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ジョージ・オーウェル 「人間らしさ」への讃歌 岩波新書

川端康雄

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784004318378
ISBN 10 : 4004318378
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「反ソ・反共」の作家として、また監視・管理社会化に警鐘を鳴らした人物として、時代とともにその評価も変化してきたオーウェル。「ポスト真実」の時代に再評価が進む『一九八四年』などの代表作をはじめ、少年期から晩年までの生涯と作品群を丹念にたどり、その思想の根源をさぐる。危機の時代に作品にこめた希望とは何か。

目次 : 第1章 植民地生まれの奨学金少年―1903‐1921/ 第2章 イギリス帝国の警察官―1922‐1927/ 第3章 パリとロンドンで落ちぶれる―1927‐1934/ 第4章 葉蘭とディーセントな暮らし―1934‐1936/ 第5章 北イングランドへの旅―1936/ 第6章 スペインの経験―1936‐1937/ 第7章 ファシズムに抗って―1937‐1939/ 第8章 空襲下のロンドンで生きのびる―1939‐1945/ 第9章 北の孤島にて―1945‐1947/ 第10章 『一九八四年』と早すぎた晩年―1947‐1949/ 終章 1949‐1950

【著者紹介】
川端康雄 : 1955年、神奈川県横浜市生まれ。明治大学大学院文学研究科博士後期課程中退。専攻は近現代のイギリス文化、文学。現在、日本女子大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • どんぐり

    『動物農場』『1984年』などで全体主義に警鐘を鳴らした作家ジョージ・オーウェル(本名エリック・アーサー・ブレア1903-1950)の生涯をたどる評伝。イギリスの名門イートン校に国王奨学生の身分で入学し、卒業後警察官となってビルマ(現ミャンマー)に赴任するも、「帝国主義はいかさまだ」と5年の勤務を経て辞職している。以降、ルポルタージュなどの物書きとなる。作家としての大きな転換点は、スペイン内戦への参加。ソ連の援助を受けた共和国政府主流派の「裏切られた革命」を経験し、オーウェルがスターリンからの刺客を怖れて

  • パトラッシュ

    『1984年』を読んだ衝撃は今も忘れられない。拷問の果てに偉大な兄弟を愛するほど洗脳されてしまうスミスの姿は、人の残酷さ非情さに恐怖するほどだった。その著者は人間の悪意に絶望した男とのイメージだったが、本書に現れるオーウェルは常に前向きで希望を忘れない。自分だけが正義とするソ連の独善性を憎み、その怒りが書くエネルギーとなる。作品の出版に苦労し、結核患者のくせに酒と煙草を欠かさず、結婚と葬儀は保守的だったな素顔は意外さに満ちている。人の真実が見えすぎても、自らは普通の人間でしかないとわかっていたからこそか。

  • 情報の削除希望

    昭和中期『1984年』は、まるで有害図書扱い。反戦平和主義者を含む、ソビエト社会主義体制への同調・共感を強める日本の人々。アメリカへの反発が強い時期であった。そしてコロナ禍の現代は、感染抑制のためにやむをえぬ手段として、個人の日常行動制限、束縛、監視、プライバシー侵害が普通の事のように行なわれる。感染沈静化後は…?『1984年』のような世界、そのような状況向かっていくのではないかと恐れられている。統制のための監視システムの使用が、一線を越えてしまうのではないかと懸念されるのだ。

  • 1.3manen

    『パリ・ロンドン放浪記』ではパリ暮らしを始めて一年半ほどしたころ、ホテルで同宿のイタリア人の男が空き巣に入り、持ち金のほとんどを盗んでしまい、そのために高級ホテルで皿洗いの仕事をやむなくすることになったと書いている。高価な料理を作っている厨房でいかに不快かつ不衛生な労働がなされているかを活写した(58頁)。下流と上流の齟齬と差別、不平等を思わざるを得ない。そのための社会主義像とは? オーウェルは書店員をしていた(76頁)。高級住宅街とスラム街の共存の現実がある。

  • フム

    オーウェルの小説『動物農場』『1984』は刊行当時には左派知識人の多くから忌み嫌われていたという。それは、小説世界で描かれた社会体制について東西冷戦初期の西側諸国、とりわけ米国が作品を反ソ・反共の冷戦プロパガンダの材料に用いたことによる。その後時を経るなかで、言論・表現の自由の制限や、全体主義への警鐘を鳴らした人物として評価されるようになってきた。私自身もかつて2冊の本を読んだのはそういった全体主義や監視社会への関心から手にとっている。

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