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「差別」のしくみ 朝日選書

木村草太

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784022631305
ISBN 10 : 4022631309
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2023
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

差別とは、強い力を持つ側が弱い立場の者を侮蔑し、尊厳をおとしめようとすること。加害者と被害者の間には立場の非対称性がある。そのため、日本国憲法は14条1項後段で「差別されない」権利を保障している。「差別は許されない」ことには、ほとんどの人が賛同し、法律家の間でも、差別は禁止すべきものとされる。しかし一方で、その定義は難しく、法学界でも「差別」の語が「区別」と同義に使われることもしばしば。差別なき平等な社会を構築するために、「差別」をどのように正しく定義すればいいのか。本書では、非嫡出子の相続や同性婚・夫婦別姓をめぐる日常のテーマから、奴隷解放など人種や民族をめぐる歴史の変遷まで、差別の構造を徹底検証。差別から個人を守るため、「差別されない権利」をいかに構築していくか―気鋭の憲法学者が必要な法理論を提起する。

目次 : 差別とは何か/ 差別を捉える四つの規範/ 差別をする人はどんな行動をするのか?/ 差別と憲法の歴史1―アメリカの奴隷解放/ 差別と憲法の歴史2―分離すれど平等/ 差別と憲法の歴史3―差別的意図の禁止/ 差別と憲法の歴史4―日本法の場合/ 差別と憲法の歴史5―社会的差別による差別立法の正当化/ なぜ差別者は「差別の意図はない」と言うのか?/ 憲法24条と家制度(その1)―家制度とは何だったのか?/ 憲法24条と家制度(その2)―憲法24条の成立/ 憲法24条と家制度(その3)―新民法による差別解消/ 憲法24条と家制度(その4)―新民法と家事審判/ 夫婦同氏問題と合理的配慮/ 憲法24条1項の同性婚禁止解釈と差別―制定趣旨・文言・理論から考える/ 合理的根拠のない区別―タックスマン&テンブルーク論文/ 集団不遇禁止原理―オーウェン・フィス論文/ 差別と区別の分類論―アレクサンダー論文/ 象徴的/現代的差別と緊密侵害/ 価値づけ説と加害説/ 平等権と差別されない権利の違い/ 秘密の差別の害悪/ 分けるには理由がいる―日本式分離すれど平等/ 理由の説明からの逃避―なぜ平等の議論をしないのか

【著者紹介】
木村草太 : 1980年、横浜生まれ。憲法学者、東京都立大学教授。2003年、東京大学法学部卒業。同年、同大学法学政治学研究科助手を経て、2006年より首都大学東京(現東京都立大学)准教授。2016年より現職。専攻は、憲法学。朝日新聞論壇委員等を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • trazom

    「差別」という概念がこんなに重いことを思い知る。例示として、著者は、アメリカの黒人差別における哲学的・法学的分析の歴史を辿り、日本の家庭法の歴史を通じて同性婚や夫婦別姓の問題を分析する。「差別」と「区別」の違いは何か、不合理な区別とは何か、平等権とは何か、差別されない権利とは何かなど、法律が取組んできた課題が明らかになる。しかし、「差別は狡猾」であり、社会と制度とのイタチごっこが続く。木村先生の本は、論点が明確、例示も分かりやすく、そして、著者の主張が明快という意味で、とてもフェアである。いい本だ。

  • クリママ

    憲法学者である著者が、差別について、法、判例などをもとに理論的に述べる。アメリカの奴隷問題、日本でいえば家長制度などの歴史についても書かれている。法から解釈すればそういうことなのかと、知ることが多かった。差別が社会に定着した状態では差別が正当になり、そもそも差別だと思わないことがあるのは怖ろしい。ただ、世界中で、性別、人種など、日本でも、女性、朝鮮半島出身者、職業などで差別がある。なぜ人は他人を差別するのか。その元にある心理を知りたいと思っていたので、それはまた別の書籍を当たらなければならないだろう。

  • buuupuuu

    法制度の観点から差別を考えるときの出発点は平等権であり、これは日本では憲法14条によって保障されている。だが日常生活において私たちはつねに区別をしているし、法自体、それを適用するためには区別をしなければならない。では許される区別と許されない区別の違いは何なのか。また区別の何が害悪につながるのか。日本の司法は、合理的根拠に基づかない区別を違憲とするという立場を採用してきたように見えるが、それが徹底されているとは言い難い。また、差別に起因する不平等の是正のために法がどこまで介入すべきなのかという問題もある。

  • Mc6ρ助

    人と人を区別しない『絶対平等の規範・・刑事手続きの場面では犯罪が証明された人とそれ以外を区別・・所得税徴収・・所得に応じて額を区別・・法律は、その条文を適用すべきものとそうでないものとを区別することを本質的要素としており、絶対平等の規範は法規範としては成り立ち得ない。(p80)』合理性のない区別はいけないとして、結果、あの人たちと我々の法律が違う現実、そして単身老齢女性、ひとり親世帯の相対的貧困率がどちらも44%台、単身老齢男性も30%、げに(セーフティネットの不完全な)この世の中は区別で成り立っている。

  • どら猫さとっち

    いつの時代も差別はあり、人種や民族によるレイシズムもヘイトスピーチが、今も問題視されている。差別しない社会は実現できるか。憲法学者が差別について論じ、これまで歴史から現在問題になっている非嫡出子の相続、同性婚に夫婦別姓についても言及。分離すれど平等、とても困難なことだが、差別されない社会にするには、本書を通して考えなければならない。現在の必読書である。

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