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顔のない裸体たち 新潮文庫

Keiichiro Hirano

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101290386
ISBN 10 : 4101290385
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2008
Japan

Product Description

地方の中学教師・吉田希美子が出会い系サイトで知り合ったのは、陰気な独身公務員・片原盈だった。平凡な日常の裏側で、憎悪にも似た執拗な愛撫に身を委ねる彼女は、ある時、顔を消された自分の裸体が、投稿サイトに溢れているのを目にする。その時、二人は……。人格が漂流するネット空間を舞台に、顰蹙の中でしか生きられない男女の特異な性意識と暴力衝動に迫る衝撃作!

Content Description

地方の中学教師・吉田希美子が出会い系サイトで知り合ったのは、陰気な独身公務員・片原盈だった。平凡な日常の裏側で、憎悪にも似た執拗な愛撫に身を委ねる彼女は、ある時、顔を消された自分の裸体が、投稿サイトに溢れているのを目にする。その時、二人は…。人格が漂流するネット空間を舞台に、顰蹙の中でしか生きられない男女の特異な性意識と暴力衝動に迫る衝撃作。

【著者紹介】
平野啓一郎 : 1975(昭和50)年、愛知県生れ。京都大学法学部卒。’99(平成11)年、大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    平野啓一郎は2作目だが、以前に読んだデビュー作の『葬送』とは文体、テーマともに大きく違っており、別の作家かと思うくらいだ。本作においては、主人公2人を徹底して突き放して描いており、そこに作家的共感といったものは全くと言っていいほど見られない。いわば新自然主義といった趣きだ。いわゆる「出会い系」サイトで知り合った、ミッキーとミッチーそれぞれの匿名性と実体としての自分との乖離、やがてはそこに飲み込まれていく自我を描く。ここでは生身の肉体もモノであるかのようだし、またそこにバーチャル空間の不毛を描き出していく。

  • ナマアタタカイカタタタキキ

    実生活とは一切無関係な〈無記名〉の異性と寝たい──という衝動に駆られたとする。冷静に考えてみると、その欲求の根源とは、己の内側から発露したものであるにもかかわらず、実に不可解なものである。その人はその時、一体何と交わろうと欲しているのだろうか。偶像に触れたがっているのだろうか。そうではなく、単に異性を触媒にして、自分自身を凝視したいだけなのだろうか。求めている〈無記名〉の対象が、実は二人称単数形ではない可能性だって大いに考えられるのだ。そして、自分が相手の名前や顔をまともに認識しないのと同様に、そんな→

  • まさきち

    ごくごく平凡で目立たぬ中学教師の〈ミッキー〉こと〈吉田希美子〉があるきっかけで出会い系サイトを通じて〈ミッチー〉こと〈片原盈〉と繋がり、性的な世界に溺れていく。そしてその度合いと共に過激さを増し、最後には事件へと発展し、全てを失う。その過程を分析的なものをあまり挟まず淡々と記した印象。題名に期待していただけに少々拍子抜けの感を抱きながらの読了です。

  • ゆのん

    平野啓一郎の作品は3作目となる。その中でも頁数の少ない作品だったが内容は過激。どこにでも居そうな普通の男女が犯罪を犯すというものだが、その犯罪も過激だが、犯罪に至るまでの過程での精神状態の変化が平野啓一郎らしいタッチで描かれている。本作には投稿サイトや出会い系サイトが登場する。今やSNSやブログなど何かしら一つは利用している人が殆どだろうが写真や動画を載せたりする事の危険性の警告でもあるのではないか。35

  • Cambel

    平野さんの分人の本を読んでからの方が、もっと深く読めるのかもしれない。 この作品が発表されたのは10年くらい前。そう考えると、今のSNSが当たり前の世の中を予見するような心理描写だと思う。キラキラアカウントの人々とそう変わらない。登場人物の女が教師なのに頭悪そうなのが、説得力がある。思慮深くないから、気付けない。男の描写も、こういう人いそう!と思うリアリティ。平野さんは脳内に犯罪者を飼っているのかと思うほど。

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