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静寂から音楽が生まれる

春秋社

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784393936023
ISBN 10 : 4393936027
Format
Books
Release Date
September/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

目次 : ■第1部: 音楽と人生−マーティン・マイアーとの対話(音楽と演奏解釈) / ■第2部: ピアニストは考える−エッセイ集

【著者紹介】
アンドラーシュ・シフ : 1953年、ハンガリーのブダペスト生まれ。5歳からエルジェーベト・ヴァダースの下でピアノを始め、その後フランツ・リスト音楽院でパール・カドシャ、ジェルジュ・クルターグ、フェレンツ・ラドシュらに学び、さらにロンドンでジョージ・マルコムに師事した。活動の中心はJ.S.バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、シューマン、バルトークなどの鍵盤作品によるリサイタルや全曲演奏会である。2004年から各地でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲によるツィクルスを行なっており、今では世界20都市にのぼる。世界の一流オーケストラや指揮者の大多数と共演してきたが、近年はピアノを弾きながら自らオーケストラを指揮する弾き振りの活動に力点を置いている。1999年には自身の室内楽オーケストラ、カペラ・アンドレア・バルカを創設、メンバーには国際的なソリストや室内楽奏者、友人たちが加わっている。このほかに毎年ヨーロッパ室内管弦楽団も弾き振りしている。2011年春、ハンガリー政府のメディア法に反対を表明して注目を集め、ハンガリーのナショナリストたちから相次いで攻撃を受けたことから、今後、祖国では演奏を行なわないと表明している。2012年のドイツ連邦共和国功労勲章大功労十字星章をはじめ受賞多数。2014年6月、英国よりナイト爵位を授与

岡田安樹浩 : 桐朋学園大学卒業、慶應義塾大学大学院博士課程修了。ワーグナーの『ニーベルングの指環』に関する論文で博士号を取得。桐朋学園大学、国立音楽大学、慶應義塾大学ほか講師。日本ワーグナー協会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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   私個人の考えとして「今、もっとも聴...

投稿日:2019/09/28 (土)

   私個人の考えとして「今、もっとも聴いておくべきピアニスト」の最右翼にいるA.シフ。数回コンサートに行ったことがあるが、どれもグッと心に残っている。    圧巻だったのは2017年、ハイドン・モーツアルト・ベートーヴェン・シューベルトの「最後のソナタ」「最後から2番目のソナタ」を奏するリサイタル。天上から降るかのような美しいピアノの響き、特別なことも訳ありなアクションするわけでもないのに心の奥のにスーッと沁みてくる演奏の妙。しかも休憩なしで!  何でこんなことができるのだろう、といまだに思い出す夜だった。   その秘密の「ほんの少し」が文章によってつまびらかにされたのがこの本だろう。ちなみに本で読めるのはほんの少し。残りの大半は実際にコンサートで体感すべきであろう、チケットを入手できる幸運に恵まれたのならば・・・。     前半の対談(インタビューの質問が少し表面的に見える気がするものの)でも、後半のエッセイ集でも「作曲家と作品に奉仕する」気概と研鑽、そしてそれを支えるための探求にいそしむピアニストの一面を知ることができる。同僚ピアニスト、更に政治や自らの出自・アイデンティティに関する問題に対しても率直な(または辛辣な)意見を表明し、音楽芸術の使徒(そして一人のの人間として)正面を見据えて正道を歩もうとする強烈な意志を感じる。     バッハ作品をペダルなしで弾くことについて、反面教師的に同僚ピアニストの奏法を例に出しつつ根拠を述べるところや、ベートーヴェンのソナタ全集についての所見 −全曲揃えるまでの研鑽の様子、リサイタルに出す際に作曲した順に弾く理由、使うピアノの選定へのこだわり、ライブ録音を行うまでの取り組み方− は実に勉強になった。 こういう思索からあの演奏とディスクが世に問われたと考えるとCDを聴くときも心して聴かねばと考えるほどだ。     発した次の瞬間から無の中に消えていく宿命を持つ音楽という芸術表現においては、それを記憶にとどめられるのはほんの一部かもしれない。この本は、やがて静寂に包まれていく音に想いを馳せ、そして静寂から音楽を紡ぎだしていこうとするアンドラーシュ・シフの人柄、ここまでの道のりと決意表明を知る端緒となることであろう。      最後に付け加えると、このピアニストは我々聴衆にも容赦はない。「コンサートの聴衆のための十戒」と題した一文も載せている。音楽を娯楽的・刹那的に消費するのでなく、ピアニストと共に音楽の探求に対して「共同作業」を求めている。 ここに書いてある我々へのメッセージは大いに共感できる。演奏中にもかかわらず携帯音鳴らしたり(切り方わからないなら家に置いておくかクロークに預けるべき!)、ガサガサ探し物(飴玉?)を始める人、プログラムをバサッと落とす人(眠気に襲われましたか?)、派手にくしゃみする人(せめてハンカチ使うのが最低限のマナー)、音の響きが消え入る前にバチバチ手を鳴らしブラヴォーを叫ぶ闖入者(論外)・・・。  それらがいない状態で、シフに代表されるような匠の手で奏でられた芸術作品を匠と一緒にホールで共有出来たら・・・これほど幸せなことはないだろうと考えながら本を読み終えた。 またしばらくしたらはじめから読み返すだろうと思う。いや、読み返したい、何度でも。

うーつん さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • Bartleby

    シフが弾くバッハはすばらしすぎてため息が出る。演奏の秘密を知りたくて、彼のマスタークラスのレッスン動画を見つつ本書を読んだ。わりと飄々としたひとだが、両親はともにナチスの収容所からの生還者、本人は共産主義下ハンガリーでたいへんな半生を送り、国外逃亡(亡命ではなく)をしたと知り驚いた。とはいえ、そんな冷戦下のかりそめの世界地図ではなく、敬愛する作曲家がかつて暮らした場所を地図として思い描いているところは彼らしい。音楽の都ウィーン、オペラの都イタリアへ、そして同郷のバルトークが渡ったアメリカへ。

  • ひでお

    コロナ禍の直前に来日したときに購入し、サインをいただいた大切な本。シフの音楽に対する真摯な気持ちがダイレクトに伝わってきます。前半はインタビュー、後半はエッセイ等で構成されています。インタビューはインタビュアーがともすればイデオロギー的な質問に寄っていくところをシフは音楽の話にぐっと引き戻すところは、なかなか面白いところです。最後のほうに収録されている「コンサートの聴衆のための十戒」まさにそのとおり、100%賛意を表したいです。またシフの音楽を一期一会のコンサートで聴けることを切に願います。

  • どら猫さとっち

    ハンガリーに生まれ、世界中で活躍、とりわけ日本に親近感を持つピアニストのアンドラーシュ・シフのすべてが詰まっている一冊。前半はこれまでの人生と音楽活動についてのインタビュー、後半はレパートリーの作曲家やこれまで出会ったピアニストについて綴ったエッセイを収録。彼のピアノ演奏を聴くと、繊細で物静かな力強さを感じさせるが、本書でもそれが伺える。彼が人生や音楽のなかで培った思想、それが音楽に文章に出ているといえるだろう。本書を読み、ベートーヴェンのピアノソナタ全集を買ったくらいだ。

  • のん

    今一番好きなピアニストのインタビューとエッセイ、1ヶ月かけてゆっくり読みました。前半のインタビューでは訥々と語る姿を想像しながら。作曲家とその作品を最大限リスペクトする姿勢から、あの素晴らしい一音一音が生まれてくるのだと大いに納得させられました。そしてしばしば登場する「よい趣味」「趣味がよい」という言葉、奏でられるのが音楽なのか雑音なのかは全てこれにあるのだろうな…。読み返したいところに貼った付箋は50枚では足らず、大満足の一冊でした。

  • rby

    コンサートに行った時にロビーで販売していたので購入😀ハンガリーの政治のことはよく分からないけど、音楽に対する哲学は面白かったです。文章も良いです。コンサートの聴衆のための十戒というエッセイも面白く日本は及第点だなーと思いながら読んでました📕今まであまり聴いてこなかったメンデルスゾーンやバルトークもこれを機会に聴いていこうと思います🎵

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