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いばらの髪のノラ 3 世界の器

日向理恵子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784494028450
ISBN 10 : 4494028452
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ノラに〈黄金の心臓〉を手に入れることはできない。だから、棲み家にも帰れない。棲み家にいても、地面の上でも、だれに会ってもノラは、失敗することしかできない。心臓が暴れている。こんなにおどろきつづけているのだから、とっくに魔法は起きていていいはずだった。けれどもノラの心臓は、まともに脈を打つことすら、できないでいた。起こりかけてはねじまがり、消えてはよみがえる魔法が、ノラのなかで行き場を求めて吹き荒れる。
「‥‥ああああぁあ」地面に顔をすりつけて、ノラは泣いた。涙で魔法がみんな溶けてしまえばいいと思った。そうすればもうノラは、どこにも行けなくなる。なにも望むことができなくなる。(ごめんなさい。最初から、なにもほしいなんて思わなければよかった。なんにも、しなければよかった)棲み家の北の塔で、じっとしていればよかった。足首の鈴が鳴ることがないように、じっといつまでも、息をひそめていればよかったのだ。そうしたら、なにも起こらずにすんでいたのに。
‥‥大きな魔法が働いて、ノラたちは〈あかつきの町〉の僧院にいた。言葉を話すゾウたちの僧院で、ノラは父の墓と、父が書き残した本がここにあることを知る。この町は、神炉の火をたくわえる研究をしていた人間たちの町だった。図書館で父の本を見つけるが、書かれていたことに打ちのめされるノラ。
――ノラ。すべての魔女は、世界の器になる。器が必要になろうとしている。
おだやかなのに、その声はとても厳しかった。その響きは似ていた、〈ラ〉に、セムに、キサラに、ミダに、ホゥカに、ウラナさんに。たくさんの声に似ていて、けれども、だれとも似ていなかった。
――あなたの歩いてきた世界の入れ物に、あなたはなる。その器が、世界を新しくする。
どういう意味なのか、ノラにはわからない。ただ、知らない響きのその声が、苦しくなるほどなつかしかった。
――さあ、行かなくては。
ノラの肩を見えない手が押す。その力は、悲しくなるほどかすかだ。
食べものをもとめて暴走する神炉は、〈あかつきの町〉を破壊しながら、ゾウたちの僧院をめざす。生け贄になることから逃げ出した男の子・モモがいるのだ。リンゴはモモを守るために、神炉の前に立ちふさがる。そして、神炉は光の束となってリンゴを取りこんでしまう。リンゴは神炉に食べられてしまった。絶望するノラだが、シュユ・シンの助言により、リンゴを助けるためのただ一つの方法を選ぶ。

【著者紹介】
日向理恵子 : 1984年兵庫県生まれ

吉田尚令 : 1971年大阪府生まれ。絵本や書籍の挿画などを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • へくとぱすかる

    世界のあり方が不思議すぎて、うっかり読み飛ばすと場面の転換の目まぐるしさにとまどうほど。しかしさすがに3冊をかけて展開した世界観だけに、ふだんの日常からは想像できなかった感覚を経験できた気がする。ノラの長い旅は結局は何だったんだろう。求めるものにむかってのストレートな物語ではなく、いくつもの挫折が続く苦しいなかでの成長物語だった気がする。姉たちとのこれからの関係も、少しずつ修復していけるだろうか。旅の経験を土台にして幸せを祈りたい。人間と魔女との共存という課題もまだこれから。しかし道は開かれるはずだ。

  • coldsurgeon

    魔女になるために、黄金の心臓を手に入れるために旅を続けるノラは、目的の町に、なにかの魔法の力で着いてしまう。そこで知り得た亡き父が残した本に記された言葉に、多くの人の人生が翻弄される。「すべての魔女が、世界の器になる。」という言葉が意味することは、何か。読後、分からずにいる自分が、物語から取り残されたのだろうか。いつか読み終えるであろう孫娘と、語ろうかと思う。

  • 必殺!パート仕事人

    ラピュタあり、ナウシカあり、という感じ。挿絵の感じも。

  • Miii

    ★★★☆☆ 謎な部分が残りましたが、飲み終わりました。 始めっから黄金の心臓は必要なかった。 姉妹が仲良かったとしても、父を探しに地上へ降り立っただろうなと思いました。 あと挿絵が気に入りました。みんなが笑っている姿を見たかったです。

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