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加藤友三郎 政党政治を見透した軍人政治家 中公選書

手嶋泰伸

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784121101600
ISBN 10 : 412110160X
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2025
Japan

Content Description

日清戦争では砲術家、日露戦争では連合艦隊参謀長として名望を集めた加藤友三郎。第1次世界大戦期には8年にわたり海相を務め、巨大な「八八艦隊」作りに奔走する。だが大戦後、ワシントン会議に全権として参加すると、軍縮支持へと真反対に舵を切る。首相就任後は、軍縮推進、普選を支持したが病に倒れた。本書は、世論や政党政治の台頭を理解し、戦前唯一、国際的視野から軍部大臣への文官任用さえ模索した軍人政治家の生涯を描く。

【著者紹介】
手嶋泰伸 : 1983年宮城県生まれ。2006年東北大学文学部卒業。11年同大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、東北学院大学非常勤講師、国立高専機構福井工業高等専門学校講師などを経て、龍谷大学文学部准教授。専門は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • skunk_c

    著者の作品は着実な歴史考証に基づくものが多いが本書もその例に漏れない。史料が少ないためこれまできちんとした評伝を読んだことがなかったが、本書はこの首相経験者である軍人の決定的評伝といって良いと思う。軍人として優秀であり、海軍大臣として八・八艦隊という軍拡の実現に邁進しながら、全権として参加したワシントン海軍軍縮会議では、協調して軍縮に臨み、大正デモクラシー期にありながら軍人上がりの首相となっても、与党政友会と協調して落ち着いた政治を進める。その極めて高い能力、特に柔軟性は現代の政治家にも求められると思う。

  • ジュンジュン

    去年(2024)に続いて今年も加藤友三郎本が出た。没後ほぼ100年だから?彼は八八艦隊推進者でありながら、軍縮を実現した軍人。本書はこの矛盾する姿勢に整合性を求める。現れてくるのは時流にアジャストする能力の高さ。彼が活躍した時期は議会が定着し、大正デモクラシーを経て「憲政の常道」に至る直前まで。即ち世論や政党を無視できない時代。著者は言う、彼はシビリアンコントロール実現の唯一のキーマンだったのではないかと。

  • kitten

    図書館本。海軍の軍人かつ、総理大臣まで務めた加藤友三郎の本。この人がもう少し長生きしてたら、日本の歴史は変わったかも知れないなあ。本人が優秀なのはもちろん、時代の流れに合わせられる柔軟さをもっていた政治家。ワシントン会議の話はなんとなく知ってた。立憲政友会の原敬から全権をもらってたし、普通選挙を推し進めたのもこの人。軍人でありながら、シビリアンコントロールや、民主主義を理解していた稀有な人だった。

  • 清水勇

    加藤友三郎は日露戦争で連合艦隊参謀長、その後海相として軍備増強に奔走。しかし第一次世界大戦後のワシントン軍縮会議に全権として参加し、世界の趨勢を理解して正反対の軍縮に舵を切り、首相就任後日本国の将来を見据えた施策に取り組むが14ヶ月で病に倒れた。戦前に日本の将来を真剣に考える人が政権トップだったことを著者の粘り強い調査で知る。今も昔も殆どの政権幹部は国民より自分の組織を優先する。彼が国の将来を描けたのは、優秀だが自分の意見を押し付けず政策に影響ある人を見つけ議論できる政策実現力があったからだと確信した。

  • とり

    広島市出身の総理大臣である加藤友三郎の伝記。海軍出身で、日露戦争では連合艦隊参謀長として活躍。八八艦隊計画(戦艦八隻、巡洋艦八隻)の推進者であったが、第一次大戦後のワシントン軍縮会議では、アメリカ案の五五三(戦艦五割、巡洋艦五割、駆逐艦三割に制限)に賛成。ちなみに日本政府から代表団への暗号電をアメリカが事前に傍受・解読しており、日本がどこまで譲歩できるかを知った上でアメリカは有利に会議を進めたらしい。日本は本当に昔から情報戦に弱い。その後1922年に内閣総理大臣となるが、翌年大腸癌で死去。直後関東大震災。

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