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奇跡集 集英社文庫

小野寺史宜

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784087447613
ISBN 10 : 4087447618
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

同じ電車の同じ車両に、たまたま乗り合わせた見しらぬ男女たちがつなぐ、幸せのふしぎスイッチ。

第一話「青戸条哉(あおと・じょうや)の奇跡 竜を放つ」ーー満員の朝の快速電車。ぼくは過去最凶の腹痛に耐えていた。もうダメだと思い、その場にしゃがもうとした瞬間、隣に立つ同い年くらいの女性が、ぼくよりもわずかに早く、しゃがみこんだ。

第二話「大野栞奈(おおの・かんな)の奇跡 情を放つ」ーー大学時代、わたしは小劇団にのめり込んだが、結局就活をして、食品会社へ。通勤途中、具合が悪くて社内で声をかけた女性の様子が気になり、駅を一つ戻ってホームに降りると、そこには意外な先客がーー。

第三話「東原達人(ひがしはら・たつひと)の奇跡 銃を放つ」ーー満員電車での尾行中。住宅街の駅で降りた捜査対象者に気づかれぬよう後を追っていると、赤ん坊を抱いた裸足の女性が、すごいスピードで無表情のまま目の前を通り過ぎていった。

第四話「赤沢道香(あかざわ・みちか)の奇跡 今日を放つ」ーー五年ぶりのデート。満員電車で、男の人の手が、女性のお尻のあたりで動いているのを見てしまった。女性は、まったく別の男性に「触りましたよね?」と詰め寄った。どうする、わたし?

第五話「小見太平(おみ・たいへい)の奇跡 ニューを放つ」ーーカップ麺会社の宣伝部で、おれは失敗した。起用した女性大食いユーチューバーが炎上した。代替案を上司に提案しなければならないが、電車が止まってしまう。「イッキュウちゃんの動画。見た?」という会話が聞こえたのはその時だ。

第六話「西村琴子(にしむら・ことこ)の奇跡 業を放つ」ーー満員電車で、彼の浮気相手をひそかに凝視する。彼はわたしの8歳年下で、その女はわたしの16歳下。有休をとり、女の乗った通勤電車にわたしも乗った。だが、わたしは決してストーカーではない。

第七話「黒瀬悦生(くろせ・えつお)の奇跡 空を放つ」ーーななめ掛けしたボディバッグに拳銃を入れた俺は、とっくに尾行されていることに気がついていた。目的地の一つ前の駅で降りて住宅街を歩いていると、声をかけてきたのは、尾行していた刑事ではなかった。

小さいけれど確かに人生を左右する(かもしれない)7つのミラクルを描く、連作短編小説!

【著者略歴】
小野寺史宜(おのでら・ふみのり)
1968年、千葉県生まれ。法政大学文学部卒業。2006年に短篇「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し、初の単行本を刊行。『ひと』で19年本屋大賞2位。主な著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひりつく夜の音』『夜の側に立つ』『ライフ』『縁』『まち』『今日も町の隅で』『食っちゃ寝て書いて』『タクジョ!』『今夜』『天使と悪魔のシネマ』『片見里荒川コネクション』『とにもかくにもごはん』『ミニシアターの六人』『いえ』など。

【著者紹介】
小野寺史宜 : 1968年千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し、同作で単行本デビュー。19年『ひと』で本屋大賞第2位に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • となりのトウシロウ

    朝の満員電車で気分が悪くなりしゃがみ込んだ女性。たまたま同じ電車同じ車両に乗り合わせてそれを見た人達。そこで起こる偶然の言動が他の人の行動を促しそれがまた他の人に影響を与える。その時に近くにいた人がどうなるのか、知っているのは読者だけ。名前も顔も知らない人達にもそれぞれの人生があり、そういった見ず知らずの人から影響を受ける。奇跡と呼ぶほどたいそうなモノではないと思うが、当人にとっては奇跡以外の何モノでもない。偶然の人の営みを時に人は奇跡と呼び、その連鎖を描いた物語です。

  • カブ

    たまたま同じ電車の同じ車両に乗り合わせた7人の男女の物語。もちろん、外見と心の中は違うとわかっていてもそんなことあるんだなぁ〜とちょっと面白かった。奇跡と言えば奇跡。やっぱり小野寺史宜、好きだな。

  • venturingbeyond

    満員の通勤・通学電車で、同じ車両に乗り合わせた7人それぞれの身に起こった事象が連作短編で描かれる。個々のエピソードが少しずつ交差しながら、それぞれが抱える公私様々な問題や突発的なビンチ、事件がその経緯と共に語られ、何がしかの鬱屈やその身に降りかかる難題を抱えている人物が、小さな、しかし前向きなアクションを起こすことで、自身の現状をポジティヴな方向に動かし始める。既読の小野寺作品同様、心地よい読後感を得ることのできる小篇です。

  • mayu

    朝の混んでる車内に偶然居合わせた人々。同じ時間の中で一人一人が起こした小さな行動が他の人の今日に変化を起こす連作短編集。日常の少しの行動が他の人に与えた影響を見ることは無いから知らないだけで、もしかしたら起きているのかもしれない。奇跡とまではいかなくないか、いや、こういう誰かの少しの行動の重なりで奇跡は起こっているのかもしれない。出てくる人は選択を迫られた時に人を助ける事を選ぶ人達、皆朝の予定を抱えているのに。優しい。朝の電車がすべてこうであれ(祈)と思わずにいられない一冊。

  • タルシル📖ヨムノスキー

    ある日偶然に電車に乗り合わせた男女7人の物語。もちろん7人は赤の他人。彼女・彼らのちょっとした行動がその後の運命をちょっとだけ、いや大きく変える。1年半前から電車通勤になったけど、満員電車ってみんなスマホしか見てないし、なんだかイライラしていてちょっと気が滅入る。特に乗り降りの時はもう「他人のことなんか構っちゃいられない」って感じ。7編の中では腹痛の話と痴漢冤罪の話が他人事ではないなと…。自分の行動が誰かの人生を変えるかもしれない。みんながそんなふうに思えたら、満員電車ももう少し快適になるかもしれない。

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