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ばにらさま 文春文庫

山本文緒

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784167921101
ISBN 10 : 4167921103
Format
Books
Publisher
Release Date
October/2023
Japan

Content Description

モテない僕の初めての恋人は、白くて細くて、手が冷たくて(「ばにらさま」)。自分勝手な親友から持ちかけられた同居を、私は決して断れない(「菓子苑」)。かつての同級生が私に遺した意外なものとは(「子供おばさん」)。日常の風景がガラリと一転する―光と闇に圧倒される戦慄の6編。著者最後の作品集。

【著者紹介】
山本文緒 : 1962年、神奈川県生まれ。神奈川大学卒業後、OLを経て作家に。『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞、『プラナリア』で第124回直木賞受賞。『自転しながら公転する』で第27回島清恋愛文学賞、第16回中央公論文芸賞受賞。2021年10月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • Kircheis

    ★★★★☆ 山本文緒さんの遺作。6篇の短編が収められており、いずれもありふれた人の営みが少しの毒を含んで描かれる。若干の叙述トリックもあって結末が読めない作品が多い。過去が繰り返される系の話が複数あったのも興味深い。そして、人の死とその影響を描いた後半の2作品は、死期を悟っていたであろう著者の想いが感じられて色々と考えさせられる。 叙述トリックが光る『わたしは大丈夫』と『菓子苑』も良かったが、『子供おばさん』の主人公の達観したかのような生き方が1番心に刺さった。

  • mae.dat

    表題作から始まる6話短篇集。どの話もちょっとテクい事をしている様な気がする。全部が同じパターンである訳も無いのですけど、概ねちょっと特異な境遇、性格、価値観を持った感じの女性を客観視する。そんなストーリーでね。彼女らはそれぞれ何かしらの問題を含んでいる様なんだ。でもそれが解決されないまま物語は幕を閉じるの。それで最初は「ん? で何⁇」ってなるけど、じわじわと余韻が長いねぇ。大体が悪い目の後味ね。不思議ちゃんを見守る側の語り手もね、いちもつ抱えると言うか、誤解を恐れずに言えば病んでいる感じなんだよねぇ。

  • ケンイチミズバ

    呟きはバレてしまってる。SNSでの彼女は、ばにらさま。クリスマスイブの予約がちゃんこ鍋には私もどうかと思ったがそれは彼の素朴な優しさ、彼女がいつも寒そうにしていて、あまり食べないから。元気になって欲しかった。もっと上のランクの男といい関係になれなかった時のキープとしての彼を貶すツブヤキや腹黒さが悲しい。冒頭のこの作品がなかなか心に残る。私も弱い立場の女性を気の毒に思うことがある。正社員と派遣社員では東京での生活レベルの差はいかんともし難い。そして彼女たちはみな一様に同じに見えてしまう。金太郎あめ。古いな。

  • ぼっちゃん

    6つの短編集。祖母とポーランド人との恋を描いた『パヨリン心中』、亡くなった友人のエンディングノートの記載されていた犬を引き取ることになる『子供おばさん』が印象に残った。これが山本文緒さんの最後の作品集になるのですね、『プラナリア』『アカペラ』『恋愛中毒』『自転しながら公転する』など好きだったので残念でしかたありません。

  • セシルの夕陽

    遺作の小説になる…最期のエッセイ「無人島のふたり」で、以前書いた短編を手直しして1冊にまとめている、と。それが本書だ。6話はどれも読んでいるうちに、見えていた景色が反転する。小さな違和感の真相がわかった途端、腑に落ちると同時にザラつきも残す。「つまんない日常の生活を、面白く描く他に類を見ない作家」(解説:三宅香帆氏より) どれも秀逸だったが、『ばにらさま』モテなかった青年に不釣り合いな白い恋人ができた、『菓子苑』美しくワガママな胡桃に翻弄される舞子、が特に印象的♡

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