Books

海神別荘 他二篇

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784003127155
ISBN 10 : 4003127153
Format
Books
Publisher
Release Date
April/1994
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

美女「ここは極楽でございますか」。公子「ははは、そんな処と一所にされて堪るものか。おい、女の行く極楽に男はおらんぞ。男の行く極楽に女はいない」―久保田万太郎、芥川比呂志、さらに坂東玉三郎らの演出によって上演された表題作は「天守物語」「夜叉ケ池」とならぶ鏡花幻想劇の極致。「山吹」「多神教」を併収。

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ヴェネツィア

    3篇の戯曲からなるが、白眉はやはり『海神別荘』だろう。これは『天守物語』や『夜叉ヶ池』と並ぶ幻想劇である。プロット自体は単純で、海底世界の公子に財宝と引き換えに彼の一人娘の美女が、生贄に捧げられるという物語である。この劇で堪能すべきは、ひたすらにその耽美にこそある。異世界といった幻想性もさることながら、死と隣接する美女の果敢無さの揺曳がまさに劇の生命であろう。劇中には浄瑠璃詞章として近松の『大経師昔暦』が引かれるが、それは鏡花が美の本質を崩落性にこそ求めるからにほかならない。戯曲として読むよりも舞台向き。

  • 新地学@児童書病発動中

    泉鏡花の筆の魔法を堪能できる3つの戯曲。読んでいると怪しい美の世界に引き込まれて、ここではないどこかで心を遊ばせることができる。3作品とも気に入ったのだが、特に「多神教」の痛快なユーモアが心に残った。自分が惚れた男を呪い殺そうとする物騒な女性に肩入れする媛神は、この世界を支配する男性原理に挑戦する異教の女神だと思う。またそういう女神を自分の戯曲に登場させる泉鏡花の心理が面白い。意識的に自覚したことはなかったと思うが、鏡花は男性原理の負の部分に気づいていたのかもしれない。

  • コットン

    『海神別荘』の本筋ではないが、竜宮の公子の姉から譲られた箱入り新装の一千巻の本は少しは予備知識がないと本が読めないと…公子は恥じ入る。←本を読むのも種類によっては予備知識必要ですね。

  • ベイス

    『多神教』。怨念もこれくらい極端に持てば、神のお目にかなう、ということか。裸にして引き廻す下衆な神職たち。対する女も相当なもので、わら人形と釘をうたたねの最中に落としたのは「夢の中で針の山がずぶずぶとこの乳へ、むず痒さにうっかり」と異様な言い訳。女を援護する「援神」はギリシャの気まぐれな神々並みに超適当。それでは人間は「東西南北を見失ってしまう」との訴えに、「廻ってお歩きなさいまし」。コントを装いつつ、都合よく神頼みばかりする人間を揶揄。純粋ゆえに過剰な観念をもつ人間を、超人界・異界の側から肯定する構造。

  • Tonex

    泉鏡花の戯曲3篇。▼表題作「海神別荘」。文庫本の表紙には《「天守物語」「夜叉ケ池」と並ぶ鏡花幻想譚の極致》と紹介されているが、澁澤龍彦によると、あまり出来がよくないとのこと(岩波文庫『夜叉ケ池・天守物語』解説 p.133)。▼併収の「山吹」「多神教」もかなりヘンテコな話だが、嫌いじゃない。▼三篇とも、世俗の一般常識とは違った世界や論理があるということをテーマにしている。泉鏡花はそうした異形の世界にこそ本当の美があると考えていたのだろう。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

Recommend Items