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ISBN 10 : 4276212596
Content Description
バイエルの謎からは、ピアノ指導の歴史、教則本という「商品」の成り立ちが見える。「偉人列伝」ではない音楽史のリアル。
あの『ピアノ教則本』はとても有名だけど、そのほかのことはほとんど何も知らない……音楽史には出てこない無名な作曲家、バイエル。
しかし著者が訪れたドイツのショット社本社の廊下には、ワーグナーやリゲティなどの“大作曲家”たちと並んで、バイエルの肖像画が飾られていた。これは一体なぜなのか――その謎にさまざまな視点から迫っていく。
鍵となるのは、楽譜の発行部数が事細かに記されたショット社の刊行台帳。『バイエル ピアノ教則本』はどのくらい売れた? なぜ売れた? 著者の幾度もの現地取材とショット社公開のデータをもとに、徹底調査した。
バイエルについての謎をひもといていくと、その奥にはバッハより続くピアノ指導の歴史、教則本という「商品」の成り立ちが見えてくる。さらにバイエルの学生時代や若いころに関する貴重な資料から、当時の有名音楽家たちやライプツィヒの様子が明らかに。そして、当時の人々がもっとも演奏し聴いていた音楽とは一体……
今ある「音楽史」は、何百年もの間でたかだか十数人しか出てこない“偉人列伝”だけの音楽史。本書ではバイエルを通して、音楽史のリアルを明らかにする。
<目次>
プロローグ 肖像の謎
第1章 ベストセラー説
第1節 世界的ベストセラーピアノ教則本
第2節 ピアノ奏法の絶対矛盾とは
第3節 伝わらなかった「静かにした手」
第4節 エマヌエル・バッハの嫉妬
第5節 静かにした手の騒がしい顛末
第6節 番外曲という不思議な存在
第7節 番外曲のルーツ
第8節 商品「バイエル」が完成するまで
第9節 商品開発以前
第2章 ポップス説
第1節 付録は付録にあらず
第2節 付録はポップスの原型だった
第3節 付録の売れ行き
第3章 悪魔メフィスト説
第1節 幻の秀作
第2節 バイエルを育んだ自由な都市
第3節 トーマス教会聖歌隊員として
第4節 1819年のバイエル体験
第5節 最後の宮廷音楽家ライシガー
第4章 ブランド説
第1節 死んでも死にきれなかったバイエル
第2節 偽バイエル教則本
第3節 未公開自筆譜に当たれ
第4節 疑惑解明
第5節 証拠
第6節 正体
第5章 プレート番号説
第1節 楽譜の資本主義
第2節 楽譜刊行数から見えてくるもの
第3節 インペリアリズムとコミュニズム
第4節 音楽史のリアル
エピローグ 小さなプレート
本文注
あとがき
【著者紹介】
小野亮祐 : 1976年生まれ。広島大学大学院博士課程修了。レーライン鍵盤楽器教本の研究で博士(学術)を取得。DAADドイツ学術交流会奨学生(2005/06年)として、ライプツィヒ大学博士課程音楽学専攻に留学。専門は音楽学、音楽教育史。2011年より北海道教育大学釧路校准教授。2016年には外国人客員研究員としてライプツィヒ大学音楽研究所にて研究に従事。日本音楽学会、日本音楽表現学会、日本音楽教育学会、音楽教育史学会、各会員
安田寛 : 1948年山口県生まれ。1974年国立音楽大学大学院修士課程修了。2001年より奈良教育大学教育学部教授。2013年定年退職し現在奈良教育大学名誉教授。専門は、19〜20世紀の環太平洋地域の音楽文化の変遷について。2001年放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、2005年社団法人日本童謡協会日本童謡賞・特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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