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増補 中国「反日」の源流 ちくま学芸文庫

岡本隆司

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784480099273
ISBN 10 : 4480099271
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「愛国」が「反日」と結びつく不可解な国・中国。この構造は近世史・近代史の過程で形づくられた。1919年、北京の学生運動を皮切りに広がった五四運動は、現代に続くその出発点である。満洲事変をへて日中戦争へ向かうなかで、反日運動は「抗日戦争」と名を変えて最高潮に達した。本書は、日本・中国の近世史・近代史を政治・外交・経済・社会・思想にわたる全体史として描きだすことで、「反日」の原風景を復元し、ナショナリズムの核心にある「反日」感情の構造を解き明かす。古代から現代までの日中関係を俯瞰する論考を増補した決定版。

目次 : 第1部 「近世」の日本と中国(東アジアの一八世紀/ 統治のしくみ/ 明から清へ/ マクロな動向)/ 第2部 「近代」の幕開け(一九世紀をむかえて/ 西洋近代との邂逅/ 開港と開国/ 動乱の時代)/ 第3部 近代日中の相剋(近代日清関係の始動/ 日清対立の深化/ 「洋務」の時代/ 愛国反日の出発)/ 補論 日中関係を考える―歴史からのアプローチ

【著者紹介】
岡本隆司 : 1965年生まれ。現在、京都府立大学文学部教授。主な著書に、『近代中国と海関』『属国と自主のあいだ』(いずれも名古屋大学出版会、前者で大平正芳記念賞、後者でサントリー学芸賞を受賞)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会、アジア・太平洋賞特別賞・樫山純三賞受賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • まーくん

    反日の源流は近代における日清戦争以降、第二次大戦終結にに至る間にあった日中間の戦争と理解していた。しかし、著者は相互理解が難しい根本が近世に遡る両国の社会構造の違い、特に中国の特異な統治構造から生じてると論じ、清朝の政治形態、社会と経済について、詳しくかつ平明に解説している。少数民族の満州族が圧倒的な人口の漢族を支配するに当たって、庶民の生活には関与せず、税だけ徴収できれば良しとした。皇帝・中央官僚・地方官僚と続く統治の上部構造は庶民には直接届いておらず、中間層が存在。税さえも庶民は徴税請負人に収めた。⇒

  • skunk_c

    原著が書かれた2011年の6年前の反日デモから始まるのでこの書名となっているが、その内容はおおよそ17世紀〜19世紀(近世〜近代)の日中を対比したそれぞれの政治・経済・社会・外交史であり、この著者らしいコンパクトながら要点を押さえた内容。日本に対する人口規模10倍の中国(清)が17世紀に大人口増するが、この時生産が限界点に達して社会困窮を招いた。なんとこのことをマルサスより早く予測した人物が彼の地にいたという話には驚いた。西洋の衝撃に対する日中の対応の違いも端的。増補の講演録が読みやすくこれだけで満足だ。

  • さとうしん

    本論では明清と江戸時代以来の日中の社会・統治構造の違いが近代化の過程や相互理解に影響を及ぼしたこと、中国が近代化を志したタイミングで日本がそれに逆行する対応を行ったことが双方の関係を抜き差しならぬものに追い込んだことを概観する。補論では、中国が一体であると主張したがるのは逆に中国が多元的であることを示しており、反対に日本は一元的であるので、中国蔑視となると官民こぞってという状態になってしまうという意見が面白い。

  • ピオリーヌ

    まず増補以前の版を読んだ際の感想を。 現代の日中関係(しばしば反日と呼ばれる)が、清末期からのものでは無く、ひいては明時代からの相互認識の結果であるとわかりやすく書いてある。また、江戸時代日本と清時代中国が、近代化への過程の中で何故異なる道筋を辿ったかを経済史の視点から説いた点には目から鱗であった。お勧め。 →補論は筆者が講演で話した「日中関係を考える」が追記されている。日本は一元的、中国は多元的。

  • Hatann

    中国における「反日」の深層構造を探る。現代中国の理解のため歴史を学ぶには15世紀以降で足り、近世に遡って中国・日本の相違を素描する。中国と日本との違いが明確になるのが15世紀以降である。中国は日本と異なり、官民の乖離が甚だしく、政治と経済の乖離も大きい。北方と南方がバラバラで多民族社会を形成している。貿易を通じて両地域の関係が深まる一方で、これらの相違から生じる矛盾が「倭寇」として現れた。政冷経熱の根源的な構造が以降も「反日」として現れることが示唆され、官民の乖離の小さい日本では違和感を覚えることとなる。

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