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嫉妬論 民主社会に渦巻く情念を解剖する 光文社新書

山本圭

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784334102241
ISBN 10 : 4334102247
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
山本圭 ,  

Content Description

嫉妬感情にまつわる物語にはことかかない。古典から現代劇まで、あるいは子どものおとぎ話から落語まで、この感情は人間のおろかさと不合理を演出し、物語に一筋縄ではいかない深みを与えることで、登場人物にとっても思わぬ方向でと彼らを誘う。それにしても、私たちはなぜこうも嫉妬に狂うのだろう。この情念は嫉妬の相手のみならず、嫉妬者自身をも破滅させるというのに――。(はじめにより)政治思想の観点から多角的に考察。

【著者紹介】
山本圭 : 1981年京都府生まれ。立命館大学法学部准教授。名古屋大学大学院国際言語文化研究科単位取得退学、博士(学術)。岡山大学大学院教育学研究科専任講師などを経て現職。専攻は現代政治理論、民主主義論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • パトラッシュ

    自分より容姿や才能の優れる者、権力や経済力を握る者を羨ましく思うのは最も人間らしい感情だ。しかも各人は自分が他者に劣っている結果としての嫉妬を認めず、正義感の発露だと自らを偽る。一方で浪費や奢侈を周囲に誇示したり、威信や度量を見せつけて承認欲求を満たす人も後を絶たない。今日はネットの発展で妬み嫉みが大量に社会へあふれ、他者を傷つけたり政治を左右する時代となった。強引に押さえつける強権政治国家と異なり、自由に発言できる民主主義社会は嫉妬の興隆を助けている。トランプはそれを見抜いて権力獲得に利用しているのか。

  • ヨンデル

    ★嫉妬論/山本圭/光文社新書。嫉妬について古代から現在に至るまでの嫉妬に関る解説である。学術書から引用と解説とでわかりやすく書かれている。ほとんどは嫉妬の悪い感情の部分についての意見である。しかし、エビーログでは収まるべきところに治まっていると思えた。ここからは私がこの本からの得た情報をもとに考えた覚書ですからスルーしてもらって結構です。そもそも嫉妬という感覚は他の生物にあるのだろうか。また嫉妬の元となる感覚とは何であろうか。

  • buuupuuu

    嫉妬する人は、一文の得にもならないどころか、たとえ損をすることになっても相手の足を引っ張ろうとする。嫉妬は非合理的で破壊的な感情に見える。社会理論の多くはこのような感情を正面から取り扱ってこなかったと著者は言う。たとえば格差が是正されることで嫉妬は治まっていくというのがロールズの主張だが、嫉妬は自分と似た立場の人間に向けられがちな感情だから、平等化はむしろ嫉妬の温床になる可能性がある。また嫉妬や誇示は経済を動かす原動力になっており、現代はメディアの発展により皆が常に誇示へと駆り立てられている時代だという。

  • りょうみや

    人間と社会にとって嫉妬がいかに根源的なものかが改めてよく分かる。古代から現代まで嫉妬がどのように語られてきたかの具体例が豊富。社会制度と嫉妬の関係もまとめている。平等や公正、正義の概念も嫉妬抜きでは語れない。嫉妬は個人にとっては厄介なものだけど、その理解を深めればなくせないけどうまく付き合うことができるかもしれない。

  • Narr

    嫉妬感情というものについて自己を省みるつもりで読み始めたのに、気付けば資本主義のオルタナティブを探す左派のウィークポイント、つまり、平等主義と公正さが皮肉にも社会を破壊する可能性があるということを指摘されわくわくした。嫉妬感情は社会に内在的な情念であり、社会が駆動するためにある意味必要不可欠なものだったということか。無格差社会も現在のような拡大格差社会のいずれも否定するとき、流動的な格差社会のモデルが思い浮かんだ。そこには嫉妬感情と上手に付き合う多元的な価値観を有した深く広い社会があるのではないか。

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