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ISBN 10 : 4409520970
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戦後社会に瀰漫する欺瞞と擬態、その正体を暴く
開戦の報に国民が覚えた高揚感。そして敗戦後、その熱狂をまるで“なかったこと”のように振る舞い始めた国民。この巨大な断絶の深淵には何が横たわっているのか。「大東亜戦争」という呼称が国民に与えた幻想と、戦後の空虚な平和主義の根源にある欺瞞を解き明かし、我々が未だ直視できずにいる「戦争責任」に対峙する。
◎目次
はじめに
序章 情念に分け入る精神史をめざして
1 本書の問題意識――「戦争協賛」と「戦争責任」の思想化に向けて
2 本書の分析課題と視座
3 本書で使用する史料について
第I部 「大東亜戦争」の幻影と煩悶
第一章 日米開戦の衝撃と翻弄
1 開戦の衝撃と変貌する詩人たち
2 「宣戦の詔書」の作用――高揚感の国民的拡がり
3 「大東亜戦争」の特性と天皇制の関?
第二章 表現者の幻覚と煩悶――「真の自己」の渇望と探究
1 自我と美感の転相――高村光太郎
2 表現の原郷への帰還と「本当の自己」との葛藤――野口米次郎
3 言語表現の新境の眺望と天皇
第三章 「大東亜戦争」道義化の蹉跌
1 「国民文学」の蹉跌と「大東亜戦争」聖戦化の限界
2 「メシア国家」の幻影――「近代の超克」論の限界
3 「戦意高揚」戦略の限界
第四章 敗戦時における国民の擬態の前景化
1 心的空白状態の到来
2 「民主化」受容の屈曲――他動的「国民主権」の到来
3 死の至近化と言葉の限界効用
第II部 孤塁からの開削
第五章 「荒地」への収斂
1 「戦争体験」の特質とその思想化
2 「紙屑を捨てない」主体性――「何も信じない」ことを原点に
3 詩作のオントロギー?―「詩の特権性」としての「在らざるものの力」の創造
第六章 「橋上の人」の写像と射程
1 「直接性」への懐疑――庶民感覚と兵士の目線への不信
2 「荒地」という「可能性」――文明の蘇生に向けて
3 「橋上」からの近代批判
第七章 戦後社会の擬態の摘発
1 「深い絶望」の探求
2 バチルスとしての教説的「平和主義」に抗して――『死の灰詩集』批判
3 病巣への肉迫
第八章 戦争責任の実効化と言語表現の新地平
1 「意味の回復」と愛への覚醒
2 金子光晴における象徴主義の刷新
3 表現のアポリアを超えて
‥
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