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芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか 擬態するニッポンの小説

市川真人

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784344981744
ISBN 10 : 434498174X
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2010
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

今や世界的作家となった村上春樹が、日本でもっとも有名な新人文学賞・芥川賞を授賞しなかったのはなぜなのか。そもそも芥川賞とは何なのか。気鋭の文芸評論家が描き出す日本の文学の内実と未来。

【著者紹介】
市川真人 : 1971年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業後、百貨店勤務を経て近畿大学大学院文芸学研究科日本文学専攻創作・批評コース修了。現職として、雑誌「早稲田文学」プランナー/ディレクター、早稲田大学文化構想学部ほか兼任講師、TBS系情報番組「王様のブランチ」ブック・コメンテーターなど(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • メタボン

    ☆☆☆★ 芥川賞関連で続けて読書。文芸批評というと大上段に構えるものが多いが、この書は新鮮な切り口によって、興味深く読めた。村上春樹は芥川賞の受賞の有無に関わらず、読まれてしかるべき作家だが、子供を持たない「父性」という観点から見るのは面白かったし、夏目漱石の坊っちゃんが「年の相当離れた」者同士の遠距離恋愛という見方も更に面白かった。

  • おおにし

    P.97「芥川賞が村上春樹に与えられなかったのは、一義的には、村上春樹の携えるアメリカとの距離感が彼らにとって受けいれがたかったからであるけど、つまるところそれは、彼らとアメリカ=父との関係の問題であり、村上春樹と「父」との距離の問題なのだ、と。」戦後日本文学が”強い父性”アメリカを超克できず迷走している中、村上は逆に”アメリカ化した日本人”に擬態することで呪縛から逃れようとしたが、当時の文壇はその企みを評価できなかった。村上は3作目から長編へ移行し、芥川賞レースから離脱し世界の村上春樹となったのだった。

  • 里馬

    面白くて怖い。僕は「ずっと批評なんてばからしい、偉そうに何を語ってたって、実際に創りだしている作家の方が偉いでしょ。なんでそんなに矢鱈と貶すの?」と馬鹿にして偉そうに貶していた。でも実際にこういった批評文を食べていけば、自分が如何に読めていないのかが浮き彫りになるし、端的に面白読ませられる。悔しいが、負けました。

  • ぺぱごじら

    村上春樹を語りながら、戦後日本が「目を逸らしているもの」を炙り出す試みの一冊。パーツを取り上げれば、単章ごとは読み応えがあり、特に前半の村上が取り上げられた芥川賞選考過程における、当時の日本文壇を代表する歴々のコメントなどは緊張感を感じることができますし、「走れメロス」に対する、我々の『誤読』を指摘するくだりにもユーモアを感じる事ができます。が、全体の繋がりは若干弱めと感じましたし、結論付け(結論には然程異論はありません)が些か強引に感じたのも事実。「坊っちゃん」新(珍)解釈も楽しいですけどね。コメへ→

  • NICK

    村上春樹論を読もうと思って手にとったが、実際のところ、芥川賞を中心にした文学史、あるいは日本の文学環境論ということが読み進めるうちにわかった。戦後日本文学における父としてのアメリカ問題なんかは批評好きにはほとんど常識であろうけど、個人的には新たに知ることだった。メロス論の夕暮れ・義務教育・感動の共犯的メカニズムには大いに考えさせられた。社会の形態そのものが我々の感動の閾値を規定しているというのは考えてみると恐ろしいことのように思える。

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