・庶民に移っていくきっかけとなり、それによって文化・芸術のあり方も大きく変わります。 「クラシック音楽」を愛好する立場からいえば、第一次大戦後には「いわゆるクラシック音楽」がもはや生まれなくなりました。 そんな時代の大きな転換点である「第一次世界大戦」について、高校世界史レベルから一歩踏み込んで、でもあくまで「一般向け」として書かれたこの本はいろいろなことを教えてくれ、頭を整理させてくれます。ヨーロッパを理解し、ヨーロッパの文化・芸術を理解するためにも、こういったバックグラウンドを知っておくことは必要でしょう。

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • WATA

    第一次世界大戦の開戦から100年の節目を迎え、当時を振り返る本がいくつも出版されているが、その中でも本書は内容がよくまとまっている良書だと思う。開戦から終戦にかけての各国の政治的思惑や経済事情が簡潔に書かれており、「なぜ第一次世界大戦があんな展開になったのか」が理解しやすい。短期決戦で終わるはずだった戦いが、ずるずると長期戦になって泥沼化していく様子がよく分かる。物資が足りずに前線が維持できなかったり、国家間の連携が取れずに各個撃破されたり…。お互いに準備不足のまま始めた戦争だったという印象を強く受けた。

  • skunk_c

    1914〜18年のヨーロッパでの大戦に焦点を当て、軍事のほか政治や社会の状況を視野に入れてコンパクトにまとめてある。前提となるバルカン情勢や戦後のヴェルサイユ条約についても必要最小限の記述。したがってこの戦争自体をざっくりと知るには良い。ただ、やはりなぜ大戦に至ったのかという部分は重要なので、それはジョル『第一次大戦の起源』などで補う必要があろう。特に食糧事情については丹念に書かれており、餌が入らないため大戦初期にドイツでは豚が3分の1殺処分された等その厳しい状況がよく分かる。日本については最小限の記述。

  • harass

    第一次大戦は日本人には馴染みがないが欧州の歴史や文化には欠かせない部分だ。その長期に渡る大規模な近代戦争をまとめた本。最近の週刊誌記事的なものと違い古き良き新書。歴史学の世界でもこの複雑な戦争の意味合いについて変化しているそうな。近代国民国家が確立してほぼ同等のレベルの国々が戦うということは、それまでの短期の牧歌的な戦いとはまったく異質なものに変化していた。類を見ない国全体を駆使しての総力戦は各国国民に疲弊をおよぼし、反乱やサボタージュも目立ったという。直接的な被害者である若者にはひどいトラウマに。良書。

  • 佐島楓

    レポート用参考文献。この戦争について自分は実に乏しい知識しか持っていなかったと痛感した。すさまじい死傷者数、地獄のような戦場、戦火が長引いて泥沼となった実情。次の大戦につながる展開も見えた。ここから知っておかねばいけない事実だったのだ。愕然とするばかり。

  • kawa

    始まった原因が解らず、皆、短期戦と思っていた第一次世界大戦を詳述。オスマン対バルカン諸国の第一次のバルカン戦争、ブルガリア対バルカン諸国との第二次戦争を経て、オーストリア帝国対セルビアの第三次戦争勃発かと懸念されたとき、「生存競争に勝ち残った国が正義だとする社会ダーウイン主義的価値観」に基づくドイツ、イギリス、ロシア等列強の各々の事情による参戦(ドイツが強国実現のためにサライェヴォ事件を利用したとする説が有力)が、第一次世界大戦の原因だとする著者の説は納得感が高い。なじみが薄い大戦の全貌を知るのに良書だ。

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