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葛原妙子 コレクション日本歌人選

川野里子

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784305709103
ISBN 10 : 4305709104
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「幻視の女王」「魔女」「黒聖母」「ミュータント」など、こうした呼び名は怪異の者への棚上げでもある。「読み解きがたさ」こそ、葛原が抱える前衛短歌とは異なる位相なのだ。

目次 : アンデルセンのその薄ら氷に似し童話抱きつつひと夜ねむりに落ちむとす/ 水かぎろひしづかに立てば依らむものこの世にひとつなしと知るべし/ とり落さば火焔とならむてのひらのひとつ柘榴の重みにし耐ふ/ 早春のレモンに深くナイフ立つるをとめよ素晴らしき人生を得よ/ 奔馬ひとつ冬のかすみの奥に消ゆわれのみが〓々と子をもてりけり/ わがうたにわれの紋章のいまだあらずたそがれのごとくかなしみきたる/ ソ聯參戰二日ののちに夫が呉れしナルコポン・スコポラミンの致死量/ 殲滅といふは軍言葉なれ鏖殺といふは魔の言葉なれ/ ヴィヴィアン・リーと鈴ふるごとき名をもてる手弱女の髪のなびくかたをしらず/ 傅きし唇赤き少年を打ちしことありやレオナルド・ダ・ヴィンチ〔ほか〕

【著者紹介】
川野里子 : 昭和34年大分県生まれ。千葉大学大学院文学研究科修士課程修了。歌集に『王者の道』(第15回若山牧水賞)、『硝子の島』(第10回小野市詩歌文学賞)など。評論集に『幻想の重量―葛原妙子の戦後短歌』(第6回葛原妙子賞)など。歌誌「かりん」選者、編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

Customer Reviews

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「幻視の女王」と称され、些細な日常風景か...

投稿日:2021/02/24 (水)

「幻視の女王」と称され、些細な日常風景から、凄まじい幻想世界を創りあげる葛原妙子の歌を丁寧な解説がついた、素晴らしい本

Joe さん | 大阪府 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ゆう

    「幻視の女王」という言葉から、幻惑的で美しい虚構の世界をイメージして本書を手に取り、ガツンと衝撃を受けた。葛原妙子の言葉はこの上なく美しいが、同時に強靭なリアリティがある。彼女の言葉の前に、私が生を受けごく当たり前のものとして享受した「戦後」こそは巨大な虚構なのではないかと思った。葛原の言葉は戦前も戦後も、母性もキリスト教も懐疑している。懐疑しつつ、ペシミスティックに甘えるのではなく、ロマンや虚構をはぎ取った後のそれそのものを取り出してみせる。舌を巻くのはそこにすべからく宿っている美だ。すべてを懐疑しつ→

  • かふ

    葛原妙子の解釈は川野里子が一番いいように思える。それは葛原が過酷な戦争体験を経て歌人となったこと。葛原妙子が生まれたのは中原中也と同じだという。中原は近代詩人のイメージだが葛原妙子はまぎれもなく現代歌人なのだ。その違いは戦争体験だという。「ソ聯参戦二日ののちに夫が呉れしナルコボン・スコポラミンの致死量  『橙黄』」「わが死を禱(いの)れるものの影顕(た)ちきゆめゆめ夫などとおもふにあらざるも  『飛行』」「きつつきの木つつきし洞(ほら)の暗くなりこの世にし遂にわれは不在なり  『飛行』」

  • ハルト

    読了:◎ 「幻視の女王」と呼ばれた葛原妙子。短歌の美をどこまでも追い求め、時空を変幻させる魔力を持っているのかと思うくらいぞくりときた。ゆらめく死の透視の奥に潜むものは人間存在の不安という漆黒の影だったのか。もっと読みたいけれど、著作がほぼ絶版なのが惜しい。

  • hakootoko

    ●いつしんに樹を下りゐる蟻のむれさびしき、縦列は横列より ●口中に一粒の葡萄を潰したりすなはちわが目ふと暗きかも ●晩夏光おとろへし夕 酢は立てり一本の壜の中にて ●あきらかにものをみむとしまづあきらかに目を閉ざしたり

  • すずき

    〈ものおもふひとひらの湖をたたへたる蔵王は千年なにもせぬなり〉の川野里子が〈みちのくの岩座の王なる蔵王よ輝く盲となりて吹雪きつ〉の葛原妙子の50首を鑑賞する壮観なる一冊。葛原も川野も堂々たる詠みぶりと鑑賞で、久々に至福の一冊。もっと読みたかった。葛原の歌は鷹揚というにはあまりに厳しく孤高なのだが、やはり堂々たる詠みぶりと言わざるを得ない巨星なのだ。

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